sakko

不惑を過ぎてから縁あってフランスに住んでいます。主にフランス生活の他愛ないお話と、縫い…

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不惑を過ぎてから縁あってフランスに住んでいます。主にフランス生活の他愛ないお話と、縫い物、編み物の記録を綴っています。お茶でも片手にのんびりお付き合いくだされば嬉しいです!

マガジン

  • フランス生活とフランス語のコラム

  • 編み物 縫い物

  • 物語 ルビー手芸店の月並みで愛しい日常

    一話完結の形で続いて行く物語。毎月2話ぐらいを目指して書いて行く予定です。

  • どこに住んでも。暮らしながら考えたこと

    毎日をできるだけ穏やかに朗らかに、心と体を養いながら暮らしていく。そんな思いをベースに日々考えたことを綴っていきたいと思います。フランス在住3年目

  • フランス語学習

最近の記事

キャロットラペ

何事も“無理しない”がモットーな私。「これ以上やると無理してる感じになるなあ」と思ったらその時はそこまで。 そんな私が無理じゃないギリギリのラインで毎回頑張って作っていると思うのが、キャロットラペ。フランスだとスーパーでパックに入って売っていて、うちは電気のマシンがないし、手間を考えたら買った方が早いのですが、家で作るのがやっぱり美味しいと感じます。 誰に教わった訳でもないので、本当はどんなレシピなのか知らないんだけど、うちの場合は人参をスライサーで細かくしたら、塩をまぶ

    • 手縫いシャツ作りは頓挫中

      ボタンホールを作る段階に近づいてきたので、先週、街で一番ボタンの種類が豊富と思われる手芸屋さんに行ったら、無情にもバカンスの貼り紙が。「ガーン!フランスあるある…」2週間ほどお休みだそう。 本当はもう一軒、可愛いボタンがたくさんあるお店もあるのだけど、そこは建物の修理でもう長いこと休業中。3件目の手芸屋さんはその前の週に閉まってたのでバカンスだろうと思って訪問せず。ネット上の地図サイトを頼りに営業しているかどうか一応見ているけど、お知らせしていない個人商店もあって、行ってから

      • 果物を煮る

        日本にいた時はせっかく生で食べられる果物を煮るなんて勿体無いと思っていたのに、フランスに来てから、お砂糖なしのコンポートをちょいちょい作るようになりました。大概はりんごで、まとめて作って冷凍しておくと朝がラクとか、おやつにも使いやすいし、口当たりがよいこともあって。芯が少しだけ残っているような感じが好きで、あまりクタクタにせず仕上げます。切り方やお水の量を自分の匙加減でやって、シナモンやクローブもその時の気分で入れ、お鍋をみながら好みの感じにしていくのが楽しい。残った煮汁は別

        • ルビー手芸店の月並みで愛しい日常 最終話

          9月になると街はまた忙しないリズムで周り始めた。秋冬に向けた最初のワークショップを店主のセシルが開催し、みすずは店の中を行ったり来たりしながら秋らしい展示や陳列を製作している。ワークショップは編み物初心者のためのものだったが、とびきり不器用なお客がいてなかなか進んでいないのだけど、陽気な人ばかりで賑やかな回になり笑いが絶えない。そんな中、ドアの外から覗き込んでいる男性がいるのにみすずが気づいたが、お店の賑わいに怖気づいたかそのまま行ってしまった。 夕方になって、ワークショッ

        キャロットラペ

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        記事

          今までと違う色柄を選んだみた

          夏のセールで買った生地でシャツブラウスを作り始めています。相変わらず手縫い。前が開いてないブラウスの方が簡単なので迷ったのですが、以前作ったシャツブラウスを重宝していて、同じ型紙で作ることに。 手縫いを始めた時は、縫い目が目立たないようにという理由と、そういう柄が好きということで、ごちゃごちゃした色柄を選んでいたけど、柄に飽きてくるってことありますね。縫い目が見えてもまあいいかなあという気にもなっていて、今回はシンプルな生地にしてみました。せっかくリバティを買うのにシンプルは

          今までと違う色柄を選んだみた

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常⑦

          「みすず、今日は朝からボーッとしてるみたい。大丈夫?ちゃんと食べてるの?」 店主のセシルがみすずに聞いた。細々とした商品の整理をしながらも、上の空だったみすずは名前を呼ばれてハッと我に返った。 「大丈夫。昨日あまり眠れてないだけ」 「暑くて寝苦しいものね。無理ないわね」 そう言うセシルに、みすずは話を合わせておこうかと迷いながらも 「暑さじゃなくて、実は母が来てて昨日一緒に晩御飯を食べたんだけど…」 と切り出してみた。 「あら、ケンカでもした?」 セシルが笑って言った。そこへ

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常⑦

          Tシャツの袖を手縫いで詰めてみた

          セールで長袖Tシャツを買ったのですが、フランスの長袖って私にはことごとく袖が長ーい!それで「もしかして」とちょっと動画を調べてみたら、Tシャツ素材でも手縫いで詰めている方々がいたので、参考にしてやってみました。秋冬にセーターの下に着る用なので、ちょっと失敗してもいいかぐらいの気持ちで。まつり縫いとか、飾り縫いとかが一般的みたいですが、袖幅が十分太いし伸縮性は要らないかと思い、普通に三つ折りしてなみ縫い、たまに返し縫いという縫い方にしました。 出来上がりは、写真のような感じ。

          Tシャツの袖を手縫いで詰めてみた

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常⑥(物語)

