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テレビ番組のリサーチ領域⑤出演者キャスティング編

テレビ番組のリサーチ会社フォーミュレーションです。
さて、今回は「出演者キャスティングリサーチ」について書いていこうと思います。

テレビリサーチ会社における「出演者キャスティングリサーチ」とは、いわゆる有名タレントのキャスティング(ブッキング)のことではありません。(※「タレントキャスティング」は番組プロデューサー・APが主に行います)

どういったことをしているかと言いますと…、大きく分けて2つあります。

①「一般の方」を対象にテレビ番組の出演交渉&取材を行う
②「専門家」を対象にテレビ番組の出演交渉&監修依頼&取材を行う

といったように、テレビリサーチ会社は、主に「一般の方」「専門家」を対象に電話取材を行い、テレビ番組への出演交渉や電話取材を行います。

■テレビ番組に出演する一般の方は、通常、どうやって探しているの?

日々放送されるテレビ番組には、有名タレント以外にも、たくさんの一般の方がご出演されています。その多くは番組のディレクター・ADが長時間かけて全国に飛び回り、街録(インタビュー)などを地道に行い、リサーチをされています。

一方で…、その裏でも、テレビリサーチ会社も動いているのです。

番組が公式に「出演者募集中!!」といった公募を行ったり、地道に街録したとしても、番組の内容に適した一般の方が見つけるのは、そんなに簡単な話ではないのです。

■一般の方が出演する番組はどんな番組があるのか?

現在放送中の番組で、一般の方が出演する番組の代表的なものは…

・日本テレビ『幸せ!ボンビーガール』
・日本テレビ『月曜から夜ふかし』
・テレビ朝日『あいつ今何してる?』
・テレビ朝日『ナニコレ珍百景』
・TBS『ニンゲン観察モニタリング』
・TBS『マツコの知らない世界』
・TBS/MBS『情熱大陸』
・フジテレビ/関西テレビ『セブンルール』
・テレビ東京『Youは何しに日本へ?』
・テレビ東京『世界!ニッポン行きたい人応援団』
・テレビ東京『家、ついて行ってイイですか?』
・テレビ東京『どうぶつピース!!』
・テレビ東京『23時の密着テレビ「レべチな人、見つけた」』

などなど、全てが網羅できているわけではないですが、こういった番組に、面白いネタ(エピソード)を持った一般の方が出演されていると思います。

では、この中から番組を一つ取り上げてご説明しましょう。

■日本テレビ『幸せ!ボンビーガール』で行う「出演者キャスティングリサーチ」とは

毎週火曜22時、2013年からゴールデンタイムで放送が続く人気番組です。

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この番組では番組内での告知やHP等で公募も行っておりますが、テレビリサーチ会社「フォーミュレーション」もリサーチとして入り、独自のルートから番組に適した方をリサーチし、出演交渉を行っています。

具体的なリサーチ方法は後述しますが、様々な手段を使い、番組に適した一般女性を見つけ出し、出演交渉を行っているのです。

■①「一般の方」を対象にテレビ番組の出演交渉&取材を行う

以下、『ボンビーガール』での事例ではありませんが、番組(制作担当)側から、出演込みの一般の方のリサーチ依頼が来るときは、このような形で発注が来ます。

※以下、架空の発注事例です

家族の感動話を聞かせてくれる奥さんを探して下さい。
 できれば、東京近郊に住んでいる方で、子どもは2人以上を希望します!
 出演交渉までお願いえします。

こういった発注を頂いた場合、以下のようなリサーチを行います。

1.フォーミュレーションのWEBアンケートシステム

フォーミュレーション」ではWEBアンケートのモニター数が約2000万人(提携モニター含む)いるため、様々な条件を加味した上で、ピンポイントで様々な条件の方を抽出することが可能です。そういった方々に電話をかけ、取材と出演交渉を行います。

