〘寸劇脚本〙狭間の力持ち

上司「結局さ、この会社でやってることは正しくないんだよ。」
部下「……そうですね。」
上司「まあ、お疲れ様。」
部下「いえ。すみません。」
上司「誰のせいでもないよ。」
部下「……。」
上司「確かに現場はきついかもしれないけど、こっちはただごめんなさいって頭下げるしかない。」
部下「現場の負担を減らすのがうちの仕事のはずなんですが。」
上司「まあ、こういうこともあるさ。長くやってるとね。」
部下「……はあ。」
上司「とりあえず、誰か死ぬような問題じゃないから。」
部下「確かに、死人は出てないですけど、現場に無理を押し付けて、上は命令を撤回せず、うちは現場に謝って、上に頼み込んで、駆けずり回ってます。」
上司「それがうちの部署だからね。」
部下「はあー、ストレス溜まりますわ。」
上司「今度みんなで飲みに行くか
。」
部下「うっす。うーん、もっとこう、どうにかこうにか良い方向に持っていけるって思ってたんですけどねえ。」
上司「今度は良い方向に行けるようにね。」
部下「はい。」
上司「正しくはなくても、納得できるようにしておこう。」
部下「うええ、むっず。」
上司「大丈夫大丈夫。また何かあったら言ってよ。仕事は一人でやるもんじゃないからね。」
部下「はい、ありがとうございます。」