【仲間募集!】デジタルメディア界隈から老舗出版社へ転職。3年間の振り返り

はじめまして、『主婦と生活社』という出版社にて、デジタル推進室室長を務めている、山口倫生(やまぐちりき)と申します。

前職(メディアジーン)から転職して、3年が経とうとしている節目に、今までやってきたこと、感じたことを記載しますので、「これは・・!」と琴線に触れられる時間となっていただければ幸いです。

こんなひとに読んで欲しい

  • 出版社に憧れを持っていたが、現職では違う業界にいてもやもやを持つ方

  • 出版に青春を持った時代を過ごしつつ、他業種、同業ながら出版文化をなんとか守っていきたい方

  • 出版社にいるが、どうも社内機能が分かれ過ぎていてやりたいことができない方

現在、主婦と生活社では『企てる仲間探し』に奔走しています、少しでも共感や企てることにお力添えをして頂ける方がいたらそれはもう嬉しい限りです。いいねやコメントなどやSNSよりメッセージなど頂けたらそれは至福です。

1.何をしている人か

デジタル推進室のミッション、『デジタルをベースにしたアセットを創出し収益化に導く仕組み化』を実現する仕事をしています。弊社には、LEON、ar、JUNON、週刊女性、CHANTO、ナチュリラ、暮らしとおしゃれの編集室など、数十の雑誌ブランドを持っています。その雑誌ブランドを用いて、収益につながるアセットや企画を創出を行い、継続性のある仕組み化を目指すことを意図しています。「私の名刺にもなんでも入れていいよ」と言われたので、名乗ってみたかったミーハー精神もありつつも、責務を体現する意味で『プロデューサー』と入れています。このミッションを設定したのも私、実現していくのも私、批判されるのも私(でも部長や編集長が庇ってくれる優しさに救われているが)と、33歳でデジタル推進室を新設し、創立から70年以上経った出版社にて現在を迎えれたことは、改めて面白い人生経験を頂いたなと思っています。

2.何をしてきた人か

32歳で主婦と生活社に転職し、35歳を迎えた現在、当初イメージしていたやるべきことの理想とはだいぶGAPがありますが、、、挑戦してきたことを一部記載します。

①ONELEONプロジェクト立ち上げ~推進

当時、創刊20周年を迎えようとする『LEON』という雑誌ブランドには、SNSやEC、イベントといったアセットが点在する形でありました。入社したばかりのデジタルマーケ界隈にいた私には、LEONのビジョン/ミッションのステートメント、それを叶えるUXの体系、推進するためのアクションがない状況に映っていました。これでは、読者/市場に対しての「LEON全体としての体験価値の提供」や「異業種ビジネス、新規ビジネス」などを実現する未来がイメージできず、衰退(収益の停滞)の危機を感じたものです。

元々前職では「LEONの編集長は強い、怖い、やばい」と聞いていたものですから、勇気をもって(震え)、上記の危機と構想について、編集長や副編集長と、今は無き喫煙所や10Fの小会議室で何度もお話をした2019年の夏。課題認識と方向性を作り、会社内の様々な課題を整理しながら、その1年後には『ONE LEON』プロジェクトを発足することになりました。私の関与領域としては、事業計画作成、関連部署の統合から部内横断プロジェクトの新設、役割設定/権限移譲とシステム面の統廃合、外部専門人材の採用、各プロジェクト運用、決裁承認調整、社内理解作りと、正直未経験だらけの経営管理領域までも、LEON編集長と並走した経緯があります。ここまで進んできたのは、器の大きい漢気のある石井編集長の判断でもあり、その信用財産をフル活用して進めている本プロジェクトは、改めてほどよい震えを隠しながら、今日も邁進しています。冒頭の編集長へのイメージとは全く異なり、「熱く、優しく、すごい」そんな大兄貴だということは、改めて訂正として記しますね。

長々しましたが、いつかこのストーリーは別途記載するものとして、現在もONELEONプロジェクトの最大のコアアセットとなる「会員ビジネス」を推進しているところです。宣伝会議ににはONELEONの概要を記載しているので、よろしければ一読を。

②LEON EC刷新プロジェクト推進

『ONE LEON』プロジェクトの初手にして、岐路を占う『買えるLEON』ECの刷新プロジェクト推進を行いました。詳細は事情もあり割愛しますが、当時、利益を出せていないECを委託運営をしており、全体像やシステム全体を知る者もいない状況からのスタートでした。

