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イギリス料理を日本で作る 〜コテージパイ編〜

イギリスに住んでいた頃、本格的ではないけれど、イギリス料理を覚えて作るようになった。イギリス人の夫に教えてもらったり、自分でレシピを調べたりして、イギリスのスーパーでは一般的なものを使って、美味しいものはレパートリーに加えていった。

イギリスに住んでいた頃は日本の料理が恋しくて、住んでいたケント州トンブリッジという場所から、わざわざ車で40分くらいかけてロンドンの日本食スーパーに行って、3パックセットの冷凍された納豆を600円くらい出して買っていた。今の円安だと燃油の値上がりも考えて、1000円くらいするかも。

ところが不思議なもので、日本に住んでいる今ではイギリスのものが恋しくて、今度はわざわざイギリスのものを取り寄せたりしている。

夫のお母さんに頼んで送ってもらうものは、イギリスではごく普通のスープストック(固形チキンスープの素)、インスタントの粉のグレービーソース、インスタントのスタッフィング(ローストチキンの詰め物)などである。

けれどそれも送られてきてからしばらくすると無くなるし、少しずつちまちまと使っている。

理想としては、すべて日本にある材料を使ってイギリス料理を作りたい。

そこで、日本にあるものだけで気軽にできるイギリスの家庭料理をご紹介。

ぜひイギリスのパブ気分で、外国のボトルビールでも用意して一緒に楽しんでみてほしい。

イギリスのパブでも出てくるコテージパイ

イギリスの家庭料理、コテージパイ(英: cottage pie)は牛のひき肉を使った料理。コテージは、田舎のおうち。ラム肉だとシェパーズパイ(shepherd's pie)、羊飼いのパイ、となる。

イギリスの家庭料理で、日本でいうところの肉じゃがって感じである。家庭によって味付けもそれぞれ。みんな大好き。色々と共通点がある。

パイ生地って難しそう!と思う人もいるかもしれないが、この料理は『パイ』と名前はついているがパイ生地ではないし、難しいこと何もないのでご安心を。

スパゲティボロネーズをよく作る人なら、中身はじゃがいも以外ほとんど同じ。


まずひき肉は粗引きがあれば良いが、別に普通の牛ひき肉で良いし、合い挽きでも良い。

みじん切りにした野菜と一緒に炒める。セロリ、にんじん、玉ねぎがおすすめ。けれどマッシュルームなどのきのこがあっても良いし、他に入れたい野菜があればなんでも。

味付けも適当。私は塩胡椒の他に、セージ、オレガノ、バジル、パセリ、パプリカパウダーなど、味見しながらどんどん入れる。

白ワインを入れたり、赤ワインを入れたり、これもどっちでも良いと思う。個人的には、牛肉なので赤ワインが合うかな、と思うけれど、別にどちらでも良い。水分が多いところで、マギーブイヨンとか、スープの素を入れて溶かす。量に応じて1個か2個か入れる。

全体的に美味しそうになってきて、とろりとしてきたら火を止める。ここで味見をしておく。このままでも美味しい!という状態にしておくこと。

同時進行でじゃがいもをたくさん茹でる。足りないと困るので私はいつも6〜7個分は茹でる。

マッシュにしたら、バター、塩こしょう、牛乳(入れすぎ注意)、パルメザンチーズがあればここれで入れる。

個人的にはバターは多めに入れた方が美味しい。焼いた時にじわりとバターの味がするのが味に深みが出て良いと思う。

味見して「ok」となるまでそれぞれ入れて、混ぜてある程度なめらかにしておく。あまり冷ましすぎない。

深めで大きい耐熱皿に、先ほどのひき肉と野菜を炒めたものを入れる。表面をならしておく。

そして最後の工程。これが大好きなプロセスなのだが、さっきのじゃがいものマッシュを上に乗せて表面を綺麗にならす。

その後フォークを持ってきて、表面にギザギザの模様をつけていく。軽くひっかくような感じで、すーっと模様をつける。これもやり方は自由だが、後にこのギザギザがこんがりと焼けて、カリカリして美味しいので、ぜひそれを意識してやってみてほしい。

レストランやおしゃれな店では、このマッシュをケーキの絞り袋に入れて、綺麗に飾り付けてから焼く方法もある。ちょっと面倒だが、確かに綺麗だ。

ケーキの飾り付けのように、この工程がやりたくてこの料理を作っているような気さえしてくる。

後は180℃のオーブンで焦げ目がカリッと表面につくまで焼く。30分くらいかな。ワインやビールでも飲みながら、時々オーブンとにらめっこしているのもなかなか楽しい。

この料理は、いろいろと自分なりにアレンジすることが可能で、私はじゃがいものマッシュに溶けるチーズを混ぜたり、中身のひき肉の方にチーズを混ぜたりしてみた。チーズがとろりと溶けて、とても美味しい。

コーンを入れても良いし、ベーコンを刻んで入れても美味しい。その時の気分でぜひ。


とにかく「イギリス料理です」というには、先ほどの楽しい工程、『じゃがいもマッシュのギザギザ』がポイント。ぜひ自分なりのギザギザを見つけてみてほしい。

焼けたら少し粗熱を取って(出来たてはまるで太陽のごとくアツアツ)、綺麗なお皿に1人分ずつ取り分ける。

付け合わせはベビーリーフや茹でたグリーンピースなどがあっても。なくても良い。

このコテージパイ、「意外とボリュームがある」というのがよくある感想。

簡単だけど手間はかかるので、多めに作ってこれだけを食べる。そんなところも『イギリス流』で良いですよね。

持ち寄りパーティーの一品にも最適。

いつもより素敵な感じでテーブルセッティングして、ワイングラスやビアグラスなど綺麗に並べて、家族や友人と「Cheers!」と乾杯したい。


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