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『Refind Self: 性格診断ゲーム』をプレイして「生きるの下手」でも強くあろうと思った

最近、自分が「やべーやつ」じゃないか急に不安になってきた。

友だちのよそったカレーライスを見て「三権分立だね」と言って笑いながら大量のラッキョウを食べたり、ホットコーヒー専用の紙コップにキンキンに冷えたカルピスを入れて会社の後輩に「これ、なに入ってると思う?カルピス。」とまったく生産性のない会話をけしかけようとしたり、夕方のキャンプでマシュマロを焼きながら「マシュマロ職人の朝は早い」と顔をしかめて何度も呟いたり、22時頃に夫の尻を急に触り「あなたの今日の運勢は大吉ですね」と言ったりする。

振り返ってみると、なぜそんな行動に至っているのか、まるで思い出せない。文字にして客観的に見てみると、社会人として本気でどうかしていると思う。

そんなとき、私の大好きな作品『フルーツバスケット』の作者・高屋奈月先生があるインディーゲームをリポストしておすすめしていた。

敬愛する漫画家先生のおススメするコンテンツは、「神が気に入っているものならば」とついつい手を伸ばしてしまう。

(だって、大好きな作品の創造主がおススメするものが私の感性と合致することは想像に難くないし、だいたいハマる。仕方がない。)

さて、こちらはLizardryという個人開発のゲームクリエイターがリリースした「Refind Self:性格診断ゲーム」。どうやらゲームを通してプレイヤーの性格を判定するものらしい。

どんなゲームでも、人によって進み方や何を選択するかは様々。
誰一人としてまったく同じようにプレイすることはありませんよね。
そう、ゲームをどうプレイしているか、そこにはその人の性格が出ているもの。
そんな自分の性格を知ることができるのが――Refind Self

「Refind Self: 性格診断ゲーム」公式サイトよりゲーム紹介

自分の人間性にやや懐疑的になっている今だからこそ、手を伸ばすべきゲームではないか?

そう思い、昼ご飯をやや簡素にして、浮いたお金でポチッと購入してみた。初めてのインディーゲーム購入である。そのお値段は600円(Android版)。蒙古タンメン中本のレディースセットとほぼ同じ値段だと思えば、全然お手頃に感じる。

前置きが長くなったが、本noteはアラサー中堅職の会社員が自分を見つめ直すために、ゲームを通して性格診断を試み、己の本質について改めて考える……はず、の記事である。


「Refind Self: 性格診断ゲーム」

例えば、アクション系のゲームであれば、きっと大胆に敵陣を攻めて豪快にボスを倒す人もいれば、ちまちまと攻略を進めて相手の弱点を知り対策を立てて倒す人もいる。

乙女系ゲームであれば、特定の相手に愛をささげて何度もプレイする人もいるし、攻略相手全員のすべてを知るために、細かな選択肢の変化を見逃さず網羅的にプレイをする人もいるだろう。

このゲームのコンセプトもまさにそうで、様々なゲームをプレイする傾向から、その人の性格の特徴を導き出そうとしている。

ゲームって、性格が出ると思いませんか?
これはシンプルな探索型アドベンチャーゲームを通じて、その行動から性格診断をするデータサイエンスなゲームです。

「Refind Self: 性格診断ゲーム」公式サイトよりゲーム紹介

診断できる性格は23種類で、研究家やリーダーのような診断に結果としてよくあるものから、勇者、聖職者、武闘家などいわゆるゲームの役職っぽいものまで。

性格診断結果の一覧。勇者とか絶対になれない。

これまで様々な性格診断テストをやってきた。SPI、SHL、ストレングスファインダー、エマジェネティックスなど。気軽にできるものでは16Personalitiesも。

ちなみに、大体のテストで思考型で対人関係が下手くそみたいな結果が出てくる。どうせ私はコミュ障だよ(泣いてなんかいない)。

はじめて体験するゲームでの性格診断、果たしてどんな結果が出るのだろうか。

レッツプレイ

ゲームを開始すると、なんだか無機質なロボットが水先案内人をしてくれる。

案内人。映画泥棒みたいなビジュアル

プレイヤーはこのゲームの主人公になって、ゲームの中の様々な登場人物と交流したり、様々な場所を調べたりして、「自分を創ってくれた博士」との想い出を辿りつつ、自身に託されたものが何だったのかを解き明かしていく必要があるようだ。

死んでしまった博士のお墓からスタート
主人公の女の子、かわいい

プレイ可能になると、早速「調べる」というボタンが。ひとつの行動や選択をするごとに、診断材料として左上のハートのゲージに蓄積されて、100%になれば分析が完了しゲームクリアとなる。

