《自作詩》最近の愚痴とまともな詩と

1 女だとか後輩だとか

キーボードを奴に向かって投げて
ついでにディスプレイも投げちゃって
「何かありましたか?」と
刺し違える覚悟で話しかけたい
少し黙れ私を舐め過ぎだ


2 忘れんぼう

昨日思いついた時は
あまりに平凡でメモを取る気にもなれず
そのまま眠りについたけれど
あの時思いついた言葉の羅列は
もしかしたら詩と呼ぶにふさわしいもので
もしかしたらいづれ傑作と呼ばれるものだったかもしれない
まあ、
ほとんど思い出せないのだが


3 比較症候群

俺はずっと歌手になるんだと思っていた
思っていたから迷わず進んだ
ずっとずっと歌った
良い声が出ますように
ずっとずっと歌った
唯一俺の歌を褒めてくれる人がいた
俺はそれで十分だった
それだけで俺の歌には価値があった
それだけで俺は満たされていた
その時俺は紛れのない歌手だった
唯一の人は笑顔の綺麗な人だった
唯一の人も音楽をやっていた
唯一の人のピアノは小さな世界を作り上げた
俺はその世界が大好きだった
だからピアノに合わせて歌った
俺の世界とあの人の世界が一つになった
その時俺は歌手だった
唯一の人が遠いところに行った時
俺は全然平気だと思った
だって俺は歌手だから
信じて疑わなかったから
しかし変だった
皆俺の歌で首を傾げる
「下手だ」「音痴だ」「気持ち悪い」
言われたことのない言葉がどんどん増える
俺は最近流行りの曲を聞くようになった
俺は色々な歌手の歌を聞くようになった
ああ俺はおかしいのだ
俺の歌は確かにおかしい
こんな歌を歌い続けるわけにはいかない
しかし歌を辞めたら
俺は何になるんだ?
俺は歌手だった
しかし歌手を続けられない
俺は何だ?
俺に残された道は?
どうすればいい?
どうしたらいい?
堂々巡り
最終的に「死にてえ」
いや生きてえ
死ぬわけにはいかねえ
でも俺は何なんだ
何なんだ
俺は何なんだ
こういう時に酒は便利だ
何でも溶かしてくれる
思考を鈍らせハッピーハッピー
良い気分だ
こういう時には歌を歌おう
あの人が好きな歌を
「下手ですけど、良い歌ですね」
路上でぶっ倒れて歌う俺に
拍手を送る変な奴
あの人とは似ても似つかないけど
笑顔が綺麗だと思った
「何で歌ってるんですか?」
こんな酔っぱらいに絡んでくる変な奴
でも俺はなんだか嬉しくなって
「俺が歌手だからさ」

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