私たちが目指す「富裕層ビジネス」を実行する上では、購買体験をシームレスなデジタル体験にも結ぶ未来を意図すると、まず委託運営ではなく「主体的な運営モデル」に変換すること。これがやるべきことであり、編集部との話し合いをときには深夜までしたものです。そうして事業計画作成、契約状況の整理からはじまり、事業ドメインをLEON編集部に戻し、各システム(ECカート、決済ツール、保険、WMS、倉庫、メルマガ)、会員(会員情報の移行)、組織(目標、役割、人員、横断プロジェクト)、運営(定例会、進捗管理、報告ライン、MD、契約関連)、問題事項(不正利用など)を0ベースですべて作り変える、そんな稀に見る大掛かりな刷新を行った2020~2021年春。

当時のガントチャート項目(移管する際の実施項目)

結果として現在、収益と営業利益も右肩上がりに伸びており、着実に利益を生む事業に変化できたことは大きな自信にもつながりました。ここまで来れているのは、編集部のお強い兄貴方、運営全般を実務~サポートまでしている毒(愛)が強過ぎる某兄さんがいるからであり、それぞれの荒くも自律的な運営体制を誇りを持って進めているからこその結果だなと、思い返すたびに「今、自分がやるべきことは何か」と反芻しつつ遊軍としての立ち位置を常に問わせてもらえる、よきチームだなと思っています。

③LEON SNS運用設計および収益改善

SNS。これも強めなければなりません。「SNSをもっと〇〇」とうだうだ暇売っている時間があれば1投稿でもサンプルを作りましょう。あなたのSNSでもできるよね?って思っている達なのですが、余談。

さて、『ハイブランド』『ラグジュアリー』『メンズブランド』といった最高峰に位置するLEON、としてのインスタグラムにも課題がありました。当時、雑誌の美しい世界観をSNSに変換できておらず、意図の見えにくい投稿が並び(対外的な共感を生みにくい)、運用体制も未整備な状態にて、LEONの世界観への入口としてのUXとしては遠いものでした。

まず、シンプルな目標KPIの設定から現リソースでできること、管理体制の設定を行い、隔週での検証を半年間、月次での検証を更に半年間と。徐々にインスタアセットが、ONELEONに繋がる構図にシステム転換し、ECへのダイレクトコマース化やインスタライブの定期配信、買えるLEONのポップアップストアとのリアル×デジタルの取り組みを実施していくことで、5万人のフォロワー(ONELEONの新規層)増加、および買えるLEONへの収益拡大までの実績となりました。

2020年1月:当時のLEONインスタグラム投稿と他誌との比較
2020年1月:設定変更案

クライアント様も呼応するように、年間で10数本のインスタライブ広告を実施し、実施当初は脚本作りから当日のディレクター業務を私も行い、積み重ねた成功事例が業界内で広がっていた流れはイメージ通りのソリューション策になったと快感でもありました。

現在ですが、『アーカイブを含めたコンテンツリソースの活用と応用』が今後のSNSの突破口かと考えており、作成したコンテンツのSNS横断でのテーマ活用から、コミュニティファンのみの限定コンテンツと縦軸+横軸の設計と運用強化ないしは先を見据えたデジタル資産化へのプロセス設計が、ブランド強化ないしは収益強化と考えています。余談何卒。

④JUNON SNSプロジェクト推進

さて、LEONばかりの話をしてしまったので、華のある『至福の時間』に移りましょう。ジュノン・スーパーボーイ・コンテストをご存じですよね?菅田将暉くんや武田真治さんなど、テレビでは間違いなく見てきた方々を輩出した、国民的ボーイズコンテストである、本イベント。地方予選ですが、昨年は審査員席に座らせて頂き、「こんな人生誰が想像した!?」と審査員顔を演じつつ、心の中では興奮していた記憶があります。仕事は『審査員』ではありませんが、改めて『夢物語を紡ぐJUNON』は何を提供する意味があるのかと、頭の中では、応募者の1人30秒程度の自己PR時間を正面から眺めながら、一生懸命にあどけなくも、瞳を輝かせて夢を叶えようとする彼らの姿からはタグラインのイメージが生まれました。

