ヒト畜生の映画評 | POV映画をdigる
映画のwebマガジン「フラスコ飯店」です🍜
今日は正体不明のツイッタラー / ブロガーのヒト畜生さんがPOV映画をたくさん教えてくれました。
ヒト畜生です。駄作が多いと言われるPOV映画の隠れた名作を紹介します。POV映画とは作中に登場人物としてカメラがあり、その映像を我々が見る、または一人称視点で主人公の視点で話が進む映画のことです。
このPOV手法は通常より臨場感が出て低予算で作れることからホラー映画にてよく使われる手法です。
ただ、その低予算からあまりにも駄作が量産されており、ファンからはもういいよみたいな空気が流れているのが現状。
そんなPOV映画の隠れた名作を紹介します。
P プリティーで
O おませな
V ババア
みんなついて来いよ!(*)
(*編集部注):
違います。POVは「プリティーで おませな ババア」の略ではありません。
Point of View, つまり「視点」のこと。転じて一人称視点で作られた映画のことをPOVと呼びます。悪しからず。
①『テイキングオブデボラローガン』(2014)
大学生がアルツハイマー病の卒論を書くためにとある老婆を取材する。老婆の生活を撮影するために部屋中にカメラを設置して観察する。老婆ワクワク観察映画。
他のホラーと画一的に異なる点として、通常のホラー映画ならば老婆が奇行を恐怖的に演出するがこの映画はそんな野暮ったいことはしません。全部アルツハイマーなんだもんで片付ける潔さである
「老婆が深夜に部屋中を彷徨ったり廊下を全力ダッシュしたぞ!」
いやいやアルツハイマーなんだもん
「深夜に庭を掘り始めて連続殺人鬼の凶器を掘り起こしたぞ!」
いやいやアルツハイマーなんだもん
「老婆が瞬間移動し始めたぞ!」
いやいやアルツハイマーなんだもん
「老婆が少女を人質に閉じこもったぞ!」
いやアルだもん
「老婆が蛇に化けて少女を飲み込んだぞ!」
いアん
いい加減にしろ。
ツッコミどころ満載のホラーファンにはたまらない一作です。
②『コンジアム』(2018)
(C)2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.
量産されたPOVホラーの中でもダントツでクオリティの高い一作。
設定や演出に関しては他のPOVホラーと変わりないが面白い。コンジアムなんと製作国の韓国ではアベンジャーズエンドゲームの10週連続興行1位を打ち破った作品である、本家マーベルもまさかPOVホラーに負けるとは思わなかっただろう。
本作の内容については、世界7心霊スポットの一つコンジアム精神病院でユーチューバーが生配信するというものです。
そもそも世界7大心霊スポットを皆さんご存知だろうか。
・チェルノブイリ原子力発電所跡
・メキシコ人形島
・おなじみ富士の樹海
・コンジアム精神病院
覚えているのでこの4つである こういうものは七不思議と一緒で揃わない方が怖いのです。
このコンジアム精神病院にてユーチューバーが生配信するという、ありきたりなストーリーではあるが、人感センサー付きの監視カメラを設置して、何も写ってないのにカメラが反応する等POVならではの演出もあり結構凝ってる アベンジャーズ倒しただけある。
とにかく怖いPOVホラーが見たいならコレです。
③『トロールハンター』(2010)
(C)2010 Filmkameratene AS Alle rettigheter forbeholdes. All rights reserved.
どんなものでもそれを象徴とするものがある。音楽といえば「ビートルズ」、絵画といえば「モナリザ」、お笑いといえば「ダウンタウン」。
ではPOV映画は?
答えはそう『トロールハンター』だ。
これだけで言葉は充分であるが折角なので内容を説明しよう。西洋に存在する「トロール」と呼ばれる10メートルほどある巨大な化け物を狩る謎の男の話である。まず、この映画は衝撃的な文言から始まる。
「この映像は当局に送り主不明で送られたビデオを独自に編集したものである」
「このビデオを専門家に鑑定してもらったところ本物であることが確認できた」
「この映像を公開することによって国から何らかの抑圧を受ける可能性があるが、国民の知る権利に乗っ取って公開することとする」
そう、お気付き頂けただろうか、この映画は「実話」なのである。話は大学生クルー達が卒論のため熊の密漁のドキュメンタリーを撮るところから始まる。大学生クルーの卒論設定多いな。
いや、「設定」ではない実話。実話なのだから。密漁を追って怪しい男を尾行すると、なんとその男が森の奥で10メートル近い巨人と銃撃戦を繰り広げているではないか!
