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フランスワインを巡る旅 ボルドーのシテ・デュ・ヴァンで好奇心を満たす

南仏の次なる目的地は、ボルドー。
マルセイユから飛行機で移動しました。

市内の宿でチェックインを済ませ、トラムを乗り継いでシテ・デュ・ヴァンへ。

市の中心部へ向かうトラムはジロンド河に沿って走ります。川沿いの遊歩道はゆったりとしています。また、道路の反対側には古くて優雅なアパルトマンが並んでいて、どこかパリの15・16区周辺の界隈に似た落ちつきを感じました。

黄昏時の水鏡

ボルドーはイギリスとのワインの交易で栄えた港町。パリに先立ち18世紀の都市計画で整備され、現在は月の港としてユネスコ世界文化遺産に登録されています。

前を歩く青年もシテ・デュ・ヴァンへ

最寄り駅名もラ・シテ・デュ・ヴァン。
駅から変わった建物がみえます。

ボルドー中心部の街並みは全体的に古いですが、こちらはデザインがモダンで斬新で、とても目立っています。
近くから見ると分かりにくいのですが、この建物のフォルムはデキャンタ(ワインに空気を含む容器)をイメージしているそうです。

ここでは世界のワインにまつわる展示からテイスティングに加え、講座やイベント等、凝った企画が催されています。2016年のオープン以来、改修を経て入館者の総数は250万人を超え、パリ圏を除き国内美術館の中で4番目の規模であることが地元のメディアで取り上げられていました。

シテ・デュ・ヴァンの入口

入場料は22€とやや高めですが、多言語対応多機能音声ガイドや展示スペース見学後に最上階でグラス1杯分の試飲ができるチケットがついています。
ちなみに入場料は常設展年間パス48€や賛助会員パス500€等もあるようです。私がもし近くに住んだら、新しい企画が出る度に通い詰めてしまう気がしてなりません。

常設展は見どころ満載です。ただ目で見るだけでなく、耳や鼻に訴えるコンテンツも充実していていました。

ワインの歴史のコーナーにて。

古きワイン賛歌

アンフォラのような器の左下に鼻のマークがあるのがわかりますか?
ボタンを押すと、展示に沿った香りが現れます。

つづいてワインのアロマ体験コーナー。
ここにはワインが発するありとあらゆる香りが揃っていて、とても面白かったです。

閉館直前のため、独占状態

花や果物、乳製品や鉱物、獣など、ワインで感じ取れる香りのサンプルが並んでいます。

ラッパのような器具に鼻を近づけてパフを押すと、ふわっと香りが現れます。

おおっこれが馬の香りか

さらに、社会のトレンド15のテーマとそれに絡んだワイン事情を知るコーナーもおもしろかったです。

情報量が多く、充実。

「エノ(ワイン)ツーリズム」「インクルーシブ」「環境への対応」「型を破る(casser les codes :なんか日本的)」が個人的に引っかかりました。
ちなみに「エノツーリズム」はまさに今取り組んでいる自主研究にヒットするのテーマで、この2日後にも再訪し、その場に居座ってオーディオとテキスト資料を書き写してきました。

面白い企画をもうひとつ。いくつもの質問に答えていくと、自分がどのぶどう品種に該当するかを教えてくれます。

私は上司からも大胆だとか、大雑把だと指摘されるほどですが(どんだけ)、実際はブルゴーニュのピノノワールのような複雑さと繊細さ、エレガンスを持ち合わせていることがここで証明されました。

最後に、メドックに佇む優美な城建築のレプリカ。

建物の外観で半分以上のシャトーを当てました。

また、写真を撮り忘れましたが、主要なワイン生産国ごとにその地の生産者がインタビューに答える展示がありました。日本は山梨県北斗市にある中央葡萄酒の三澤彩奈さんが登場していて、まぶしい笑顔で甲州ワインのお話しをされていました。

閉館10分前に最上階へ駆け込みました。
ここでは世界のワインが日替わりで揃っていて、その中から1杯セレクトできます。

今回はボルドーの泡(クレマン)をセレクトしました。
クレマンはシャンパーニュと同じ瓶内二次製法の高品質なワインです。この製法のスパークリングワインはフランス各地で生産されていますが、シャンパーニュとは名乗ないためクレマンと呼ばれています。

セミヨン主体

日本ではなかなか飲めない(と思う)コスパよしの逸品でした。

9階から見下ろすボルドーの景色が素晴らしい
この川はいつ見ても茶色い気がする

常設展示はフロア1階分でそれほど広くないはずですが、ワインがお好きな人には半日でも足りないくらい、中身が充実しています。
不満がひとつだけ。18時閉館は、早すぎる…!

ちなみにボルドーについては過去に記事を書いていますので、よろしかったらそちらもぜひ。



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