イケメンをこよなく愛する女性へ
「夢を推す想い」と「至福の時間」を生み続けるJUNON

JUNONが叶えるべきタグライン

JUNONは徹底的に時代と合わせて、生まなければならない。マスメディアとの関係値の強いJUNONだからこそ、発信できるメッセージ性は「価値創造」があり、イケメンという概念を塗り替えることができる立ち位置でもあります。

応援してくれる女性たちに、ジュノンボーイという夢を与え、夢の追い方、魅せ方からみんなが抱えている何かしらの不安や焦燥に『至福の時間』を提供することで、活力になってくれればと信じつつ、その『ジュノンボーイ』をどう選び、どう魅せるのか、そしてどう魅せ続けるのか。これを徹底的に行わなければならない。使命感に駆られ、メモにたくさんのキーワードを殴り書きをした審査員席でした。と、美談は華めくように書けるもので、実はもっと使命感を生ませてくれた理由があります。

改めてタグラインの可視化を媒体資料にて

この会社に転職して間もないときに、ピッチコンテストをJUNONが共催して実施をしており、そこに参加したときの出来事です。「お題は、JUNONでどうキャッシュポイントを生み出すか。そこしか興味ありません。以上。」そう言い放ち、投げ出した足はそのまま、背もたれに半分もたれながらも、口元のマイクを置いた彼。100名程度の外部会社の若手社員が彼を見上げ、それぞれ考えた渾身のアイデアをプレゼンしては、納得いかない顔でその男は去ったあの時間。

そのあと、その彼と居酒屋で深夜まで飲んだ時に、JUNONが描くビジョンをクールに語りつつも、苦悩やプライド、強い意思、優しさ、酒の量とともに入り混じりながら、そうして人間味が濃くなっていく彼の姿に、何かときめきを覚えたものです。『キャッシュポイントしか興味がない』と言い放ちつつも、コンプレックスや苦悩に藻掻く編集者そのものの人間的な内情と、そしてジュノン・スーパーボーイ・コンテストを引っ張ることで生まれる、ポジティブな世間の印象との狭間を生きる、彼だけが感じることのできる絶妙に難しい心の置き方と対峙しているからなんでしょうね。目の前でそんな姿を見せつけられたものですから、その次の日(2019年6月ぐらい?)から、社内外問わず、LINEでも彼を『王子』と呼び、いつか彼を王様にしたいという夢?ができました。

と、私が慕う彼の正体は、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストの統括プロデューサーでございます。ジュノンボーイたちに挙って慕われる、めちゃくちゃいい男なんです。とのちゃん(王子のロックな後継者)とも一緒に3人で毎月サウナいってます。余談。参加したいかたぜひ。

▼王子の取材記事もあるので、ぜひ一読ください

SNSで私が何をしているのか、ですが、まずはTikTokを新設、コンテストと連動した企画や、ショートドラマを作ったりしています。詳しくは、下記のPRTIMESで(笑)他にも様々企ているところで、2022年度に放たれる企画たちが楽しみです。

JUNONでは「夢を推す想い」と「至福の時間」を生む、SNSコンテンツ方針~運営を進めつつ、まさにweb3.0に紐づくNFTなど、これからのデジタルトレンドをどのタイミングで紐づけるのか、もっと大枠の課題があります。今の時代に合わせた、足元の『至福の時間』を生むコンテンツ設計を行いつつ、至福の時間を生み続ける『至福の空間』の再設計も同時に見据える必要があります。また、ジュノンボーイなどの『ヒト』がキーとなるJUNONにて、人を囲ったビジネスモデルに挑戦する必要性も日々感じています。

ジュノン・スーパーボーイ・コンテストの基本構図であり、アップデートが必要と考えること

中々、LEONでも壮大ですが、JUNONはもっと未来的な逆算+ファン心理という変数が多い世界線です。LEONやJUNONを共通項として整理しようとすると頭の容量をかるくショートすることも多々ありますが笑、両媒体を結ぶ線があると信じ、それが私の使命感を駆り立てる軸です。JUNONもLEONも言葉や表現、スタイルは異なりますが、やがて少年から青年に、そして大人になる時間軸から眺めると、それぞれが時代に映し出す『THE☆かっこいい』を世の中にイメージングできる立ち位置であり、クロスできる機会こそあるのではと考えていたりします。

出版社にいる以上(むしろこれが出来る権利を持っているから入社した)、カウンターですが、進んでいくAIレコメンド社会に対し、残すべき価値を世の中に打ち出したい。憧れる『かっこいい』から読み手からの共感が生まれ、そんな『かっこいい』先輩がすぐ近くにいる。そんな古くもアナログでフィジカルな関係で、人に憧れが残り続ける未来を想像しながら。出版社の相対的な役割としては、この『  』部分の社会的責任が大きくなるだろう価値観の定義と体験をと、、このあたり語ると長くなるので、また別の機会にでも。

※理想は、大人エレベーターそのものが一番近いイメージです!

