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実録・ロゴデザイン制作のプロセス一部始終(その1)

今日は最近やったロゴデザイン制作のプロセスを一部始終、事例として紹介していきます!グラフィックデザイナーがどのようにしてロゴを制作していくのか、実録シリーズです。

といっても僕のやり方なので、これが全デザイナーの制作行程というわけでもなく、あくまで一例として、参考にしてもらえればなと思ってます。ではどうぞ!

overture

ある日ミュージシャンのオカピー氏より、相談したいことがあるんで、Zoomしませんか?とLINEが来たんだ。時代だよね、まったく。まさかこんな時代が来るとは。世の中すべてオンライン。

「お久しぶりです!」

「まったくだね。背、伸びたんじゃない?」

「まさかw 変わんないっす」

「ふむ。して相談とやらは?」

ご存知の通り、彼はミュージシャンであると同時にボイストレーナー。そんな剣豪にして文豪の彼がついに!ボーカルスクールをブチ上げたい!ってんで、そのロゴ制作をお願いしたいっていう筋書きだったんだ。

なるほどね。

まぁ彼とは結構長い付き合いで、過去にCDジャケットやミュージックビデオなんかを制作したこともあるわけだし、つまりわりかし性格やら人となりをよく知ってるといっても過言ではない人物。

僕としてもどんなロゴがいいのかはなんとなくイメージしやすかったし、彼もまた、僕の作品には見馴れてるはずなんで、おそらく大きく双方のイメージがズレることはないだろう。

故に、物語の結末は僕が決める!といっても言い過ぎではないよね。

「まぁなにはともあれ、だよ?オカピー。
 屋号はどうすんのさ?」

「それなんですが、エニタイム」

「エニタイム?」

「はい。エニタイムボーカルスクール、
 それにしようかと!」

エニタイム、つまり「いつでも」とか「どんなときも」とか「フィットネス」とかそういう意味の言葉か。

さらに詳しく問い詰めてみると、いつでもどんなときもレッスンができる、どこでも自由にレッスンができる、そういう特長のボーカルスクールにしたいってことで命名したらしい。

正直これは意外だった。てっきり僕はオカピーウェイウェイスクール、とかそういうの想像してた。

そして24時間営業!

とまでは流石のオカピーもいかないけれど、忙しいビジネスパーソンでも、仕事終わりにレッスンできて、場所もスタジオやカラオケボックスはもちろん、オンラインや出張レッスンにも対応可能ってのがポイントらしい。

かなりフレキシブルに生徒に合わせていくみたい。

「OK、だいたいわかった。明日から制作に入るわ」

そんな感じでヒアリングを終えた僕は、早速次の日からロゴ制作に没入することにした。

初対面の人だったらば、もっとこのヒアリングには時間がかかるわけだけれど、ま、彼の場合はよく知ってるし、デザインもおまかせでって話だったので、短いスコールの間にヒアリング終了ってな具合だ。

初日

さぁて、いきなしスケッチブックでシコシコ描くのも悪くはないんだけれど、今回はまず、アイデア探しに行こうじゃない!ってんで僕は本屋に向かったよね。

昨日のヒアリング結果を頭の片隅に置きつつも、とりま雑多にアイデアをインプットする作業。

これをやんないと自分の中にあるものでしかデザインできないんで、世界観が狭くなる。引き出しは多い方がいいと言っても過言ではない。

手始めにデザイン書籍のコーナーを眺める。本を手に取りパラパラとめくっては気になるデザインを凝視。

ふむぅ、どうやら世の中には僕の知らないアイデアマンがいるらしい。なるほどこういう表現方法もあるのか。。。正直悔しさはある。その手があったか!と。

いつもライバルが輝いて見える。思うように描けずに自信を失った日もある。いまだに僕はそんな経験をする。

別のコーナーも見てみよう。

セブンティーンか。そういやミスセブンティーンて誰に決まったんだっけ?最早誰に投票したかも覚えてないけど。

しかしこの歳になると手にしただけで変態に見られてしまうので、なるたけ「我、編集者なり!」って意識で業界人ぶって堂々と読むと案外それっぽく見られるもんだよ。

ティーン誌もポップなデザインの勉強になるのでおすすめ。

ちなみにミスセブンティーン2020は、藤村木音くん、入江美沙希くん、秋本レイラニくん、の3名に決まったらしい。

全員中学生。今後、学校とレッスンの両立にあきらめた日もあるかもしれないけれど、STモとしてがんばってほしい。夢は汗の中に少しずつ咲いて行く花だからね。

さてと、そんなこんなでとにかく色々と立ち読みしてインプット作業も一旦終了。参考になりそうな本を1冊だけ、僕は購入して本屋をあとにした。













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「きちんと知りたい! バイクメカニズムの基礎知識」

2000円もしちまった!!


