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個人年金保険にも入ってはいけない

やってはいけないシリーズでついでに書いておくと、民間の生命保険会社が提供する個人年金保険にも入ってはいけないです。

個人年金保険というのは、59歳まで積み立てた分を10で割って、60歳から70歳まで受け取るような商品が一般的です。終身でもらえるのは掛け金がかなり割高です。

個人年金保険を検討する場合は、個人年金保険控除について理解しておく必要があります。

まず、一括払いの個人年金保険は、税制優遇がありません。初年度に1回分控除されるだけです。これはダメです。

年払いなどの条件を満たすと個人年金保険料控除の対象にはなり、毎年たぶん1万円くらいは節税になりますが、最大でも掛け金8万のうち半額の4万が所得控除になるだけです。

一方、イデコや小規模企業共済、国民年金基金なら掛け金全額が控除対象になります。8万かけたら8万が控除になります。この点だけでも個人年金保険よりずっと良いです。

しかも、個人年金保険だと年20万や30万かけても上限8万の実質4万までしか控除対象になりませんが、イデコや小規模企業共済、国民年金基金には控除の上限がありません。2つ合わせれば最大160万近く控除されます。基礎控除も考慮すると、年収200万でも所得税・住民税が非課税になります。

類似の金融商品がそんな状況なら、そこであえて個人年金保険を選ぶ理由はないですよね。制度的に圧倒的に不利です。

まあイデコや小規模企業共済、国民年金基金は自営業向けのものなので、サラリーマンだと入れません。でも会社員はそもそも厚生年金に毎月多額の支払いをしているので、それ以上年金支払いを増やさなくてもいいんじゃないですかね。そんなに年金を払いたいですか? 給与明細の天引き欄をよく見て冷静に考えてください。

ただ、企業型確定拠出年金(企業型DC)のある会社や、会社員でもイデコに入れる会社にお勤めなら、限度額いっぱいかけてもいいと思います。月2万程度ですが。これらは掛け金が全額所得控除になり、確実にお得です。

あと、つみたてNISAも実質年金のようなものです。30歳から毎年掛け始めたら、50歳から70歳にかけて、毎年満期で引き出されます。ほぼ年金です。個人年金保険に入るくらいなら、つみたてNISAに満額かけて満期まで置いておくのがいいと思います。年40万(月33000円)のつみたてを20年間続けるかたちになっています。

最近の個人年金保険は米ドル建てや豪ドル建てなど、たちの悪いものが多いです。中途解約しようとすると、とんでもないペナルティが待っています。

マイナス金利下による低金利で、良心的な商品は販売中止になっているので、今買えるのはろくでもないものばかりです。

年掛け金が5万程度で済む円建ての個人年金保険があれば節税メリットのみ取る形で入るのもありかもしれないですが、そういうのは見当たりません。たいていの商品は最低額が年10万か20万くらいで無駄が多くいまいちです。(明治安田生命が「じぶんの積立」のバリエーションで作ってくれないですかねー)

民間生保の個人年金保険は買ってはいけない、と覚えておきましょう。

年金を上乗せしたければ、イデコとつみたてNISAが最優先です。

ついでに書いておくと、変額個人年金保険、変額保険、変額年金といった名前の民間生保の保険商品もすべてダメです。いずれも手数料がべらぼうに高い投資信託のようなものです。普通に証券口座で投資信託を買う方が効率的に資産形成できます。

養老保険、学資保険などの貯蓄型の保険も全部ダメです。0.1%程度の利回りから保険の手数料が引かれて国債よりも割が悪いものがほとんどです。貯蓄型の保険で許容できるのは相続対策の終身保険くらいです。

すでに入ってしまった方は、解約控除に注意しながら解約または減額を検討してください。


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