⑤デジタルセールスサポート運営体制構築

さて、編集部とのメディアに関連するアセット作りと並走しつつ、メディアビジネス部内での広告収益のグロス金額の拡大を狙っていくことも必要です。まだまだ収益割合の高い「タイアップ広告」。タイアップ広告をデジタル上でターゲットを拡張し、広告配信を行うことで、タイアップ広告からの態度変容母数拡大を狙う。いわゆるディストリビューションメニューというものがあり、主に、そうしたディストリビューションメニューの運用体制化およびレポーティング体制の構築が2019年転職初年度のアクションでした。

年齢も50-60代、デジタル業務の経験はない先輩2名+山口でどのように運用体制を構築するか、なかなか変数の多い課題だったと記憶しています。具体的には、facebookやInstagram、twitterなどのSNS広告から、outbrainやLoglyなどの外部ネットワーク、SmartNewsやAntennaなどの外部キュレーションメディアなど幅広い分類から各商品体系の違いと業務フローの設定など、多岐にわたる商品群を2名の稼働範囲でどこまで行う/行わないの線引きを試行錯誤で行ったものです。

前職での経験を基に進めていたのですが、環境も絶対的に異なる中、約二回りも違う先輩方に指示を出しつつ、時には冷静を失い、強い口調でせめてしまう小生の言葉をそれでも優しく包んで頂きながら、体制構築化まで進められたことは感謝でしかないです。

媒体資料でのセールス内容

課題としては、運用の効率化でもあり、かつ定常的な運営体制の担保として若手の登用が必要と考えています。残り数年で退職してしまう先輩方を見据えつつ、次世代に引き継ぐ基盤作りをしたいと考えています。

⑥リードマーケティング運営体制構築

営業課題としても、『新規顧客の獲得』と依然たる課題としてあったもので、ある程度体系化されつつある『リードマーケティング』を実践できるようにすることを進めた2020年。

CRMツール導入からメルマガ配信管理、リード元の繋ぎこみ、名刺情報のインストールなどのベース作りから、セールスアクションとしてのオンラインイベントやトピックス作成からPR戦略作り~実践までと、2020~2022年現在まで川上~川下まで実施していきました。
まだまだ穴が多く、改善余地満載ではありますが(汗)、『メディアアセットを作り、それをどのように認知獲得につなげ、管理していくのか』リードマーケティング実施要件として、デジタル推進室で管轄しつつアセット開発/推進と連動できる体制をイメージしつつ、日々トライをしている最中です。

リードマーケティングの改修課題はまだまだあります

3.どんな経歴を辿ってきた人か

wantelyのマイページに簡易的にまとめておりますので、よろしければこちらを参照くださいませ。

社会人経歴

2012~2013年:ネットマイル
2014~2019年:インフォバーン/メディアジーン
2019~現在 :主婦と生活社

特に影響したのはインフォバーン/メディアジーン時代でして、デジタルメディアに関する幅広い業務を経験させてもらいました。アカウント営業、プランニング担当、ディレクション担当、パートナーレップ業務、メディアコンサルティング業務、アド運用業務など、様々なレイヤーの社内/マスメディアを含めた様々なパブリッシャーの方々での社外問わない広い関係の中で、メディアを軸にした『ブランドビジネス』の根本を叩き込んでいただいたものです。コンテンツファーストで優秀な先輩方とこの会社で出会えたのは、今でも日々反省するときに必ず振り返るほど、ここで学んだ考え方を参考にしています。

またインフォバーン創設者である、小林弘人さんの著書『新世紀メディア論』を大学時代に読んでいなければ、インフォバーンを志望することもなく、今の自分はなかったと言っても過言ではありません。
そうして大学時代に2つのマガジンを創刊する経緯があります。

