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フードロスの解決へ、「農園パティスリー」を今冬オープン! 川崎市イチゴ農園の挑戦の日々(2)

スイーツ好きなら誰もが知る某有名パティスリーで、約20年パティシエとしての経験を積んできた関根 夏子(写真女性)さん。前の会社を退職する際の彼女の役職は、なんと「取締役」だったという。

そんな彼女はなぜ、安定した地位を捨て、”Slow Farm”のパティシエ募集に興味を抱いたのだろうか。

その答えに迫るため、取材班は関根さんの学生時代から、話を伺うことにした。

■子供の頃の楽しい思い出

“そもそも、パティシエを目指したきっかけは?”

「元々は、大学に行くつもりで高校時代を過ごしていました。ただ高校3年の時に、“果たしてこの進路で本当に良いのか”、ふと真剣に考えはじめたんです。大学を出るのは良いけど、その後なにをするんだろう、とか。4年間の時間とお金を無駄にしてしまうのではないか、とか。なんかそういったことをすごい考えはじめてしまって…。大学に行った先に、自分のしたいことができるんだろうか。そもそも、自分はなにが好きなんだろうと、ずっと自問自答してたんですよね

中学受験に合格し、エスカレーター方式で大学までの進路が決まっていた関根さん。卒業までの時間が刻一刻と迫る中、これまでの人生を振り返り、辿り着いた“好きの答え”が、料理とお菓子作りだった。

「小学生の時、母親がよくお菓子を作ってくれたんです。母親がケーキを作っている感じも、すごい面白くて。ベタベタする材料を型に入れて、オーブンに入れたら、どんどんどんどん膨らんで、フワフワになって、良い匂いのしたケーキがテーブルに並んでいく。まるで魔法みたいな感じで、“なんだこれは?”と(笑)。その思い出を記憶から引き出した時に気付いたんです。私が好きなのは、料理やお菓子作りなんじゃないかって」

その後の関根さんの行動は早かった。大学の進路はすっぱりと辞め、料理とお菓子作りを学べる専門学校に行くことを決意。両親からは強い反対にあったのだそう。

「当然ですよね。中学受験までさせた娘が、急に職人の道を進むと言い出したんですから。“え!? 急になに言っているの?”って感じで、両親の顔にはクエッションマークが並んでいました。ただ、願書提出が1ヶ月先に迫っていたので、両親には土下座して頼み込みました。お願いします。ほんとにお願いします! と。それでようやく納得してもらえました」

■大切なのは、情熱と勢い

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1年間の在学中、料理とお菓子作りを学ぶ中で、関根さんの興味はお菓子作りの方に傾いていった。

手軽に自分へのご褒美になったり、手軽にちょっと幸せな気分になったり。そういった気持ちにさせる魅力がお菓子にはあって、それを提供できる仕事に就きたいと思ったんです」と関根さん。

「在学中はケーキ屋さんでアルバイト。シフトがない日は1日2~3店舗は気になったケーキ屋さんを食べ歩いていました。“ここのケーキはもっとこうしたら美味しくなる”みたいな感じで、独自の分析ノートも作ったりして。ただ、将来ここで働きたい! と思えるお店には出会えず、専門卒業後も、就職はしないでアルバイト先で働き続けることにしたんです。両親にはまた怒られましたよー! 『なにをしてるの!?』 って(笑)」

その後の関根さんの経歴は異彩を放っている。専門学校を卒業して1年後にとあるパティスリーに就職→退職して別のパティスリーに→そのお店も退職して、23歳で1年間のカナダ留学に。

“お菓子作りを学ぶために海外留学を?”

「それが、ただのワーキングホリデーです(笑)。元々学生時代、旅行が好きでいろいろな国に行っていました。でも当時は英語が上手に喋れなくて…。きっかけは、海外の空港でレーズンクッキーが食べられなかったこと。おじさんの店員に『レーズンクッキー、プリーズ! 』と繰り返し伝えても、どうやら私の発音が悪く“?”みたいな顔をされて。それで仕方なく、『チョコチッププリーズ』と泣く泣く折れたのが悔しくて(笑)。

日本から出たら、私は自分が食べたいものすら、食べることができないの?と。 せめて海外に行った際には、“自分のしたいことや食べたいものは伝えられる自分”になりたいと思って留学したんです」

”関根さんの人生は、情熱と勢いに彩られていますね”

記者がそう伝えると、「ですねー! ほんとそうなんです」と彼女は豪快に笑う。

■地位よりも、なにがやりたいか

海外留学後、関根さんはケーキ好きなら誰もが知る某有名パティスリーに就職。20年間働いた後、2020年5月に退職することに。

「前の会社は、いろいろなことに挑戦させてくれる会社でした。商品開発から人材育成、店舗の運営、配達もすれば販売もする。新しいことに取り組むたびに、いろいろな課題に直面して、同僚と手を取り合って解決していくのが本当に面白くて。20年続いたのは、シンプルに仕事が面白かったからですね

関根さんの退職時の役職は、驚くべきことに「取締役」。
“築いた地位を捨てるのに、躊躇いはなかったのか?”

「それが全然(笑)。私の考え方の根本は、高校3年の時とあまり変わってないのかもしれないです。次に待っている人生の展開が面白そうかどうか、心の底から納得できるかどうかを基準にして生きてきたので。“あーもう、やりたいことは全部やってしまったし、面白くないからやーめよ”みたいな感じで退職することにしたんです」

■Slow Farmとの出会い

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「2020年5月に退職をして、元々はフリーランスで働くつもりでした」と関根さん。ただ、次のやりたいことは、なかなか見つけられずにいたという。 

「次の仕事の候補として、お菓子教室の先生やネットショップの立上げも考えてみたんですけど、本当にこれで良いのかなと、なんか心に引っかかるものがあって。どの選択肢も、これまでの仕事と大差がないように思えて、本当に自分がやるべきことなのか、確信を持てずにいたんです」

ここでもまた、関根さんは自分自身と向き合うことにした。

「次の進むべき道を考え続けていた時にふと、“自分はパティシエとしてだけじゃなく、店舗運営者の経験や知識もある。新しくパティスリーをオープンしたい方がいれば、自分はサポート側に回れるのでは”と思ったんですよ。スイーツコンサルタントのような形で、誰かの夢の実現をサポートできればきっと面白いし、自分にしかできない仕事なんじゃないのかって。そんなことを考えているときに、なにげなく見たインスタグラムにSlow Farmのストーリーが流れてきたんです。”イチゴ農園のパティシエ募集? 場所は、川崎? えっ、どういうこと!? ……これは一度話を聞きに行くしかない! “と。そう思った瞬間、ストーリー内で表示されている番号に電話をかけていました」

ここでようやく、関根さんと安藤さんの人生が交錯する。

(3)二人の対談インタビューへと続く。

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Slow Farm 早野圃場 
住所:〒215-0016 神奈川県川崎市麻生区早野246 
電話:080-9665-3656 (営業時間10時~17時) 

■公式HP
https://www.slowfarm.jp/

■Facebook
https://www.facebook.com/Slowfarm.Strawberry/

■Instagram
https://www.instagram.com/slowfarm_strawberry/
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