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常に新しいことに挑戦しておきたいなぁ

ふりくり人no.9
とっくん/徳谷幸之助:日本史教師

〈プロフィール〉
高津高校卒業後、予備校で出会った日本史講師の授業の面白さに感動し、日本史教師を志す。その後、大阪大学において日本史を研究する傍ら剣道漬けの毎日を過ごす。ご縁があって母校で日本史を教えることになる。現在日本史を伝える新たな手段としてYouTube動画を開設。多くの人に日本史の面白さを届けるべく奮闘中。


T:久しぶり!!暑い中ありがとう!今日はエアコンのメンテナンスで教室が使われへんから、記念館を押さえといたよ。

H:今日めっちゃ暑いね!記念館…?あれやんな、、、情報の授業で使ってたところやったっけ?懐かしい。

T:そうそう!今日使うところはよく会議とかで使う部屋で、もしかしたら入ったことない部屋かもしれんのやけど(ガチャッ)どうぞ!

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H:久しぶりにインタビューするから緊張するわぁ。

T:そんなん言われたら俺も緊張してきた。笑

H:ゆるりと始めようかな。とっくんはいつから高校の先生になりたいと思ってたの?

T :きっかけは高津おった時がすごい学校楽しかったことかな。2年6組とかすごい楽しかった。思い返すと手のかかる子がいっぱいいたと思うんやけど、ゆうことかほんまうまいことみんながやりやすいように裏でめっちゃ手回してくれてたんやなって思う。
純粋に、戻って来たいなぁとか、学校卒業したくないなぁとか思って。
学校っていいなぁって。

H:卒業したくないかぁ。私も高津好きやなぁっていうのはあった。
ふりくりの活動を始めたのもそれがあったかも。高津生好きやなぁって。
先生もみんな個性的やったやんね!

T:ほんま個性的な人が多くて面白かったよな~。
ただでも致命的やったのが勉強がめっちゃ嫌いやったんよね。
勉強自体が割と、あんま自分で進んでできる人ではなかったんよね。
だから高校の時点では、学校めっちゃ好きやけど、教師もありやなって思ってたけど、そんなに腹据えてるわけではなかった。
教師なるんやったら授業教えやなあかんやんか。その時に自分が何ができるんやろっていうのが当時は自分の頭になかったんよね。
だからそこからなんで教員の道で決めたかっていうのは、卒業した後の話になるんやけど、、、。

H:大学?

T:あのね、大学には1年行けてないんよ。勉強嫌いがあって、3年生でもあまり頑張れなくって。
 現役の時は塾とか予備校とかは通ってなかったんやけど、もう1年、自分ひとりで頑張るっていうのはできひんなって思ったから予備校行くってなった時に、天王寺にある予備校に行ったんよね。
小さい予備校やねんけど、高津とか実績残してくれそうな進学校やったら割引してくれる制度があって、河合とか駿台とか大手行くよりも全然安上がりで済むからさ。親に対して申し訳ないって気持ちもあったし、安いからっていう理由だけでそこに決めたんよね。
ただ、そこで教えてもらった日本史の先生が人生で一番大きな出会い。

H:え、、、もしかしたらその先生知ってるかも、、?
私も一回だけ夕日丘予備校に日本史の授業を体験で受けに行ったことがあるんやけど、身長すらっとしてて、髪の毛がリーゼントで、頭に仏像乗っけて走ってくるっていう話をしてた先生がいた気が、、、。

T:そうっ、、、!!!!それもう完全に吉岡先生!!!
あの人の日本史はめっちゃ面白い!とにかくおもろい!わかりやすい!
ここで初めて勉強が面白いっ!てなって。日本史めっちゃ勉強して。
モチベーションがめっちゃ上がったんよ。
 大学行ったら文学部行って、日本史さらに専門で勉強して、吉岡先生みたいな授業を高校に戻ってできるようになったらっていうプランがここで完璧に見えてきたんよ。
そっからは1年もうめっちゃ勉強した。

H:そうやったんやね!すごい運命的な出会い!!!
 吉岡先生の授業で一番好きやったのはどんな授業やった?

