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心が、ぽろぽろ泣いている

心模様は、空模様。
心の中にも太陽はあるし、雲もでる。
場合によっては、雨も降る。

毎日バタバタ過ごしていると、あまり気にならない心の空模様。

太陽がぽかぽか温かい日も、雲がもやもや立ち込める日も、過ぎてしまえば同じこと。
でも、ふと見上げてその変化から目が離せなくなるときがある。

心に立ち込める暗雲。
どんより曇っていた空に、真っ黒い雲が垂れ込める。
おぼろげに遮られていた光が、どんどん色を失くしていく。
陰りが、闇を連れてくる。
さっきまで活発に動いていた心が、凍りつく。

闇夜の訪れ。

こういう時間は、なぜだか急に訪れるようだ。
真っ黒な雲に覆われた世界で、私は一人考える。
心の太陽は遮られて、一片の光も見いだせない。

わくわくとか、どきどきとか、楽しい感情はどこかへ逃げてしまって。
虚ろな抜け殻がそこにいるだけ。

私はなぜここにいるんだろう。
今、なにをしていたんだろう。
これから、なにをすればいいんだろう。

根源的な問いかけが頭に浮かぶけれど、答えは見つからない。
普段、自分自身にいくつものやることをインプットして、物事の筋道を立てて、効率よくひた走れるようにしているのがウソのよう。

やる気は削がれ、生気も失い、あるのは無反応の心だけ。

とにかく、無気力になってしまう。

無気力な私は、無感情だ。
とにかくひたすら動きたくなくなるし、何も手につかなくなる。

一人きりの時間だとしたら、寝るか、Twitterに逃げるか、どちらかの選択しか無い。

『こんな時は、Twitterを開かないほうがいいよ』

どこからともなく、そんな警告が聞こえてくる。
過去の私が、そっと耳打ちしたらしい。

でも、無感情な私の耳には、右から左へ抜け出るただの音声としか認識されない。

暗雲は暗く、低く、眼前まで迫っていた。
湿った土の臭いが鼻をくすぐる。
雨の気配が迫る。

私にとってTwitterは、様々な意味を持っている。

・ライターとしての自分を拡散する営業ツール
・自己理解を深め、分析を尽くす場
・意見交換、知識を吸収する学びの場
・交流を楽しむストレス発散の場

ストレス発散。
これは、Twitterを続けられる最大の動機でもある。
営業ツールとは言っても、楽しくなければ継続は困難だ。

なんだかんだ、楽しいからTwitterをしているのだ。
そうだ。
心が無感動になってしまったら、Twitterを開けばいい。

安易な考えでTwitterを開くと、間違いなく後悔する。

あれ?
おかしいな

停止した心を抱えてタイムラインを覗くと、なぜだかおかしな現象が起きる。

いつも手を広げて待っていてくれるみんなが、一様にドアを閉ざしているのだ。

リプライで楽しく交流を図るあの人たちが、遠く離れた存在に見える。
いつもと何も変わらないはずなのに、つけ入るスキがない。

アクションが取れなくなる。
心が、乾いた悲鳴を上げた気がした。

ぽつり、ぽつり。
暗い世界に、大粒の雨が落ちる。
冷たい、黒い雨が。

タイムラインを流し見ながら、雨はどんどんひどくなる。

感情を奪い去る雨。
僅かに残されたぬくもりを、凍てつかせる雨。
避けられず、雨に濡れるしか無い心。

気づけば土砂降りの雨の中を、一人で耐えるしかなかった。
誰も見つけてくれない。

発信をしなければ、変化は訪れない。
いつも開けば光っているはずの通知も、こんな時には停止する。

避けようのない雨は、世界の色も、光も、臭いも、温度も、全て奪ってしまった。

いつもと変わらない風景が、急に絶望的なものに変わってしまうのはなぜなんだろうか。
大粒の雨に見舞われながら、そんなことを考える。

触れれば温かいはずなのに、扉を開く方法はわかっているのに、何故か踏み込めなくなってしまう。

多分、心を使い果たしてしまったから。
心の中に余力が無くなってしまったから、そんなことを考えるのだ。

降り始めは、濡れるのが嫌で顔を覆ったりするのだけど。
ひとしきり降られると、濡れていることも、冷たいことも、次第にどうでも良くなってくる。

雨に打たれる感覚が、麻痺してくるのだ。
体温を感じないのが当たり前。
感情が停止しているのすら、好都合に思えてくる。

そうだ。
別にどうなったっていいんだ。
ここは、深くて暗い意識の底。
これ以上、落ちることもないのだから。

底辺でひとしきり真っ暗闇の冷たい世界を味わうことは、私の心を回復させるようだ。
何も考えない。
ひたすらに耐えるしか無いのだけど。
心が眠るとき。

睡眠ではなく、心躍る何かを忘れる時間。
ひどく退屈で、ひどく孤独なその時を私は無意識に欲しているようだ。

なぜだかわからない。
わからないけど、必要なんだ。
おかしい。
おかしな人間。

自嘲気味に笑う。
笑う、自分に気づく。

笑えた。
笑えたんだ。

ふと、顔を上げてみる。
降りしきる雨は、去ろうとしていた。
雨粒が当たっても痛くない。
生ぬるい空気が、ほの温かく感じる。

あ、体温も戻ってきたな。

緩やかに、感覚が戻ってくる。
落ちるところまで落ちて、沈むところまで沈んで、ひとしきり心の底で辛抱することで、たどり着くもの。

雨が止む。
待ち望んでいた太陽が、雲の切れ間から見えてくる。

沈むだけ沈んだ心。
底辺でうごめいていたはずの心。
沈んだ心は、沈みっぱなしというわけではない。

私は、寂しいのだ。
孤独なんだ。
あの人たちとは違うんだ。
手の届かない場所なんだ。

様々な感情が胸を打って、動けなくなっても。
自分は自分だから。

私が私を愛してあげなかったら、本当に心が鼓動を止めてしまうから。

私は、私のままでいいんだよ
そう、いつも最後はそこに帰結する。

私は私の出来ることを精一杯やればいい。
みんなと違っていたって、構わない。
だから前を向こう。

気づけば、黒い雲は過ぎ去って、太陽が優しく世界を包み込む。
雨に濡れた世界を、優しく温めて。
雨粒をまとった私を、照らし出して。

雨上がりに見る世界。
すべてを洗い流した後の、清々しさ。
雨とともに流れ落ちた感情は、もう私の中に残っていない。

私は、私でいいと自信を持って頷くことが出来る。
泣かなくていい。

そうして、また歩き出す。
何事もなかったように。
いつものように、ニコニコ微笑んで。

雨上がりの世界の美しさを、その目に焼き付けて。
曇りのち、雨のち、虹。

大丈夫。
また、歩いていける。

何度心の底に落ち込んでも、何度同じことを繰り返しても、私はまた歩き出す。

私は私のために、私を救い出す術を知っている。
おはよう、世界。

いつもどおり微笑んで。

また一つ強くなる。

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