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気ままにクリエイティブ観察 ”無印のカレーが食べたい”編

観察が日課のFRACTA AD(アートディレクター)宮崎です。FRACTAではクライアントのキービジュアルや販促ツールなどのアートディレクション、撮影ディレクションなどを担当しています。
今回より「気ままにクリエイティブ観察」として、世の魅力的なブランドについて日々考えていることをご紹介していきたいと思います。初回は ”無印のカレーが食べたい”編です。

最近、無印良品のカレーの記事コンテンツを見て、8種ほどカレーを大人買いしてしまいました。シンプルな色面構成のイラストはサムネイルを一度見ただけで記憶に残り、思わずインスタでブックマーク。そして無印っぽい。スクロールして出てくる選び抜かれたシンプルなコピーやシズル写真に素直にグッときました。
ブランドとして参考になることはたくさんあるのですが、今回はこのカレー記事をピックアップして考察していきたいと思います!

情報を絞ったシンプルで丁寧な表現

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このコンテンツの魅力はなんでしょうか?
美味しさのために何をしたか、最低限の言葉で、シンプルに丁寧に表現されている様が魅力的で、独特のセンスを感じました。

長いプレゼンを聞かされてあくびが出るように、こちらの都合はお構いなしに自分の主張をガツガツ話してくる、そんな人(ブランド)は現代では愛されないと思います。
でも、情報を絞るって難しいことです。開発者にとっては商品の魅力を伝えたいですから、たくさん情報を並べたくなりますよね。情報を絞るということはとても勇気が入ります。このカレーの記事にあるような潔い表現は、商品への自信とブランドの知名度があるからこその表現であり、決して簡単に真似できないものです。

もう少し噛み砕いて魅力を考察してみましょう。

誰が読んでも共感できるような学びからの実践

以下は、商品開発の姿勢を伝えるタイのレポートです。

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商品開発は現地に学ぶという実直な記事。子供にも語れるような優しい内容。決してカレー好きのための情報ゴテゴテな表現になってないところにセンスを感じます。誰が読んでも共感できるような学びからの実践を、最小限の写真と言葉を抽出して伝えていることに好感が持てます。どんな味なんだろうと想像を膨らませる余地がある、語りすぎないことで期待させる、ここが無印良品の愛されるポイントなんだろうか?
自分の魅力を余すところなく一生懸命伝えようとすると、その「見えない圧」が魅力を半減させてしまう気がします。

商品と無印良品自体がもつ世界観のバランス

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ラインナップも見せ方は一見シンプルですが、非常に計算されだデザインです。
商品写真はシズルを引き立てつつ、それぞれのカレーの種類を比較しやすいようなライティング、アングルになっています。またカレーによってご飯とルーを別にしていたり、お皿が白かったりステンレスだったりと、各カレーの文化をさりげなく取り入れ、美味しさを引き立てるテーブルコーディネートになっています。ただしそれらが別々の世界観ではなくて、無印良品の世界観とのバランスを非常に上手く保ちながら表現されています
文字情報は商品名と辛さの指標のみ。カレーだけでこれだけ並べられると、大きく表示された商品名はありがたいし、辛さの指標も気が利いています。

一見普通に見えると思いますが、無駄のない気持ちの良いデザインです。顧客が知りたいと思われる情報だけを理想的な形で抽出して構成することで、スピーディーなコミュニケーションを実現しています。


届けたい人に気持ちよく届くコミュニケーションの実行

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商品開発は現地に学ぶという実直な姿勢だけでなく、サービスを届けたい人に気持ちよく届くようにコミュニケーションをする。これができているブランドは世の中には本当に少ないと思う。なぜなんだろう。
簡単に情報がインプットできる時代だからこそ、100%の情報量ではなく、想像の「余白」を残したコミュニケーションは人を惹きつけるのかなと思います。サービスの特性を考え、タッチポイントに適したコミュニケーション設計をすることはスタートラインでしかないのです。

記憶に残る「もどかしいエモーショナルな距離感」でハートをキャッチできたら素敵です。

海老のクリームカレーが絶品でした^ ^


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