T:吉岡先生の授業は、ほぼ全部喋り一本で持っていく感じやねん。
めっちゃこの人日本史好きなんやろなっていうのが伝わるんよね。
だから日本史の中でも色々な登場人物が出てきて、思い入れがある人物やったらめっちゃ熱く語りはるねん。
 その中でも特にめっちゃ覚えてるのは、調所広郷っていう人。
幕末の薩摩藩の人で、当時の薩摩藩はめっちゃ財政赤字を抱えてて、とにかく貧乏で藩の財政がしんどいって時に、調所はとにかく背に腹は変えられんって言ってグレーな、ほぼ違法な政策をやって財政を立て直したんよ。
最終的にはそれがバレてめっちゃ罪が問われるんやけど、全部ひとりでその罪を抱えて死んで、薩摩藩は残って、最終的に明治維新って薩摩は躍進して幕府を倒すってことに繋がっていくっていう人やねんけど。
 これをもっと色んなエピソードを交えながら話してれて、それ今再現できるけど、再現してたら釈たりひんくなる。笑

H:えぇ!すごい人なんやな!今の話聞いてとっくんの授業めっちゃ受けたい!!ってなった!!!

T:とにかく吉岡先生が「調所ほんまにかっこいいっ!」て言う話を熱く語りはって、こっちも「うわ!調所かっこいいっ」てなって。笑 それを今自分が生徒にも伝えてる。吉岡先生、平気で調所だけで1時間語りはったからなぁ。
 ストーリーというかお話を聞いてるみたいで一話一話でこういう主人公が出てきて、教科書だけ読んでても感情移入しにくいけど歴史小説みたいでそれがめっちゃ面白くて。
 結局、歴史って人が作るものやから、その人に寄り添ってみたらめっちゃドラマがあって面白いよなぁってすごく感動して。自分の今の授業もそういうふうにやりたいなって、それを目指して作ってるっていうのはすごくある。

H:今は自分が作る側に回ってると思うんやけど、授業を作る時はどんなことを意識して作るん?

T:高津で教えているからには大学受験に持って行ったらんとあかんから、ただただ脱線するのはあかんのやんか。本筋からそれないように、ただでもなんでっていうところかな。なんでそんな事件が起こったんとか、なんでここでこの人物が出てくるんっていうところを繋いであげれるエピソードをふまえて話すかな。
 例えば、大化の改新ってあるやんか、あれみんなワード自体は覚えてるんやけど、なんでこいつらが手を組んで、こいつらを倒したんやろうとかいう背景であったり動機や心情を補ってあげられるところを意識するようにしてる。

H:ほー!これ補う時はどうやってエピソードを調べるの?歴史書とか?

T:とっかかりを掴みやすいのはネットやねん。Wikipediaとかすごい便利は便利やねん。エピソードが書いてあって。そこに出典が載ってるから、その出典を調べて図書館に調べに行って裏付けをとるようにしてる。やっぱり間違ったことは言われへんから。
 後は、自分で言うのもなんなんやけど、浪人してた時ほんまに頑張っててさ。吉岡先生が話してくれたエピソードをちゃんと当時のノートにとってて、こんなエピソード話してったなって見返していまだに授業作りにすごく役立ってる。これは今でも職場に置いてあるんよね。

H:え!!後で見せて欲しい!!

T:ええよ!

H:やばいなぁ!秘密のノートやね!でも出典の本を見つけたり、調べるのって結構大変やったりしやん?

T:うーん、でもそれは大学で鍛えられたわ。大学ではやっぱり日本史専攻してたからまずは論文から入って、論文の参考文献にしてるさらに論文を読んだり、当時書かれた古文書とかをひたすら遡って読みまくるっていうのをしてたから。だから中央図書館とかよく行ったりする。嘘言ったらあかんから、それはやっぱり意識してる。
 ただ便利な言葉があって「諸説あります。」っていったら全部済むんやけどね。笑

H:必殺ワード「諸説あり」か。日本史に目覚めたのは予備校やんか。
大学の授業自体はどうやった?面白かった?