大学時代

たびぃじょ(2011年創刊_2022年現在発行Vol.22)

『ひとり旅女子のためのフリーガイドブック』として、『かわいくておしゃれでおちゃめな女の子のためのひとり旅』を『たびぃじょ』と名付け、女ひとり旅の新しい在り方と新トレンドを生み出すことを目的に、このフリーペーパーの創刊/発行人としてmixiを使って仲間を集め、発行したものです。当時2010年に留年して団体を立ち上げた、想い出の濃いもので。

約10年後の2019年には、当時の学生メンバーが大きなコンテストで表彰されることになったときには感慨無量でした。2022年の今も、たびぃじょを発行するために様々な大学生が団体を運営しています。『旅が好き』からボランティアが生まれ、その意思を残そうと後輩に受け継ぐ、そうした当時からのひとり旅へ込めたビジョンが生き続ける体験を、立ち上げた本人として今も間接的に得れることは大きな自信にもなっています。

▼電子書籍でも読めるので旅好きな方はぜひ!

edumo(2010年創刊_vol03で終了)

同じく留年しながら、教職課程を経た4年生はじめのタイミングで、日本の学校教育の教員/志望者のネットワークを繋ぎ、より良い学校教育の在り方/実践者との交流を図ることを目的に、教職フリーペーパーとして創刊したものです。当時は、関東や支部として広がった東海を中心に教職課程の授業に潜り、このフリーペーパーを直接授業前に担当教員と掛け合い説明し、配布していました。元々教員志望であった私でしたので、学校教育×メディアを通じた貢献領域にて、試行錯誤をしながら、教職志望者が集まる学生団体を作り、イベント運営から合宿イベント、メディア運営と進めたものです。社会課題を改善するために、志望者×学校教育を新たに結ぶ、メディア機能そのものとしての意義を体験したものでした。

edumo vol.02 当時のテーマは教育実習の現場を置いたものです
青い想いでした

アフリカ大陸縦断(半年間)

『ガイドブックもない、知らない土地で、知らない人々、知らない文化で目的を達成すること』この絶対的な経験を追体験として得れた、そんな旅です。当時、電波少年に憧れを持っていたものでしたので、南アフリカの喜望峰からユーラシア大陸最西端のポルトガルのロカ岬まで、ヒッチハイクや時には自転車を使い縦断した、学生最後のチャレンジ企画(笑)でした。最後にたどり着いたロカ岬の先に見える水平線が今でも心に刻まれている、地球への果てない挑戦でもありました。またいつかロカ岬から冒険を再開したいものです。


4.課題

出版社で働く上での環境と編集者

現在、デジタル推進を進めるうえで、様々な課題があります。
そもそもの出版社環境として体感したことですが、編集者割合が高い特性はもちろんのこと、平均年齢層の高さ、成功体験が異なる世代間の結果への認識、異なる言語(これはデジタルと誌面の違いにあるもの)、編集部単位での常識の違い、コンテンツに対する強いプライド。特に感じて自分も高まったことは、『編集者は、0から企画を生み出しマネタイズまで繋げる意思』を持ってることでした。

よくデジタル界隈では、工程(経営企画、開発、企画、マーケティング、インサイドセールス、アウトサイドセールス、CSなど)を分解し、チーム全体で川上~川下まで至らせるような効率的な仕組み(企業のフェーズによりますが)があります。時間効率を考えれば、優れた方式だと思います。

ただ、弊社では一貫したPMも兼務した役割を、編集者が担っている場合が多いです。発端は、あくまでコンテンツ企画からであり、始点の認識のズレもしくは役割の勝手な線引きなどがあると、編集者と並走することは難しい性質があります。まずは『自分でコンテンツを企画する力/考えられる力』は最低限の要件であり、その上で並走し、役割を生み出していくことが、出版社でデジタル推進を担当するものとしてはマスト思考/スキルなのではと考えています。

改善すべき課題として

●社内外を巻き込んだプロジェクト体制の推進

とはいえ、全行程をできるスーパーマンはいない(いても今をときめく企業か起業しているだろうな)と思っていますが、叶えるための体制、それは社内外を巻き込んだプロジェクト体制の推進を行う必要があると考えています。PMとしての役割をデジタル推進室が担うことで編集者との相乗関係を築き、足し算ではなく掛け算ができると信じ、そのスタンスを実現してきた所存です。