その男にインタビューするとその男は国公認のトロールハンターだったのである!
トロールを国はひた隠しにしてたけど、トロールハンターの仕事キツすぎ、福利厚生終わってる、残業代出ないとかでトロールハンターの密着取材させてくれることになったよ!
実話である。
あまりにも映像の迫力から緊迫感が伝わってくる。そして視聴者の我々もトロールの実在を知ってしまい国から消されるのではないかという焦燥感が襲ってくる。
見たいものだけ見るのではなく、たまには世界の真実に向き合ってはいかがだろうか。
『トロールハンター 』アマゾンプライムにて200円で絶賛レンタル中!!!
どうでしょうか ちょっとでもPOV映画に興味持ってもらえたでしょうか。
皆さんも隠れた名作POVを見て「プリクラの俺 昔の山Pみたいな髪型してんじゃん フフ」みたいな気分になってみては如何でしょうか。
文・ヒト畜生
鈍角でドーーーーーーーーーーン
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~ここ最近のフラスコ飯店~
楽しかった日の帰り道、「楽しかったな〜最高だな〜〜」とニコニコしながら帰る。ふと思い返したら「あれ? そういえばなに喋ってたっけ……」となる瞬間がよくある。数日経ったら思い出せたりするが、なぜだか一時的にハテとなる。めちゃめちゃ笑ったことは覚えているのに。なにで笑ったんだっけ、と。
めちゃめちゃ楽しかったのにどこがどう面白かったのか、なににそんなに笑ったのか全然思い出せない。最近気づいたけれど、こんなことが起こるのは必ず決まって大好きな人たちと会っていた日なのだ。
誰もが身に覚えがあるだろう。大好き「なのに」忘れてしまうのではなく、大好き「だから」忘れてしまうことがある。そんなハッピーな思考の転換を、名作ミュージカル映画『ロシュフォールの恋人たち』とともに成し遂げようではありませんか。ちょっとおバカでかわいいイラストもてんこ盛り!
自分が望まない役割を背負わされるのは、こんなにも息苦しい。だけどたぶん、明確な加害者被害者がいるわけじゃない。「自分は誰も呪っていない」とは口が裂けても言えないし、わたしを呪った誰かだって、どこかでは他の誰かに呪われているのだろう。
「呪い」は蔓延っている。それはきっと、フィクションの世界にも。
この記事では、映画『僕と世界の方程式』がフィクションにおける「感動ポルノの幸福な呪い」に屈さず、生身の人間を描いたことの意義深さや、それがいかに我々にとって救いであるかを考えていきます。
あなたが持つ性質は、何か理由がなければ許されないのか? 免罪なんて必要じゃない。必要なのは「愛し合うこと」。人間の生に切り込む繊細でかつ強靭な論考。
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この作品のテーマは「子どもから大人になる」という普遍的なものであり、デジモンリアルタイム世代のぼくは子ども時代から見た目も性格も変わった太一たちをみて自分に重ねた。
そんな大人になったぼくたちの「子どもから大人になるとはどういうことなのか?」という気持ちの落とし所をこの作品は提示してくれた。
だけど、この作品、一見すると腑に落ちないポイントが存在する。それは「大人になればパートナーデジモンが消えてしまう」という設定だ。この制限のもとストーリーが展開するのだけれど、消えてしまうデジモンと消えないデジモンが存在するのだ。
冒険ファンタジーバトル系の作品にとって、「大人になる」というテーマは連綿と受け継がれてきた避けては通れない存在だ。デジモンの太一やヤマトにだってそれは不可避の問題。デジモン最新作における「大人になる」ことの意味を「かっこいい」というキーワードで分析。
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