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保険営業と保険販売の違い

ご相談者の方にとっては保険営業も保険販売も同じイメージだと思いますし、そんなことを気にする必要もないと思います。
ただ私は金融商品を取り扱う者として、この違いを大切にしたいと考えています。
営業販売は明確に違うという向井さんの下記noteを拝見して個人的にとても共感したので、オマージュで保険verを書いてみます。

まずこのnoteを読み進めて頂く前に向井さんの言葉をお借りして『営業販売』の違いについて確認しておきたいと思います。

『営業』は、
顧客の問題解決を目的として、手段として売るという行為をします。
『販売』は、
売ることを目的として、手段としてテクニックを使います。

これが『営業販売』の違いという認識です。
この違いはとても大きいです。目的が全く違いますから。

このnoteでは、意識して保険の営業をする人と販売をする人という言葉を区別しているので読者の方も意識して頂ければと思います。

保険は売り込まれるという印象が強い


私が保険業界に入った時に初めて知ったのが保険を販売する人への世の中の印象の悪さ、不信感、嫌悪感です。
私はこの業界に入るまで保険の勧誘を受けたことは無く、無保険でしたので保険を販売する人へ対する世の中の印象の悪さに当時とても驚きました。

保険業界に15年いる身としては今なら世の中の人が保険を販売する人へ悪い印象を抱く気持ちもわかります。
確かに理解し難いような保険の販売している人が実際にはいますので。
SNSでの保険批判は保険という金融商品に対する批判ではなく保険の販売する人への批判である場合が多いと感じています。

(誤解の無いようにお伝えしておくと販売することが悪いということではなく私はスタイル違いだと考えており、ご相談者さまが営業ではなく販売をして欲しいと希望する場合も多く存在すると思っています。)

冒頭でご説明したように営業販売には大きな違いがあると考えています。
では、保険営業と保険販売の違いはなんでしょうか?

もう少し具体的な例を用いて確認してみましょう。

貯蓄が出来ないという悩みを持つ相談者


保険業界に入って受ける研修の多くは販売方法です。
売ることを目的として様々なテクニックを学びます。

例えば貯蓄が出来ないと悩んでいる人に「貯蓄型保険で強制的な貯蓄が出来ますよ。」という話法(テクニック)で保険を販売する方法があります。

これは一見、貯蓄が出来ないという悩みを持つご相談者さまの課題解決をしているようにも感じるので保険販売ではなく保険営業のようにも思います。

しかし貯蓄が出来ないという問題解決方法として本当に貯蓄型保険が問題解決の手段として適切なのでしょうか?

ご相談者さまの貯蓄が出来ないという悩み(問題)に対して、本人は貯蓄が出来ないという事実はわかっているものの、その原因が何なのか?ということはわかっていない場合がほとんどです。
また貯蓄が出来ないということを悩み(問題)だと思い込んでいる場合もあり、よくよくヒアリングを重ねていくとちゃんと貯蓄出来ていますよね?という場合もよくあります。

相談者さまが自分の状況を正しく把握できているか?というとそんなことは無いです。

そのような状況のご相談者さまに対して貯蓄が出来ない=貯蓄型保険で強制貯蓄です!は、保険販売だということです。

営業は、顧客の問題解決を目的とする

ここで保険営業ではあれば、貯蓄が出来ないというご相談者さまに対して、まずはヒアリングをして資産状況の洗い出しをします。
次に、収入と支出の状況を確認します。
ここで貯蓄が出来ない原因が収入にあるのか?支出にあるのか?がみえてきます。
多くの場合、既に家計が切り詰められておりこれ以上、支出の削りようが無い。という状況ではなく、支出の状況が把握出来ていない場合がほとんです。
そうなると貯蓄が出来ない原因はこの支出の管理にありそうです。

だからと言って事細かく支出の管理をしなければいけないのか?というとそのようなことでは無く、ざっくりでも支出に関するヒアリングを重ねていくことで使途不明金がどれぐらいありそうかはわかるものです。

このようなヒアリングを経て初めて、ご相談者さまの問題は貯蓄が出来ないことよりも、自分に合った最適な家計管理の方法がわからない。というのがまず先に解決すべき正しい問題ではないですか?ということがわかってきます。
その前提でお話を進めていくことでやっぱり貯蓄が出来ないという悩み(問題)についても解決したいとなった場合、何が良いのか?
勤務先の財形、銀行の定期積立、積立投資、貯蓄型保険などのいくつかの手段があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
その中でご相談者さまの状況や性格に適した解決策が貯蓄型保険である場合はそれを売れば良いということです。

とても簡略的に言うと保険販売の場合は、ご相談者さまの悩み(問題)に対する解決策はいつだって保険1つしか提示されず、保険営業の場合は、保険以外の解決策についても提示されるということです。

このような保険販売と営業の違いは金融庁が現在浸透させようとしている顧客本位というキーワードにも関連してくると思います。

顧客本位の業務運営


金融庁は金融事業者に対して顧客本位の業務運営をするように下記のように指針を出しています。

先日、保険業界の先輩と『募集人(自分)本位な保険募集を金融庁が是正しようとしている』という話題について話をしていた中でこんなやり取りをしました。

私「顧客本位も募集人本位も別に一緒ですよね?金融庁は何を言ってるんですかね?」

先輩「違うやろ。募集人本位がいいわけないやろ」

私「なんでですか?顧客本位も募集人本位も私の中ではイコールですけど」

先輩「顧客の意思に反して自分の都合で保険を販売しているのが募集人本位。迫間君が言ってるのは要するにお客さんの意向を聞いてそれに応じて案内してるんだから顧客本位でしょ」

ここで私は初めて気づきました。
自分の中にお客さんの意思に反して保険を販売するという感覚が全く無いので理解が出来ていなかったのだと。
そして金融庁が是正しようとしているということは売ることを目的とし手段としてテクニックを使うことで顧客の意思に反して保険を販売しようとする保険屋さんが多く存在するのであろうということが想像出来ます。

保険営業を続けるために


私は保険販売ではなく保険営業をこれからも続けていきます。
しかし、ご相談者さまによっては保険販売を希望している人も実際にはいることもわかっています。
ヒアリングとか必要無いから商品を販売してよと。

そうなると私である必要が無くなってくるので保険ショップやネット保険などで良いのかなと思うのです。

これからも私の考え方に賛同してくれる相談者さまのために時間を使って、
貢献していくことで保険営業を続けいきたいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございます!

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