見出し画像

Excelで「集計ミス」を起こさないためのプロ技 ~茨城県立高校入試での合否判定ミスは避けられた!手間をかけずに!!~

1. 茨城県立高校入試における合否判定ミス

茨城県立高校入試において、各科目の点数をExcel上で合計する際の計算式に誤りがあり、一人の受験生が国語を除く4教科の合計点で判定され、不合格となっていたことが判明したそうです。

県教委によると、入試では各受験者の5教科の点数を表計算ソフト「エクセル」で合計。その後、受験生全員について点数を確認するするよう指示していた。

毎日新聞

全受験生に行うべきチェックを、校長の指示で5人に1人の抽出調査に省力化していたことが原因。

毎日新聞

県教委は、複数回確認するよう求めていたが、同校は校長の判断で、各教科の点数が合っているかを確認したのみで、総得点が正しく計算されているかは、エクセルから5人に1人分を抽出して検算して確認したが、全員分の検算はしていなかったという。

朝日新聞


ミスの根本要因は業務プロセスの稚拙さ


Excelを縦横無尽に活用して連結決算作業に携わってきた経験から断言しますが、このようなミスが「作業段階で」起こることは避けられません。

ですので、ミスが起こることを前提とした業務プロセスを確立する必要があります。

今回のミスは「校長の独断によるサンプルチェック化」等が直接の原因とされていますが、それ以前に業務プロセスが稚拙すぎます。

せっかく、Excelという「間違えないソフトウェア」があるのだからそれを適切に活用する業務プロセスとすべきでした。

本稿で私が説明する方法を使えば、「一瞬で」「全件の」チェックができます。

今回の報道を受けて「楽をしようとするから間違えるんだ」という批判の声があがっていますが、「適切な方法で楽をする」のが適切なアプローチです。全員分を「手間暇かけて一行ずつ」検算するプロセスは却って正確性・信頼性が低いものとなります

2. Excel「プロ技」の中身

ここからが本題です。

関数を組み合わせて作ったワークシートやマクロは使いません。使うのはExcelの標準機能です。事前準備は一切不要です。

「プロ技」とか言っておいて標準機能かよ、という声が聞こえてきそうですが、自信をもって「プロ技」だと言い切ります。

チェック自体は一瞬で終わるので、慣れれば無意識レベルで実行できるようになり、業務の信頼性・安心感が大幅に向上します。

機能名称

これから紹介する機能の名称は「アクティブ行との相違」及び「アクティブ列との相違」です。

名前を見ても何のことかわかりませんね。
実はこの機能、ぶ厚いExcel公式マニュアルみたいなのを見ても、「いつ、どのように使う機能なのか」、もっと言えば何のためにある機能なのか理解できません。

それなのに使いこなすと、世界が変わります。
「作業時間が半分になる」とかいうレベルの話ではなく、人手では実現できないレベルの信頼性をもった成果物を作成することができるようになります。

操作手順

操作手順をとりあえず知りたいという方のために、先に書いておきますが、いったん読み飛ばしても構いません。

ホーム ⇒ (リボン右端の)検索と選択 ⇒ 条件を選択してジャンプ とたどっていくと、右上に表示されます。

が、実際にはそんなまだるっこしい手順は使わずに下記のショートカットキーを使います。

アクティブ行との相違:Ctrl+¥
アクティブ列との相違:Ctrl+Shift+¥

機能内容(表面的機能内容)

この機能を使うと、Excelの「行」または「列」の一定範囲(範囲はドラッグにより自由に選択できます)の中で、「『現在のセル(アクティブセル)』と異なるもの」を選択することができます。(この説明がよくわからなくても、気にせずに読み進めてください。)

WEB検索すれば、PCインストラクターの人等が解説しているものがたくさん見つかりますが、たいてい「文字列ばかりのデータ」に対してこの機能を使っています。

たとえば、名簿の中で「『山田一郎』以外のセルを選択する」とか、「『出席』以外を選択する」などの使い方が示されています。

そのような解説を読んだ人は「たいして便利でない」「マニアだけが知っていればいい機能」だと思ってしまうでしょう。

実際、そういう用途であれば他の機能(関数、オートフィルタ、「すべて検索」等)を用いる方が簡単だし応用が利きます。

しかし、「たいして便利でない」「マニアだけが知っていればいい機能」だというのは実は大きな誤解(というか理解不足)です。

機能内容(プロ技における機能内容)

この機能の真価は「同一構造の数式が大量に含まれるデータ」に対して使用した場合に発揮されるのです。
(適用対象は「一字一句まで同一の数式」ではなく、「同一『構造』の数式」です。この点が非常に重要です。)

「同一構造の数式が大量に含まれるデータ」に対して使用した場合、計算結果(Excel用語でいうと「値」)ではなく、「数式が『現在のセル(アクティブセル)』と異なるもの」を選択することができます。
間違いがなければ「該当するセルが見つかりません」というメッセージボックス(下記のもの)が表示されます。

茨城県立高校入試における合否判定ミスのケースで上記の操作を行えば、メッセージボックスは表示されず、数式が誤っているセルが選択されます。

何らかの理由で、この受験者の点数が正確に計算できていなかった」(毎日新聞)というのは非常によくあることです。
だから、作業中及び作業終了後に本稿の方法でチェックする必要があるのです。

3. あとがき

読んでいただいてありがとうございました。

茨城県教育委員会様、よろしければ上記内容の落とし込みを始めとする業務プロセス改善を承りますよ :-)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?