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留学で外国人に人気のあった日本の手料理

イギリス留学していた時に、時々友人に料理を作ってあげることがあった。あの頃はホームパーティーだったり、語学学校のラウンジに集まって持ち寄りランチ会とか、そんな機会が多々あったのだ。

私は語学学校ではほとんど唯一の日本人だったので、周囲からの「ジャパニーズフード食べたい」という期待をよく向けられていた。

ヨーロッパでは「日本食は体に良いし美味しい」ということで通っているらしく、みんな日本食の話になると目がキラリと光った。

今日は私の経験をもとに、イギリスで作って喜ばれた料理をご紹介。

1、お好み焼き

イタリア人のパーティーに呼ばれた時、お好み焼きを作ったら大人気で、「これものすごく美味いんだけど!何これ?!」と興奮したイタリア人達が押し寄せてきたことを覚えている。

イギリスには薄切り肉というものが売っていないので、生姜焼き用の肉みたいな見た目のベーコンで代用した。あとは小麦粉(ベーキングパウダー入り)とキャベツ、卵。日本のお好み焼きに比べると、かなりクオリティーの低いものだったが、どうやらポイントは、甘辛くて美味しいお好み焼きソース。

甘辛くて濃い味が、イタリア人達の口にとても合ったようなのだ。スペイン人の友人にも「すごく美味しい!」と褒められた。

お好み焼きは欧米人になじみやすい。それになんだかパンケーキみたい。なのにオヤツではなくて、とても新しい。だからとても人気があったのだと思う。

「もっと美味しいお好み焼きが日本にはあるんだよ」とラテン系の彼らに説明すると、「日本行きたい!」「食べたい!」とますます興奮していた。

お好み焼きソースは、残念ながら日本から持っていくか、送ってもらうしかない。もし現地で調達するなら、日本食を取り扱う店まで出かける必要があるだろう。

もちろん、遠くても買ってくる価値はありそう。

2、照り焼きチキン

Teriyakiという表記で、イギリスにも照り焼きなるものはいろんな場所にあった。だからイギリス人も「テリヤキ」という言葉は知っている人が多い。けれど、日本でよくある皮がパリパリで濃い味がついている、甘辛い照り焼きチキンは、実はそんなに知られていない。

イギリスにあるテリヤキはもっと味が薄く、「皮を美味しく焼こう」という意思がないので、どちらかというと『甘辛煮込みチキン(薄味)』みたいな感じのものが多い。

私は日本から『照り焼きチキンの素』という、皮がパリパリになる粉やソースがセットになっているものを買っていたので、それを使って日本風の照り焼きチキンを作ったところ、イギリス人の夫(当時結婚はまだ)や家族に大好評!「また作ってほしい」「これがテリヤキなの?」と色々と質問を受けた。

チキンは欧米人にとって食べ慣れた食材だし、胸肉を食べることが多い彼らにとって、美味しいもも肉の食べ方は、わりと斬新だったりするのだ。

ちなみにイギリスのスーパーでは、もも肉は基本的に骨付きで売っているので、取り外すのはけっこう地道な作業。それさえ乗り越えれば、あとは日本風に『皮パリパリ照り焼きチキン』の作り方で作ればOK。醤油も近頃はイギリスでも買えるようになったので、材料にも困らない。自分なりに『外国でも作れるテリヤキ』を研究するのも楽しそう。

3、肉じゃが

肉じゃがも、「普通にめっちゃ美味しい」とイギリスで人気だったメニュー。実はこの肉じゃが、イギリスで定番の『コテージパイ』になんとなく味が似ているのだ。

以前書いたコテージパイの記事。↓

材料はイギリスで手軽に手に入るものばかり。じゃがいもに関してはイギリスの方が種類があって美味しいかもしれない。糸蒟蒻は、別になくても良い。

一番手に入れにくいのが、さっきのお好み焼きと同じで薄切り肉。だから当初、私は牛肉を半分凍らせた状態で、一生懸命薄切りに切っていた。それでもどうしてもまだ分厚く、イメージする日本の薄切り肉に近づいてくれない。

そこで思い切って牛肉の挽肉(ミンスミート)を使うことにした。それだととても簡単にできるし、イギリスの挽肉はとても粗挽きなので、肉感があって美味しい。

それでますますコテージパイに近づいてしまったわけだが、それでもやっぱり日本風の味で美味しい。欧米人はおそらくこれをおかずにご飯を食べる、というのは無理なので、出す時は肉じゃがだけで。だから多めに作るとベター。

味付けには砂糖、醤油、和風だし、酒。あればみりん。なくても全く問題なし。

驚きこそ与えられないかもしれないが、欧米人が「これ普通に美味しいね」と言ってくれる料理だ。

なじみやすいメニューが人気

欧米人がホームパーティーに来るとなると、「何を作ろう?」「口に合うかな?」と緊張することがある。また、日本人なら大好きな刺身、焼き魚、豆腐などは、外国人にとっては新しいものすぎて、「お腹壊さないかな」と心配で食べられない、ということもある。

だから基本的にはなじみやすい、食べやすいメニューが人気だ。

逆におすすめではない料理もある。

ハンバーグは日本人に人気だけど、欧米ではハンバーガーに挟まっているものという感覚なので、どうしても格下というか、ごちそうにはならないのでおすすめではない。

それと鍋などの作りながらシェアする系。これは「作る」という作業を楽しめる人かどうかで左右するし、薄味系の和食は、私が思うに欧米人には少しハードルが高め。イギリス人の夫も、鍋は嫌いではないが、どうすれば良いのか分からないから最初は困惑していた。

欧米人がゲストであれば、食べ物は席について座って、それぞれの前に出されたものを食べる、という動作の料理だと、日本食でも受け入れられやすいと思う。

例えば私の失敗で言うと、以前餃子パーティーを開催した時「みんなで作りながらワイワイ食べよう」と思っていたが、それはなかなか難しく、「ワンプレートで出せる料理にすればよかった」と後悔したことがある。ホストである私がずっとキッチンにいると、他のゲストに気を使わせることにもなり、餃子はどんどん作らないと足りなかった。

『食べる時には作った人も一緒に座って食べる』。この欧米スタイルを押さえるのも、ポイントかもしれない。

気を使うこともあるけれど、外国人に日本食を振る舞って「美味しい!」と言ってもらうのはとても嬉しい体験。

それに外国で食材がなくて工夫するのは、後から考えるととても良い経験だった。

相手を想像しながら工夫して料理をすること、それを楽しみながら人に振る舞うこと。そんな楽しい経験を、これからも重ねていきたい。


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