          涼しい朝の風が吹き抜ける1日の始まり、以前ルビー手芸店で働いていたマノンが大きな袋を抱えてやってきた。みすずは、店の棚にハタキをかけているところだったが、袋の中身が何かは分かっていた。紺のタンクトップにベージュのつなぎ姿のマノンは、アトリエで老眼鏡をかけてミシンを準備している店主のセシルの所へ行き、袋から大量のズボンを出して作業台に積み上げた。 「随分とたくさん持ってきたわねぇ。早く臨時でやってくれる縫い子さんを見つけてよ」 セシルは一枚一枚、裾上げの印を確認しながら言った。

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常⑥(物語)

          梅干し代用品

          去年はあんずで梅干しもどきを作って、美味しく食べてはいたんだけど、酸味がないのが私には物足りなくなりました。食用クエン酸を探していたものの、手近では見つからないまま季節は巡り、今年もあんずが出回り初め、良さげなのを買ってはそのまま食べつつ思案する日々。 少し前にルバーブでも梅干し代用品ができることを知って、あのフキのようなものが?!と半信半疑でしたが、あんずと迷った末、今年はルバーブでやってみることに。マルシェのいつものスタンドでは売っていなかったので聞いてみると、「誰が売

          梅干し代用品

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常⑤(物語)

          「ありがとうございました。よい一日を!」 夏のバッグを作りたいと、ラフィア調の糸を買いに来たお客を送り出して、みすずは手芸店のドアにかかった看板を「閉店」にひっくり返し、目隠し用のカーテンを引いた。ナフキンを広げてキッシュとサラダのお昼ご飯を食べながら、昨日の夜のことを思い返した。 誘ってもらったアイリッシュ音楽のライブは、終わってほしくないと思うぐらい楽しかった。チケットをくれたパトリックに少なくともお礼だけは伝えたいと、近づいて行って機会を伺っていると、彼はみすずに気づ

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常⑤(物語)

          手編みカーディガンその後

          シーズンが終わって洗濯して眺めてみて気づいた点を記録しておこうと思います。 まず、袖や裾のゴム編み。編み上がった時から引き締め感は薄かったとは言え、随分緩くなったような?前から見てボックス型の羽織で悪くはないけど、後ろ身頃がフレアスカートみたく外へフワーンと広がり気味。ゴム編み部分が引き締めてくれれば、内側に入って収まりそうなのが全く仕事を為してないという…。袖は短くしたつもりだけどまだ長くて、二重にガバッと折り返して着ていました。家事の時にゴロゴロしちゃいます。 前身頃が

          手編みカーディガンその後

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常④(物語)

          煉瓦造りや石畳にしとしとと染みていくように小雨が降り続いてる日、午後になってもお客がまだ1人も来ず、みすずは編み物に没頭していた。入荷した商品を整理する仕事もあるが、こんな日は雨の雰囲気を感じながら、編み物に集中するのが大好きだった。 ルビー手芸店を始めたルビーおばあさん、今の店主の祖母にあたる人が残したカーディガンのレシピが出てきて、復刻して販売したいとみすずは試し編みを繰り返していた。全体に模様のある上級者向けのレシピで、写真やゲージ、サイズは別の紙だったのか見当たらず、

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常④(物語)

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常③(物語)

          「そんなに緊張しないで。大概は上手くいくから」 店主のセシルがなだめてくれるが、みすずは初めてのワークショップの時間が迫ってきて、予約の名前とキットを確認したり、道具の配置を変えてみたり、落ち着かないのだった。 「カラン」とドアベルが鳴って、ライオンの立て髪ぐらいボリュームのある見事なスパイラルヘアに、テラコッタ色のロングワンピースを着た女性が入ってきた。セシルに向かって「ワークショップに申し込んだ…」というのを聞き、みすずは飛んでいって、「こちらです」と奥のアトリエへ案内

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常③(物語)

          以前紹介した手縫い本のチュニックを、生地を変えて製作。今回が白黒で前回がピンク。色と柄が違うのに、それほど印象が変わらない?ちょっと意外、そして少々残念。生地の質感を変えた方がよかったのかなあ。 フランスはまだ20度前後の日が続いていて出番待ちです!

          以前紹介した手縫い本のチュニックを、生地を変えて製作。今回が白黒で前回がピンク。色と柄が違うのに、それほど印象が変わらない?ちょっと意外、そして少々残念。生地の質感を変えた方がよかったのかなあ。 フランスはまだ20度前後の日が続いていて出番待ちです!

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常②(物語)

          今日は新しい生地が届く日だ。みすずは朝から店主のセシルに言われた通り、陳列棚を整理しながら新しい生地の場所を作っていた。力仕事だが、時々鼻歌が出るほど楽しみだった。 「カラン」とドアベルが鳴ってお客が入ってきたと同時に、強い香水の匂いが漂ってきた。白いシフォンブラウスにツイードジャケットというクラシックな出立ち、少なくなったショートの真っ白の髪は大ぶりに巻かれ、シワが余計に目立つのもものともせず、アイシャドウもチークも口紅もたっぷりのメイク。みすずは緊張を隠して「ボンジュ

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常②(物語)

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常 (物語)

          コチッ、コチッ、コチッ、頬杖をつく2人の天使が彫刻された掛け時計の音が響く中、みすずは踏み台に乗り、大きな木製の棚の幅広い引き出しを開けて中を覗き込んでいた。「カバンの持ち手はここだったのね。竹、木、こんな透明プラスチックも可愛いなあ」と一人つぶやいている。年季の入った艶のある美しい棚だが、引き出しを開けないと中に入ってるものが分からない。フランスの中都会のこの手芸店で働き始めて3週間、みすずは暇があるたびに、引き出しを開けては商品の場所を確かめリストを作り、細々とした商品の

          ルビー手芸店の月並みで愛しい日常 (物語)