銀行預金かMMFか(ユーロ圏の金利)

2019年には0%だったECB(欧州中央銀行)の主要政策金利は2022年後半より上がり続け2023年には4%を超え現在は4,5%となっています。
2024年1月の会議では少なくとも3月末まで4,5%据え置きが決定されています。
Key ECB interest rates
 https://www.ecb.europa.eu/stats/policy_and_exchange_rates/key_ecb_interest_rates/html/index.en.html
 このECBのウェブにある表の真ん中にある「Main refinancing operations」という列が主要政策金利です。

政策金利に連動する金利にECB預金ファシリティ金利(Key ECB interest ratesの表Deposit facility列)がありますが、これは市中銀行がECBに預金した際に発生する金利で、皆さんが銀行に預金をした際に支払われる利息とは異なります。

Raisinというヨーロッパ各国の高金利の金融機関に預金ができるプラットフォームでは12ヶ月定期預金の金利が3,95%など高金利な金融機関もありますが、スペイン国内では新規口座開設者向けキャンペーンや給料受取りの条件付きのものを除くと高くて一般・貯蓄口座の預金で約2,5%、定期預金で約3%ほどではないでしょうか。

このような状況で現在スペインで投資対象とされているのがユーロ建のFondos Monetariosと呼ばれるMMF(マネー・マーケット・ファンド)です。短期の国債などで運用し、ECB金利に近い運用利益を目指す投資信託やETFです。

例えば、「GROUPAMA TRESORERIE - IC (ISIN: FR0000989626)」というMMFを例に見てみましょう。下記は2023年10月1日から2024年1月31日までの4ヶ月間の利益率のグラフです。

Groupama Asset Management
https://www.groupama-am.com/esp/es/particulares/products/fr0000989626

この4ヶ月間の騰落率は1,42%でした。単純に12ヶ月換算すると4,26%です。ECB金利が4,50%へ引き上げられたのが2023年9月20日ですので、それ以降の期間で金利に近い利回りとなっているのがわかると思います。

定期預金の金利と比べても魅力的な利回りですね。定期預金では、あらかじめ決められた期間中に解約することができなかったり、解約料が発生する場合や、途中までの金利も受け取れない場合がほとんどです。しかし、MMFの場合は必要に応じて売却することができ、それまでに発生した利益を受け取ることができます。
ただし、MMFには定期預金と比べてデメリットもあります。定期預金では預入時に金利が確定し、満期時に元本と約束された金利を受け取ることができるのに対し、MMFの利回りは絶対ではなく、元本割れのリスクもあることを理解して購入する必要があります。今後、ECB金利が低下したり、騰落率が下落した場合には、売却や他の投資信託に変更する必要が出てくるかもしれません。

先例のMMF「GROUPAMA TRESORERIE - IC」の騰落率を2019年1月1日から2024年1月31日まで拡大したグラフを見てみると、ECB金利がゼロ金利、低金利の時期には利回りも下降し、2022年秋の金利上昇時期から騰落率が上昇しているのがわかると思います。

Groupama Asset Management
https://www.groupama-am.com/esp/es/particulares/products/fr0000989626

例えば2019年初めに10.000€分購入した場合、2022年10月には9.867€まで減少しているということになります。
またこのグラフでは2022年10月からは騰落率が急上昇しているように感じますがこの期間の騰落率は4,15%です。10.000€投じた場合でも415€です。有名な指数S&P 500の同じ期間のUSドルベースでの騰落率は30%(ユーロベースのファンド*で20%)ほどですから、決して大きな値上がり率が期待できるものではなく、流動性の高い定期預金くらいに捉えた方がいいかと思います。
*Vanguard U.S. 500 Stock Index Fund - EUR Acc (ISIN: IE0032126645)

現在、ドイツのネット証券Trade Republicでは50.000€までの運用していない現金残高に対して4%の利息がつきます。定期預金ではなく流動性も高いのでMMFのリスクを受け入れられない場合にもおすすめですが、スペイン国外の金融機関であるため、利息は確定申告時にマニュアル入力した上で納税となります(Trade Republicの場合ドイツ国外の居住者には源泉徴収なし)。
同様に国外資産となるため残高が50.000€以上の場合にはModelo720を提出する必要があります。
スペイン国内の金融機関で定期預金やMMFなどを保有している場合は、その金融機関から国税に運用報告が行われますので確定申告時には自動で入力されていますが、念のため申告時には情報に間違いがないか確認することをお勧めします。

スペイン国内でMMFを含めた投資信託の購入を考えている場合はネオバンクMyInvestorがお勧めです。
MyInvestorでは2024年2月時点で1800超の投資信託(内ユーロMMFは22本)の取り扱いがあり、運用会社や利回り、信託報酬などを見比べて選択が可能ですし、販売手数料を含め保管費用等、手数料が無料です。
こちらのリンク内の「Buscador de fondos」よりISINやカテゴリーなどのフィルターを使ってMMFを含めたMyInvestorで取扱のある投資信託が検索できます。MMFの検索は「Tipo de Activo」からプルダウンで「Monetario」を選択してください。
https://myinvestor.es/inversion/fondos-inversion/#buscador
また現在、普通預金では残高70.000€まで利息2,50%、定期預金は預入期間3ヶ月で2,9%、6ヶ月・12ヶ月のもので3%の利息がつきます。
その他にも、株・ETFの購入や、Plan de Pensiones、ロボアドなども利用が可能なオンラインの銀行です。
他の金融機関と比べてみてはいかがでしょうか。

Trade Republic 招待リンク・招待コード
https://ref.trade.re/kftplqq1 (コード: KFTPLQQ1)

MyInvestor 招待リンク・招待コード
https://myinvestor.page.link/KWcK3o6TboC7vRoZ9(コード: XQMVP)
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すべての投資には損失が発生するリスクがあります。それらを正しく認識したうえで、ご自身の判断で自己責任に基づいて投資を行なってください。

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