二日目

「なるほど、これがSOHCで、ふむ。
 カムシャフトがふたつあるのがDOHCの
 エンジンなのか。へぇ。そういうことか。
 勉強になるな」














一日中バイクメカニズムの本を読んで日が暮れた。


三日目

んじゃあそろそろやりますか!と僕はスケッチブックを開いて、先日本屋でインプットしたアイデアも参考にしつつ、ロゴを形にしていくことにした。その時の下描きがコチラ。

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ボーカルのイメージから「鳥」をモチーフに。

さえずりはまさにボーカルっぽいし、「先生」という切り口からでも、風見鶏は風の向きを示し、海鳥は海が近いことを、ツバメは雨が降ることを、春告鳥は季節の訪れを。

先生とは、生徒を導き指し示す鳥であり、長い光のようなもの。何億光年も思い続けてる、永遠の祈りさ。

肝心のコンセプト「エニタイム=いつでも」にしたって、朝になったらスズメは鳴くし、昼間はトンビがジャコ天を強奪しにくるし、夕暮れ時にはカラスがカァカァ。夜になったらフクロウ、ホーホー。

ね?この切り口でも「鳥」ってのは意味を持たせやすい。そして忘れちゃいけない鳩時計も、時を告げるしさ。全部鳥なのさ!

てかなんでトンビはこう、僕のジャコ天を。。。折角江ノ島眺めて食べようかなって時にさぁ!!思わず「き、貴様っ!!??」って呟いちゃったじゃあないかっ!!

ビキニを取りなさいよビキニを!!心が騒ぐよ!

さてそんな鳥モチーフをメインにあれこれ考えていたんだけれど、鳥の羽んとこ、時計っぽくできないかなぁ。と試行錯誤、小一時間。。。

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ダメだ!これはやり過ぎだ!!

僕の尊敬するデザイナー、松本弦人氏もゆってたじゃあないか!素材にふりまわされちゃったらダメって!!うっかりすると僕は盛り込み番長気質なとこがあるんで気をつけなければ。

だもんで鳥にエニタイムよろしく時計を合体させる案はサクッと没にしてシンプルに、引き算を意識してデザインすることに。

もちろん鳥以外にもいくつか案はあって、吹き出しをオタマジャクシにしてみたり、カエルモチーフはどうだろう?とか考えたり、単純にロゴタイプ(文字だけ)で何か表現できないか、などなど。

で、それらを下描きした後、イラレでトレースしてイメージをさらに具体的に。

最終的に4案、今回は出した。

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4案は多い方だね。

いつもはだいたい2案くらいなんだけど、こういう時もある。思い付いたら時間が許す限り作るスタンス。

当然、自分の中での優越やおすすめはあるけれど、基本的に僕はよくある捨て案って考えが好きではない。ほんとは2案なんだけれど、選んでもらいやすくするためにあえて、3案目を作るっていう松竹梅みたいなパティーンのアレ。

なんつーか、テキトーな3案目作るのって時間と労力の無駄使いだなって思っちゃうんだよね。

考えても見てよ。こじはる・のぞふぃす・まいまい、捨て推しなんていないんだよ?ハート型ウイルスはこの3人揃ってこそ!そう思わない?

とりま4案、オカピーに送信!いつの頃からかよく見るようになったモックアップ系のラフでも提案してみた。

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「お!やっぱ良いっすねぇ!!
 頼んで良かったっす!」

「それは良かった!で、どの案推し?」

「A案とC案、どっちかですかね。悩みます」

「わかる!チームAかCだよね。
 ま、Aが王道センターだけど。。。」

「Cも自分っぽいなぁ、と」

本来ならば、どっちか決めてもらってから、細部の作り込みとかに入っていくってのが王道なんだけど、今回は僕自身もA案とC案、非常に悩ましかったので、作り込みの前に、もう少しこの2案のバリエーション出しして検証してみることにした。

こっからは若干作業チックになるので、恋愛禁止条例を聴きながら、黙々と制作。

そして出来たのがコチラ。

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ちょっと、作りすぎた。A案72種、C案16種。。。とりあえず本日は疲れたのでこの辺で。

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