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おばけのことを考えてみると、雨の日の遠い道のりも愉快

 予約しておいた書籍が到着したとの連絡を受け、雨そぼ降る中ひと駅向こうの図書館へ向けて家を出た。
徒歩45分ほど掛かる距離を、家でいちばん大きな傘を空に向けて歩いている。
結構な距離をもくもくと歩きながらふと、おばけの出没場所について疑問が浮かんできた。

雨=水 から想起した疑問

特に幽霊の類だが、もっぱら水場に出るとされているらしい。
家なら炊事場やお風呂、トイレに現れ、外なら湖、池、川、海などの水場がもっとも出やすいと聞いた。
 
今日みたいな雨の日は、どこもかしこも水だらけ。
おまけに水たまりもできて、場は整っている。
だったらそこかしこで通勤ラッシュなみにギュウギュウ混雑した幽霊たちが出没しっぱなしなはずではないのかな。
 
まったく見当たらない。
霊感の有無で、この景色も違ってくるのだろうか。
もしや、普通に行き交うようにみえる人々が実は幽霊なのではないのかと考えると、また別の疑問も出る。
だとすると幽霊は傘をさすのか問題が出てくる。
さらに自転車に乗るのか、カッパを着るのか問題も追加されて、思考が右往左往。
 
そうだ幽霊は半透明だと聞くから、そうした人物がいればと見渡すも、あるのは透明な傘ばかり。
あの傘こそが霊体かもしれない。
そんなわけもなく、怪しげな人もおらず。
考えれば考えるほどに疑問が生まれてなんの解決もしないまま、ほどなくして図書館に到着した。

雨の日におばけのことを考えて歩いていたので、図書館までの道のりは愉快に進めて憑かれなかった。
おばけのこと、だけに。

【しゅん】

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