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飲みニケーション

 やっと考えがまとまったので、またこんがらがる前にしっかり書いておきたい。

 コロナが収まり、またことあるごとに飲み会が催されるようになった。「コロナが落ち着いたから、前と同じことしようぜ!」とか考えるあたり、あまり進歩を感じないが、楽しければいいじゃん、ということなのだろうか。

 はじめに断っておくが、僕は飲み会がそれほど嫌いではない。アルコールは体質的に飲めないが、人の本音が聞けるあの空間が好きなのだ。

 御多分に洩れず、我が職場も飲み会が復活した。久しぶりの飲み会に参加して再認識させられたのは、「オジさんは話が長い」ということだ。冗長、と言ったほうがいいかもしれない。

 20代の頃は、「勘弁してくれ!」と心の中で叫んでいたが、アラフォーと言われる歳に片足を突っ込んだ今、オジさんの気持ちが痛いほどわかる。なぜオジさんの話が長いのか。それは「本音で喋れる機会が減っていく」からだろう。

 30代後半といえば、部下を持ち始めて責任ある立場になる。若い時のような、勢いだけで仕事はできず、四方八方に気を遣って働いていることだろう。比例して、仕事量も増えるから、家庭にいる時間も短くなる。すると、家庭での居場所もじわりじわりと失われていく。

 一方でオジさんはプライドが高い生き物だとも言える。泣き言は言わないし、どこかカッコつけたがる。だから、働いているオジさんの多くは、感情を表に出さぬよう、眉間に皺を寄せて、室井管理官ごっこを続けるのである。

 そんな孤独な戦いの休息の場が、飲み会なのだ。アルコールが入り、ダムが決壊する。「俺の若い頃はこんなにがんばった。そして今も頑張っている。そんな俺を認めてくれ!」と承認欲求モンスターが誕生するのだ。

 かく言う僕も、そうなりつつある。日頃感情をなるべくフラットにしようと努め、「理解のある中間管理職」を演じている。でも、飲み会にのるとその空気に当てられて、「俺も色々大変だよ。だから褒めてよ」的な内容の話をしている。そして、トイレの個室「待てよ?俺、シラフだからめっちゃ痛いやつじゃん!」と顔から火が出そうになる。こうして黒歴史が増えていくのである。

 長々と書いたが、飲み会の場は孤独なオジさんにとってはなくてはならない癒しの場なのである。これを読んだ若手諸君は、その気持ちを汲んでほしい。そして嫌々飲み会に参加するのではなく、そもそも飲み会なんか必要ないくらい、日頃からオジさんの承認欲求を満たしてあげてほしい。オジさんほど、自分が好きな生き物はいないのだから。

 結局話はうまくまとまらなかったが、これはこれで満足したのでよしとしよう。

 

 

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