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雨の日に感じる匂いで思い出す、幼い頃の町歩き


雨といえば、
私には懐かしい匂いがあります。


それは、

雨の日の、
トンネルの中で感じるコンクリートの匂い。


子どもの頃、
母と歩いていたときに感じた匂いでした。


母と町を歩きながら感じていたのは?


思い出せば、
私は小さな頃から
母とよく歩いた思い出があります。


少し離れた保育園までの道のり。

町中のデパートへ行くときに乗る、
ちょっと離れたバス停までの道のり。

お墓参りに行くまでの道のり。

夏休みに母の実家へ行ったときに、
よく歩いた商店街。



歩く道すがら、
高架下やトンネルをくぐるときに
ふと、ある匂いを感じました。


特に、雨の日に感じる
コンクリートの湿った匂い。


いつしか、
その湿ったコンクリートの匂いが大好きになりました。


何の変哲もない、
湿ったコンクリートの匂いだったのだけれど、


その匂いは、
母と歩いた日々を思い出させるのです。

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幼い頃、母と歩いた思い出の商店街


いちばん楽しかったのは、
母の実家のあった、京都の郊外の町でのこと。


小学生の頃までは、
夏休みになると、
母と妹と私の3人で、
毎年決まって帰省していました。



そのときに、
必ず歩いて行ったのが、
駅の近くにあった商店街です。



暑いお盆の時期だったけれど、
打ち水をした商店街は
いつでも不思議とひんやりしていました。



そんな中を
とりとめのない会話をしながら歩くのが、
子どもながらに楽しくて仕方ありませんでした。


そして、
打ち水をした商店街は、
いつも湿ったコンクリートの匂いがしていました。



私が湿ったコンクリートの匂いが好きなのは、
子どもの頃、
あの商店街を母と歩いたことを思い出すからなのです。



湿ったコンクリートの匂いは、
ワクワクした商店街での思い出とリンクしている!



それに気づいてからは、
歩いてトンネルや高架下を通るたびに、
湿ったコンクリートの匂いを探すようになりました。


雨の中、思い出すのは…


あれから、40年余り。


最近はトンネルを通ることがなくて
あの日と同じ匂いには
なかなか出合えません。



けれども、
雨の中を歩くたびに、
深呼吸をするようになりました。



深呼吸をしたら、
湿ったコンクリートの匂いを感じられるかもしれない。



そうしていると、
ふと、昔、京都郊外の町にあった商店街を
母と一緒に歩いた日を思い出すことがあります。



あの日、一緒に歩いた母は、
8年前に亡くなりました。

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いつまでも心に残る思い出

あのワクワクでいっぱいだった街歩きのことは、
雨の湿った町を歩くと
今でも思い出されるのです。


あの日々はもう戻らなけれど、
思い出だけは残り続けるもの。


雨の日の、特別な匂い、
またどこかで感じられるといいな。



そんな期待を抱きながら、
今でも私は雨の中を深呼吸しながら
心楽しく歩いているのです。

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