T:面白かったけど、今までの授業とは全く違うって感じやったなぁ。
大学の研究は事実を疑ってかかったり、自分で新しい事実を探しに行くって感じやった。最終的には時代も一時代に絞ってめっちゃ細かいテーマで卒論を書いたりだとか。高校までの日本史の授業と、大学の授業は直結はしてないな。今はその時に得た疑う視点っていうのは役立ってるね。
 例えば、教科書に載ってる内容はこういう内容やけど、今やったらこういう学説があったりしますよって紹介できる範囲でしたら興味持ってくれる子もいてる。

H:大学でこれが良かったとかある?授業だけじゃなくてめっちゃ広い意味で。

T:大学の方が高校の頃よりも実は剣道剣道しててん。体育会の剣道部。
ペンより竹刀握ってた時間の方が長かったなぁ。だから研究室あんまり来えへんキャラやったし。剣道部が居場所やったし、まぁ色々鍛えられた。笑

H:そうやったんやね!今でも剣道してる?

T:今はね、あんまりやってないんよね。今はバレー部の顧問やねん。
2年目までは剣道部の副顧問させてもらってたんやけど、3年目からはもともと良くしてもらってた女子バレーの顧問されてた先輩が転勤されることになって。その先輩から直々に「悪いけど、とくちゃん女子バレー部引き継いでくれへん?若くて一生懸命やってくれそうやし!」ってお願いされて、そこからずっと女子バレー部の顧問してる。

H:え!バレーの経験とかあったん?

T:無いからこれがまた大変で。素人でも顧問が試合で審判せなあかんのよ。だから、必須では無いんやけど審判の資格も取りに行ったんよ。強豪校になればなるほど審判に対するあたりが強くって。保護者からも「審判どこ見てんねん!」っていう罵声が飛んできたり。だからそこに対して自信を持ちたかったから、資格を持つことによってお守りになるかなっていう思いもあって取りに行った。

H:なんか全部一生懸命ですごいよな。とっくん。

T:今まで自分って小学校の時から剣道しかしてなかったから、新しいことに挑戦しようかな。世界が広がるんかなっていう気持ちがある。スポーツに関しては競技問わず何か伝えられることってあるんかなぁて思ったんよね。いろいろ難しいこともあって悩んだりもするけどね。

H:悩んだ時ってどうするの?

T:職場は変わってしまってるけど、すごく年の近い数個上の先生には恵まれてたんよ。そういう人とかいまだに連絡取り合ったりするから、飲みの場で話させてもらったりしてる!後は、今はだいぶ部活とも程よい距離をつかめるようになったなぁ。

H:程よい距離をつかめるまでって結構大変よね!一生懸命になってたらなかなか気付けなかったことも一歩引いてみたら見える世界が広がる時もあるよね。

T:一つのことを頑張ってたことってそれはそれで経験になるけどね!

H:うんうん。せやんね!今とっくん挑戦してるものとかってある?

T:実は、日本史の講義動画と自作のプリントを高津生だけじゃなくて一般にどんと公開できるようにYouTubeを立ち上げました。今日まさに一本動画あげたんよ!

H:え、すごい!え、それも教えて!!!

T:もちろん!教えるね!
 コロナでアホみたいに休みの日も働いててさ。教材作るために休みの日も学校に出てきたりしてて、それを改めんとあかんなって思ってて。
 3年生とかを相手にしてると休みの日とか放課後に講習をしたりすることがあって。
 この夏休みの前半もまさに夏季講習やってたんやけど、3年生が2年生の授業内容をめっちゃ忘れてるから復習をして欲しいっていう声がすごい多かったんよね。その復習の講座を夏季講習としてやったんよ。それも準備も結構時間かかるし、お互いに時間取られるし、それやったら講義の動画を全部ストックしておいて、いつでも生徒が好きなタイミングで抜けてるところを見返して復習できる環境を作っておいたらお互いに時間をもっと有効に使えるなって思ったんよ。自分の働き方改革のためにもYouTuberデビューをしようというところで!

H:確かにそうやんね!でも自分で作ってるのがすごい!

T:ほんまに今はじめたばっかりやけどね!これがバズって大きくなって行ったらいいなぁと思ってる!

H:撮影自体はどこでしてるの?

T:空き教室を借りてやってるよ!

H:誰か教室入ってきたりしやんの?

T:警備のおっちゃんが前一回入ってきたことがあるよ。笑
 その時は撮影を一回止めた!

H:そんなこともあるんやね!
 (プリントやYouTube見ながら)すご!このイラストもいいな!!!

