見出し画像

再会の話とかいうヤツ。

 新年明けましておめでとうございます。
 旧年中はお世話になりました。
 本年もどうぞ宜しくお願いします。

——という書き出しで始まり、前回の記事からの流れ的には新年の所信表明から始めるのが当然の流れなのかも知れないが、今回は楽器機材の話である。
 新年早々に酒を飲みながら、全く関係の無い話を書き連ねていくというのもアリでは無かろうか。


===


 先に公開してる記事で何回か書いたが、僕は地元の愛知にいた頃から細々とバンド活動を行っていた。
(今は上京した関係で、データのやり取りをしながらちょっとずつ曲作りをしている最中なのだけども)

 現代のギタリスト・ベーシストは大半がバンド活動の有無に関わらず“エフェクター”と呼ばれる、音をロックギター的音色に歪ませたり、
 エコーを掛けたり等の変化させる機材を持っていて、それを大層なケースに並べた上でライブやレコーディングの場に持って行って演奏に臨んでいる(と認識している)。

 ボーカル・ギターを担当していた僕もご多分に漏れず、エフェクターを大層なケースにぶち込んで演奏をしているひとりだ。

 上の画像は、2年前の上京直前まで組んでいたエフェクターボードの写真。色の付いた枠で囲った3セクションがあるが、それについては後述。

 かなりの愛着を持って幾つものライブを一緒に演って来たのだが、上京に際して全てを持っていけないという事で大半を手放してしまい、今はここに写ってる内の3台+上京後に買い足した1台&小型のアンプヘッドという組み合わせだけが残っている。
(ちなみに見出しに使っている画像は5年前のボードの画像である。使った理由は特に無い)


 前置きが長くなってしまったが、タイトルの「再会の話」というのは「“機材との”再会の話」である。


 過去の記事でも何度か書いているが、この記事を書いている今現在、僕は実家のある愛知に帰省している。
 たかだか2年程度しか愛知を離れてはいないのだが、帰省すれば多少なりとも思い出の地を巡りたくもなる。


 帰省して3日目の12月29日——最初の2日間で実家周辺を既に巡っていた僕は、新幹線で下車して以来に名古屋の地を踏んだ。
 名古屋の栄や久屋大通、大須の通い詰めた地を巡るのが目的である。

——とは言っても、僕がよく通い詰めていたのは大概楽器屋か納屋橋のドンキ(その前に入ってたカイ○ンズのスタイル○ファクトリー時代から)・大須のコメ兵の楽器コーナーくらいなので、あとはその行き帰りの景色を記憶と照らし合わせて変化を楽しむといった程度なのだが。


先の記事でもちょろっと書いたが暫くの間は金欠である為に電車移動ではなく、車を持っている弟に送ってもらい、テキトーな場所で降ろしてもらったのだが、それがたまたま思い出のあるお店の近くだったのでちょっとエモい気持ちになるなどしつつ、
 道中のあの店が知らない店に変わっていたり、でっかいデパート跡地にポケ○モン金銀版をリアルタイムでプレイした時のようなノスタルジーを感じたりしながら街を巡っていく。


 そして僕は休憩がてら、道中にある最初の楽器屋に入ったのだが、そこでとある機材と再会を果たした。



 コイツだ。
 先の文中に貼った画像の右上端に置かれていたヤツである。
 先の画像ではシールが貼られているが、これは後で僕が貼ったモノだ。

 コイツは何者かというと、BamBasicさんという名古屋のエフェクター工房さんに5年前にオーダーしたエフェクターで、正確にはラインセレクターだとか、スイッチャーと呼ばれる信号分配器的なモノである。


