自作詩『あなたよ、どうか生きていて』

《空っぽ》

空っぽな奴ほど詩を書きたがるという推測には概ね賛同だね

空っぽだからせめて何者かになりたくて
自分は詩人と名乗ることで
極めてハードルの低い肩書を得て
何者かになりすますためには
詩を書くしかないのだ

もしくは空っぽだから
言葉でその空白を埋めたいのだろう
テレビ、ラジオ、インターネット、映画、音楽、小説
言葉を詰め込み
その言葉で自分の言葉を紡ぎ
出来上がったものが
詩と呼べるものならば
君はもう立派な詩人になっちまったのさ


《空洞》

空洞
飢え
何をすれば満たされるか

自分を空っぽだと思うのはもうやめろ
お前は本当に空っぽか?
何が好きだ?
何に憧れる?
今求めて仕方がないものは何だ?
お前はそれを傍観しているだけなのか
全てをただ見ているだけならば
お前は空っぽになりたい奴なのかもしれないな


《感情、心、息をして、》

僕の人生とあなたの人生が
ふとした時に交わって
同じ空気を吸って
僕は見ているだけだけど
あなたの歌を聞いて
ここにいられて良かったと
心から思っているよ

あなたが
生き延びて
生き延びて
息をして
また会いましょう

言ってくれるなら
僕はまたあなたに会うために
生き延びて
生き延びて
息をして
永遠なんてないとあなたは言うから
きっとそうなんだろうけど
それなら有限の時の中で
あなたの歌を
僕はずっと好きでいたい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?