T:この犬のイラストも自分で描いたり、写真も自分で加工したりしている。目の前で動画見られるのめっちゃ恥ずかしいな。笑
 
H:動画作る勉強もしててすごいなぁ。

T:それはね、でも奥さんがいろいろ動画制作を趣味の範囲でやっててそれで教えてもらったりしてるんよね。

H:それはありがたいね!家帰ってからゆっくりとっくんの動画見させてもらおう!

T:ぜひ!この動画が高津の同期の中でも広まってくれたら嬉しいな!!!

H:ちなみに、高津で働き始めたのは、高津を志望していたの?たまたま?

T :たまたまなんよ。ただ、採用されてから2~3年後に高津の100周年の式典があったから高津生は優先的に採用するっていう流れがあったらしい!今高津で働いている高津生多いと思う!

H:高津って決まった時どう思った?

T:やっぱり嬉しかったかな。高津楽しいからスタートしてるから。
戻ってこれて嬉しいなって。でも一校目とは思わんかったな。いつか戻ってこれたらいいなぁとは思ってたけど。いきなりかっ!てびっくりはした。
 いざ働いてみたら、生徒に対しても、先生としてだけじゃなくて先輩として話できることがあったりするし、あとまぁ、ほんまに初めて高津で働く人からしたら校舎の作りから覚えないといけないところ、その辺は知ってるからストレスなくスタートしたかな。
やりづらいとこもちょっとはあるよ。普通に先生としてお世話になった人と一緒に働くっていうことやから。笑

H:最後に、将来的に自分はどうありたいなって思ってることはある?

T:常に何かしら新しいことをやっときたいかなぁ。
教師の仕事ってわりかしルーティーンになりがちなんよね。日本史の教科書も1年で劇的に変わるわけではないから。他の教科でもそういうところはあると思うんやけど。
 例え同じ内容あっても、年重ねて、いろんな経験重ねて行ったら伝え方を変えれたり、YouTubeとか伝えるツールが変化したり。
そういう意味では同じルーティーンの仕事の中でも、いろいろとステップアップしていきたいなって思う!
 仕事だけじゃなく、いろんなことに対して常に新しいものに手を出してみたりしたら、きっと自分の価値観が凝り固まらずに、柔軟な視点を持てたりするのかなぁって。
 それで去年ぐらいから始めたのが座禅を組むってこととか。

H:え、なにそれ?急に??笑
 ちなみにどこに?年に何回くらいするの?

T:京都にある両足院がめっちゃいいねん。年に3回くらいは行く。座禅を組んでる時にほんまにそこのお坊さんがすごいありがたいお話を聞かせてくれるねん。
座禅て言ったら修行みたいなイメージあるけど、瞑想に近い。
心がすっきりするし、自分の悩み事を俯瞰してみれるようになる。
 後は社会人になってからフルマラソンするようになった!今年は奈良マラソンを走るよ!

H:え、私大阪マラソン今年出ようか悩んでる!

T:え、走る人なん???

H:全然走らへん人なんやけど、職場の上司にめっちゃいいってお勧めされて。笑

T:走らへん人はもうちょっと段階踏んだほうがいいよ!せめてハーフとか!笑

H:やっぱりそう?笑

T:初めて走ったんは大阪城でやってるナイトハーフマラソン。その次は富士山マラソンはロケーションがすごい良くてフルで4時間15分くらいで走ったよ。
 後は京都の木津川マラソン。木津川の河川敷を行って帰ってくるっていう。これは景色変わらんかったから4時間25分くらいかな。
 富士山マラソンはハマったからもう一回走ったよね。後は淀川マラソン。これは途中で腰をいわしてしまった。笑
今は整骨に通いながら次の奈良マラソンに向けた準備してるよ!目標は4時間切り!
学校のトレーニングルームで筋トレしてる。笑
体幹を鍛えるために腹筋と背筋をしてるかな!それも、ここまで本格的に筋トレを始めたのも初めてやからこれも新チャレンジやなぁ!



トクする! 日本史講義 〈講義プリント〉

徳之助の トクする! 日本史 〈YouTube〉


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ライター:Hikaru
大阪在住。事務職として働きつつ、間借りのカフェ”working holiday cafe”を経営。
高津が好きすぎて高津生の卒業後をインタビューして記事にしている。個性的な人ばかりで素敵な高校だったなぁとしみじみ感じることが多い。

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