会社に対しても成功事例を作ることで、人員の拡充やプロジェクト体制を補完できる評価制度や配置方法など更にサポートして頂けるようにしたいと考えています。

よく会社の組織体系やスキルセットにいちゃもんを難癖をつける方々を見受けますが、今できることからステップバイステップで積み重ねていきながら変革を起こすこと。これが私のスタンスでもあります。やるべきことをやる。粛々と進めていくことで、何段目かに訪れる大きな好機を虎視眈々と見据えることも、レガシー企業で必要なスタンスなのではとも、改めて。

●データ設計/運営ポリシーの要件設定

正直、データビジネスの要件整理すらまだまだ至っておりません。要件設定からマネタイズに繋がる活用要件、検証、運営、体制化など進んでおらず、また社内にはデジタルディレクター不在の現状ですので、データ×ディレクターとの連動した体制もありません。一部媒体では、外部パートナーとの連動体制で進めようとしていますが、各媒体固有のデータ要件であるので、簡単に同パートナーでの横展開とはいかず、それぞれ編集部と膝を突き合わせたアジェンダ設定を行う必要があるフェーズです。またデータ取り扱いに対する監視体制も弱く、ポリシー管理から守りだけでなく攻めに転じることのできる余白も作る必要もあります。

●arやCHANTO、週刊女性などへのビジネス注力化

3年間を通じて、主にLEONやJUNONをベースに編集部とのアセット開発~推進を進めてきている最中ですが、他編集部との連動はまだまだ出来ていないことが多いのも事実です。

各市場環境や生活者環境、メディア環境に合わせた分析と、各媒体のコア価値に紐づくアセット創出などと、初手を踏み切れていない状況です。上記を文字に起こすとたった1行で表現できる虚しさもありますが、要は編集部との並走をする覚悟=時間がかかるもので、相手を理解し、信用を得て初めて並走ができ、『絶対にやるべきその企てを実行できる好機』に変化するものです。意思を持ち続けることが大事です。メディアブランドを運営してきたプライドを持つ編集者に対し、理解と敬意を体現しつつ、積み重ねた先にやるべきことを一気にやり抜く、そんなタイミングと空気感を読むことまでが、スキル面以外に特に出版社では必要な所作なのではと、思います。

私の現状タスクを換算すると、他媒体に手を広げきれない状況でもあり、これらの媒体領域のビジネス推進に二の足を踏んでいます。ぜひPMとしての意思を持ちつつ、編集者と同じ目線でビジネス推進に掛け算を与えてくれる方々が今したらお力添えを頂きたい。その一心です。

7.想いとして

出版ビジネス2.0へのアップデート

出版といっても多岐にわたるビジネスモデルが連なっており、一概に定義することは難しい状況です。ただ、各媒体ごとに必要なビジネスモデルとアセットを見出し、出版文化(主に私の関心は雑誌ですが)を継続できるための収益を生み出すことが、会社の先にある、文化への貢献と考えています。

苦しい環境とも捉えられるかと思いますが、それでも編集者の強い意思とプライドが残っているこの環境は、好機に転じる大きな変数を秘めていると信じています。推進した先に、利益だけでなく文化への貢献まで結ぶやりがいを信じ情熱を込めて取り組みたい方がいればぜひ、一緒にやりたいです!

8.最後に募集!

ここまでお読みいただきありがとうございました。

さて現在、デジタル推進セールスサポートメンバーを募集しています。が、上記に記載した、LEONでの新ビジネス推進担当や他メディアでのビジネスプロデューサーとしての人員要件ももちろんあります。また、制作関連でもSNS動画ディレクターや、WEBまわりでのディレクターなど、必要人員と考えています。なので下記募集要項に記載していない事項でも、wantedlyからその旨を伝えていただければ、ランチでもまずはご一緒できればと思っています。

▼新卒さん(もしも学生さんでびびっときたら)

また、会社間でのパートナーシップでの取り組みやアライアンスを組んでのアクションもまた募集しています。なかなかヒトが集まりにくい弊社環境ではあるので、こうした想いで共感していただける方、何卒。お力添えをば。

ここまで10,000文字強。長くなりました。読んで頂いた方は奇特かと思いますので、きっと共感できる仲間であるかと、想いを持って改めて何卒。そうしてご一緒にと頂けたらそれはありがたい限りです。

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