 興味無い人が大半だろうが先のエフェクターボードの画像を用いて機能の説明をすると、
 真四角の筐体に足で踏む4つのスイッチが付いていて、

○右上
楽器のチューニングをする為のチューナー(黄枠)に信号を送る為のスイッチ

○左上
このエフェクター自体に内蔵された、入力した信号の音量を持ち上げる為のブースター(同社 Volume Upper)のスイッチ

○右下
青枠のセクション(※正確には右下の銀色の機材以外の2台)へ信号を通電/遮断する為のスイッチ

○左下
赤枠のセクションへ信号を通電/遮断する為のスイッチ

——という役割がそれぞれ割り振られている。


 正直それぞれのスイッチの役割を持った機材というのはエフェクターを作っている色んな会社が色んな種類を出していて、それらを買い揃えるとなるとべらぼうに場所を取るのでなるだけコンパクトになるようにオーダーメイドさせてもらったのだが、これがまたべらぼうに高かった。
 多分、普通に買い揃えた時の2〜4倍くらいの費用だったのではなかろうか。当時はまだ会社員だったので何とかなったのだが。

 けど、その高額に見合うくらいにはちゃんと役割を果たしてくれていたし、人生初“自分仕様”のオーダーメイド品という事もあってとても愛着を持っていた。
 それ故に上京に際して手放す時には、一緒に手放した機材達以上に後悔というか名残惜しさみたいなモノがずっと残っていた。


 上京以後も、買い取ってもらったお店のTwitterで頻繁にアップされていたショーケース写真にとても小さく写る姿を観ながら「いつか買い戻してやるからな……」と思っていたが、
 いつ頃からかその姿が見えなくなってしまった時には本当に今生の別れだと思っていた。


 そして、時は流れて2021の年の瀬、休憩がてら入った——買い取ってもらったお店とは別の楽器屋にコイツがいたのである。


 最初はただ、中古のエフェクターコーナーを自分の目の高さまでの範囲でザッと見回して「え、このエフェクターがこの値段なの?」「うわぁ、これカッコいい……」とか思いながら見ていたのだけど、
 本当に何の気無しに目線をショーケースの上に向けたらば、コイツが僕を見下すような形でそこに立っていたのだ。

 一瞬ワケが分からなくてフリーズしたのだが、明らかに僕の知っているソイツだった。
 BamBasicさん特有のラベルシール、ほぼ真四角の筐体と四隅に配された4つのフットスイッチ、左右に3つずつ配されたジャック、奥のミニツマミ2つ。


 それだけならば、もしかすると僕以外にも同じようなモノを作ってもらっていたかも知れないのだが、僕は大抵の楽器店の値札に大概書かれている詳細文を見逃さなかった。


ツマミが2つ付いていますが「B Boost」なるツマミは、他の部分に線が1本繋がってるのみで現状動作は確認出来ません(要約)


——この一文で僕はコイツが「僕が手放したソレそのモノ」だと確信した。


 実はオーダー当初、左下のスイッチにはボード画像の赤枠セクションを通過した最後にBamBasicさんで作っているVolume Upper(左上のスイッチに充てがわれたモノと同等のモノ)が音量調整用に入っていて「B Boost」と名前を付けていたのだけど、
 思ったような効果が得られなかったので撤去してもらい、今後何かしらを追加したくなった時用にツマミはそのまま残してもらっていたのだ。

 あの時手放したアイツだと確信した時は涙が出そうになったが、ここで泣くと変な目で見られかねないのでグッと堪えつつ、
 金は無いのだがここで会ったのは何かの運命だと思ったのと、
 初めて作ってもらった時の1/7くらいの値段にまで値下がりし、後々スイッチ毎の同等機能品を買い揃える必要があり、ソレらを買い揃えるならばコイツを買った方が半額〜2/3程安上がりであるという判断から購入を決意。

 念の為に動作確認だけはさせてもらい、あんまり使いたくは無かったがクレジットカードにて購入して連れ帰ってきたのでした。

 会計時、バックヤード裏に仕舞われていた箱を目にする事が出来たのでチラッと確認したらば、そこにはやっぱり僕がオーダーしたソレのシリアルナンバーのシールが貼られていて、また泣きそうになるなど。


 先にも書いたが、本当にもう二度と会う事も無いと思っていたし、本当に偶然再会した為にビックリしてしまったのだけども、
 多分こういう運命的な再会をする事はもう二度と無いと思うので今後は大事に所有・使用していきたいと思います。


——おかえりなさい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?