眼の前にあるものを調べるか否かも自分の判断

何かを調べたり、拾ったり、ちょっとした手伝いの有無を聞かれることもあれば、ギャンブルに手を出すか聞かれることも(そしてそのミニゲームも作りが凝っている)。

時には、究極の選択をしたり、相手を生かすか殺すかを考えなければいけない場面もある。簡単に選べるものもあれば、ちょっと悩まされるものもある。選択って難しい。

ゲームの世界観は、ちょっとだけ哀愁があり、なんだか不気味でもあり、でも、どこかチャーミング。そんな独特の世界に浸っていると、あっという間に時間が経っていく。

花、拾っとく?
どちらか一方しか助けられないとしたら…?
ゲームの中では様々な問いかけがされる
自分が選ぶ選択肢は……?
そして博士は私に何を託したのかーー。

プレイ時間は1時間程度。無事に100%を達成しクリアすると、ひとつの結末を提示される。

診断結果

エンディング後、自分がプレイした内容の行動パターンが閲覧可能になる。私の初回プレイ時はめちゃくちゃ花を拾って、室外機を調べて、そして何かをたくさん読んでいた。

拾った大量の花が何かに役立つかと思ったら、(私の初回プレイの限りでは)誰かにあげたりとかお供えしたりとか、そんな行動はまったくなく、ただ「花を拾う人」と化しただけだった。めちゃくちゃ私の人生みがある。

めっちゃ花拾ってる。

そういえば昔、「君は生きるの本当に下手だよなぁ」って言われたことがある。

あれは確か、11月の下旬。夕日が差し込むただっぴろい会議室で、新卒で入社した会社の部長(パンチパーマで見た目は完全やくざだが良い人)とふたりで面談していたときのことだ。当時、私は営業職で、今年の売上の着地点とか、ちょっとしたキャリアのことだとかを話し、もう面談も終わりかというタイミングである。

正直、その発想はなかったので、「あっ、私、生きるの下手なんだ」って変に自覚してしまった。なんて返事していいか分からず、会議室が一瞬しんとなった記憶がある。

よくよく考えれば、結構失礼なことを言われていると思うけれども、当時の真面目な私はその言葉がなんだかひっかかってしまい、時折「生きるの下手なのかなぁ」と考えるようになった。

……。なんだか急にしんみりしてしまった。さて、待望の性格診断である。最大で5つの性格に照合してくれるようだ。

まずは「あなたを最も象徴する性格」から。

聖職者

あっ、生きるの下手そう~~~~~!!!!!!!

聖職者って。その発想はなかった。割と損得勘定で生きている方かと……。でも、それができたら「生きるの下手」ってことはないんだよなぁ。

そういえば、乙女ゲームとかやってても、攻略対象が悲しむ顔を見るのが苦手すぎて「相手の告白を振る」という選択ができない。なのでいつまでたっても、エピソードが埋まらない。コンプリートできない。もしかしてそういうことか……?

気を取り直して、「貴方を補足する性格」。

研究家

これは嬉しい。確かに考察とか感想を書くのは好きなので。とくに作品鑑賞時は、その世界に入り浸ってものごと考え続けちゃうので。それこそ眠れなくなるほどに。

本質に関係ない情報でもめちゃくちゃインプットしちゃうし、ドーパミンどばどば出しちゃうタイプ。

あれ、でもそれってもしかして、これも「生きるの下手」ってこと……?

……よし。次も「貴方を補足する性格」。

旅人

これは生きるの上手いのでは!?(価値基準が生きるの上手いか下手かになってきた。)

よくタレントマネジメントとかで活用されるパーソナリティ診断では、「自分の意見を押し通す方か」「周りの意見を優先する方か」を計る質問が多いけれども、正直「ケースバイケースだよなぁ」って思うタイプなので、柔軟性があるといわれるのは嬉しい。

ちなみに、診断を2回プレイすると「貴方の秘められた性格」、3回で「貴方から最も遠い性格」がはじき出される。そして3回目のクリア後には、なぜ様々な行動や選択を通して主人公の性格診断をするのか、その意味が明かされる。そちらはぜひ、プレイして見てほしい。

まとめる気のないまとめ

当初、自分が「やべーやつ」かどうかを確かめたいという、軽いノリで始めたゲームであったが、図らずも自分の「生きるのが下手」な部分が露呈されてしまった。どういうことだ。

一方で、「探求心」「柔軟性」など「あったら良いな」と思う性格がゲームプレイを通して導き出されたのは純粋に嬉しい。ちょっと気力が湧いてくるというか。

そしてゲームの独特の世界観もとてもよかった。このゲームのように、これまでの選択や行動などの経験が、自分という一人の人間を確立している。そのことを実感できた気がする。

生きるのが下手だとして、それがなんだ。ここにいる自分は30ウン年の賜物じゃ。「ほっとけ!」と思いながら、あの時の部長にあっかんべをして生きていくことにする。


(冒頭のよくわからテンションに対し、終わりが思いがけずしんみりしてしまった。ただ、そんな風にしみじみするのも、このゲームの魅力なのかもしれない。)

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