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知っておいてほしい「お金の知識」 Vol.1 ~扶養控除~

 こちらの投稿をご訪問いただき、有難うございます。「開業FP つっちぃ」と申します。自己紹介記事はこちら↓になりますので、宜しければお見知りおきを。

 自分はFP(ファイナンシャルプランナー)として、独立開業しています。開業の際に定めた「理念」の1つに、

金融知識の普及

を掲げています。今回の投稿はその一環として、「生活していくうえで知っておいてほしいお金のことや、今話題となっているお金の言葉の意味を、分かりやすく解説していく」をコンセプトとしたシリーズものとして、つづっていこうと思います。もし、リクエストなどありましたら、是非お願いします!

 記念すべき第1回のテーマとして、12月6日の読売新聞朝刊の1面記事として載っていた

”高校生の扶養控除縮小”

から、「扶養控除」について書いてみたいと思います。


「扶養控除」ってなに?

 会社勤めの方々は、つい先日まで年末調整の申告があったかと思いますが、その中に「扶養控除等(異動)申告書」というのを提出されると思います。

 この申告書って、何で出すのか知ってますか?

 そもそも「扶養」とは

ふ‐よう〔‐ヤウ〕【扶養】の解説
[名](スル)助け養うこと。生活できるように世話すること。「両親を—する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

という意味です。
そのうち、扶養されているご家族を「扶養家族」といいます。先の「扶養控除等(異動)申告書」というのは、

”扶養家族として、誰々を養っています。”

というのを、会社側へ申告するための書類ということになります。

 じゃあ、その書類って何で必要なの?という点ですが、それは「扶養控除」という制度があるからです。

 この扶養控除は、所得控除の1つで、所得控除とは

「収入額 - 経費相当額」で求められてた金額(これを 所得金額 といいます。)から差し引ける税金を納めるべき人(これを 納税者 といいます。)に対するご家族や個人的事情への配慮のために設けられている仕組みです。*ここからは対象が多い 会社勤めの方=給与所得者 を中心してお話ししますね。

 上の経費相当額は、給与所得者ですと”給与所得控除”というものがあり、それが該当します。

 この所得控除の額が多ければ多いほど、所得税額、住民税額が少なくなります。*所得税、住民税は、収入から各種所得控除額を差し引いた額に対して、税率がかけられるためです。

 主な所得控除は、ここでのメインの扶養控除のほかに

  • 配偶者控除、配偶者特別控除(配偶者が対象)

  • 障害者控除(障害をお持ちのご家族が対象)

  • ひとり親控除、寡婦控除(納税される方に婚姻歴があって、現在扶養家族がいるお一人の方が対象)

  • 勤労学生控除(一定額内の給与を受けている高校以上の学生が対象)

などで、この他にも生命保険料控除(生命保険料が対象)や地震保険料控除(家にかけられている地震保険料が対象)、小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなどの掛金が対象)などがお馴染みですかね。*多少細かい要件などがあります。

 さて、上の項目を見て、何か気付きませんか?

 年末調整の時に各種の書類を細かく見ていらっしゃる方やお仕事が人事、労務関連の方ですと気付かれたかもしれませんが、先に取り上げた「扶養控除等(異動)申告書」で申告する対象なんです。

 つまり、この書類で「私は誰々を養っています。」という扶養状況を申告していただくことで、これらの控除を受けることができ、できるだけ税負担を減らすことが出来るんです。

 ということは、記事見出しのとおりだと、控除額が縮小になる分、税率をかける対象額(これを 課税所得額 といいます。)が多くなりますので、税額が増えてしまうということになります!

 これって、どういうことでしょう?!

「扶養控除」の仕組み

 それを知るうえで、扶養控除の仕組みを知っておいてほしいので、ここで説明しますね。

 扶養控除は、対象ご家族の年齢によって、その対象になるかどうかと、その額が変わります。まず、その対象ですが

  1. 対象年の12月31日時点での年齢が、16歳以上である。
    =16歳未満(中学生卒業まで)は、対象外のため控除額は0です。

  2. 配偶者以外
    =配偶者は、「配偶者控除」及び「配偶者特別控除」の対象のため。

になります。

 さらに金額ですが

  1. 19歳以上23歳未満(=大学生)・・・63万円
    *特定扶養親族といいます。

  2. 70歳以上・・・48万円 *同居されている場合は58万円
    *老人扶養親族といいます。

  3. 1,2以外・・・38万円

が、一人当たりの額として控除されます。(対象の方が複数いらっしゃれば、その人数分控除額が加算されます。)

となると、今回話題の高校生は上記の3に該当するため「38万円」となります。

これが、記事によると「25万円」(所得税対象)になるそうです!*住民税の控除額は 33万円 ➡ 12万円 だそうです。

となると、高校生のお子様を扶養されている方々は、納税額が増える=手取りが減るということになってしまいます!

 さあ、大変です!!

 なぜ、こんなことになってしまうのでしょう?

控除額が減る理由

 今回の控除額減額の理由は、”児童手当の支給対象を拡充するため”だそうです。

 現在、児童手当は0歳から中学校卒業までのお子様を扶養されている納税者の方に対して、お子様の年齢を要件として

・3歳未満・・・15,000円
・3歳以上小学校修了まで・・・10,000円(3人目以降は15,000円)
・中学生・・・10,000円
 *(すべて月額)

が支給されています。

 その児童手当の対象に、2024年12月から高校生も加わり、金額はお一人当たり月額10,000円となるそうです。

そのため、当初は「中学生以下とのバランスをとるため、児童手当支給に伴い、高校生の扶養控除も廃止」という考えだったようなのですが、そこはやはり反発があり、「それならば高校生の扶養控除は縮小で」ということになったそうです。

 ・・・ちょっと複雑ですね・・・

(でも、基本スタンスが「手当もらってるなら控除はなし」っていう考え方のようなので、控除が無くならない分、ちょっとは考えてくれているのかな?なんて思えてしまいます。)

 しかも、手当支給分の収入増及び控除額縮小による税負担は、計算上増えないそうです。
*実際の細かい計算は、対象の方それぞれのご事情があるので、一概には言えないですし、おそらく負担増となってしまう方も今後の展開次第では出てきてしまうのではないかなと、個人的に思っています。(特に高所得の方)

 そして、これを税制の全容として、今後の税制大綱へ盛り込んでいくようです。ですので、まだまだ変わる可能性もあるんじゃないかと思っています。

今後について

 税負担が増えずに、手当支給対象が広がるのは、家計への負担が実質減ることになるので、お子様がいらっしゃる方にとって嬉しいことだと思います。
 ただ、まだ正式に成立しているわけではなさそうなので、今後も関連する情報を注視していきましょう。
 また、今回の扶養控除以外にも、いわゆる子育て世代の方々に対して、制度要件の維持(住宅ローン減税制度)や控除額の拡充(生命保険料控除)が検討されている項目もあるようなので、その辺もしっかり確認していきたいですね。

最後までお読みいただき、有難うございました。

*今後も、FPとして「これは!」と思える”お金に関する知識”を「知っておいてほしい お金の知識」シリーズとして不定期ながら、投稿していこうと思っています。もしよかったら、気軽に読んでください。

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