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ソムリエ協会 例会セミナー

8月某日
前から申し込んでいたワインセミナーの日。

午前中は企画系の業務で関係者全員を呼んで打ち合わせをした。質問、要望、クレームの対応で、案件は雪だるまのように膨らんだ……。その他にも業務が溜まっているのだけど、今日ばかりは、譲れない。午後は休みを取り、そそくさと会場へ向かった。

そう、私はワインに関わる仕事をしているわけでもないし、飲食業に関わっているわけでもない。だけど日本のソムリエ協会の会員に登録し、例会には極力参加するようにしている(日本酒関係のセミナーばかりは、未だ参加したことがない)。

例会は、協会の理事でメディアでもよく耳にするソムリエの方が講師を務める。
予め決められたテーマについて、前半に座学で学び、後半でテイスティングという名の実践に入る。
そこにはテーマに沿った選りすぐりのワインが用意され、私たちはブラインド・テイスティングを行う。
 
セミナーは、業界のトレンドや最新の情報を教えてもらえるのがよい。
講師の先生は、外国の視察から帰ってきたばかりで、言葉の感覚が少しくるっているのでお手柔らかに、と話していた。ソムリエの世界は華やかな感じに見えるが、ワインだけでなく、人前で講師をするなど、いろんな能力が必要なんだろうな。

フランス好きには残念なことだけど、ワイン業界におけるフランスの地位は、相対的に低下していると感じることがある。

これはフランスに原因があるのではない。
今、もはや世界中で素晴らしいワインが作られていること、気候変動がとりわけ高緯度にある地域のぶどうの栽培やワイン作りにかなりの影響を及ぼしていること、そしてこれも世界的な傾向だけど、若い人を中心に、ワインを飲む人、いや、お酒に興味を持つ人が減っていることによると、ここでも何度も耳にした。
今回のテイスティングだって、周りの多くの人がシャブリだと思ったワインは、別の国のものだった。

同じ品種でも、フランスより南アの方がおいしかった

そういえば、日本のフランス関係のイベントで、昔は必ずシャンパンで乾杯していたのが、今年はロゼに変わった。
そんな話をワインが好きなフランスの知人に話したら、なんたることとぷんぷんしていた。
でも、ワインのトレンドは、時代に合わせてどんどん変わっていくのだ。

ブラインドテイスティングは、たくさん外してしまった。
私の鼻や舌は、品種の特徴を把握できなくなってしまってきていると痛感した。
そんなものなので、久しぶりに、ワインスクールのオンラインショップでワインエキスパート二次試験対策(テイスティング)の小瓶セットを購入した。

あぁ、この時間がとても愛おしい――。

——
ホテルを出ると、会場はまだ明るかった。
口の中にかすかに残る余韻を感じながら、職場に背を向け、学生たちで満員の電車に乗り込んだ。

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