流れを簡単にご説明しますと…

①WEBアンケートを配信するため、既婚者で子ども2人以上いる女性を抽出
②その中から東京近郊(東京、千葉、埼玉、神奈川)に住んでる方を抽出
③出演希望の有無を記載する
④感動話を引き出すための質問を入れ、WEBアンケートを配信する
 (※普通に感動話はありますか?と聞いても、良い話は出てこないので、  質問の仕方を工夫します)
⑤回収したWEBアンケート結果を確認し、電話取材を行う

上記のような流れでWEBアンケートを配信した場合、対象者はおそらく数百人はいると思います。その中から、WEBアンケートの回答結果を見て、話の広がりそうな方を中心に電話取材を行います。

2.新聞・WEBニュース

新聞やWEBニュース等で感動話を語っている女性を探し、個別で連絡先を探してピンポイントで出演交渉を行うこともあります。この場合、感動話は事前に確認できているので、番組出演さえ乗って頂ければ、番組が求める方の中でも、かなり精度の高い方を納品することが可能です。

3.団体からの紹介

早めに数多くの候補者を集める一つのリサーチ方法として、感動話をたくさん持っていそうな団体の代表の方に接触し、感動話を持っている方を集めて頂くという方法もあります。

■最近の傾向として…

ここ数年の傾向として、Twitter、Instagram、TikTok、YouTubeなど、一般の方でSNSを利用されている方が急増しています。そのため、SNSのDMを介して、一般の方とコミュニケーションをとることが非常に増えてきています。

フォーミュレーションでも、『【公式・取材用】テレビ番組のリサーチ会社フォーミュレーション』のTwitterアカウントを作成し、一般の方へ取材等を行っておりますので、暖かくご対応頂けると嬉しいです!

■出演して頂ける方が見つかったとしても…リサーチ会社に大事なのは電話取材の能力!

実は、ご出演して頂ける一般の方をリサーチすること自体は、そこまで難しい仕事ではありません。何よりも難しいのは、電話取材です。

おしゃべりが達者な有名タレントに「何か感動話はありますか?」と聞いても、ほぼ100%、テレビ番組で取り上げることのできるレべルの話は絶対に出てきません。であるなら、一般の方にも同様のことが言えます。

つまり、ただ「感動話はありますか?」と聞いても、具体的なエピソードは出てくるはずがないので、質問内容を工夫して電話取材に臨みます。

大事なことは、テレビで放送する際に誰もが感動できる話を聞き出せるかどうか。

電話取材の前に、取材対象者の「夫とのなれそめは?」「結婚までの障害」「子どもが生まれるまでの苦労」「子どもが大きくなるまでの苦労」「みんな健康か?」といった、「こうなったら感動話になりそう」に繋がりそうな質問事項を、あらかじめ大量に用意しておきます。

具体的な質問を大量に用意することで、電話での会話も弾み、番組に適した感動話を引き出すことができるのです。

電話取材に特に大事なことは、電話取材中に「何かありますか?」と聞かないこと、そして何より「仲良くなること」なんです。話が盛り上がれば、取材対象者も色々なお話をして下さいます。

■特に電話取材が大変なのは…大家族!

大家族の電話取材はとにかく大変です。まず、子どもの数が多い!仮に子どもが10人いた場合、10人分のエピソードを聞く必要があります。もちろん、ご夫婦のなれそめから、日常の過ごし方まで、様々な話を取材する必要があります。

基本的には大家族のお母さんにお話を伺うことが多いですが、大家族のお母さんはとにかく忙しい!大量の食事作りに、洗濯物。家事に追われているお母さんの取材時間を少しでも減らすべく、短い時間で確実な情報を聞き出すように工夫しています。あと、電話の裏から聞こえてくる声が賑やかなのも、大家族の電話取材あるあるですね(笑)。

■過去にはこんな無茶ぶりも…

テレビ番組は、基本的に面白い一般の方々に出演して頂くのが大好きです。つまり、制作から発注が来る段階で、「こんな人いないだろう…」みたいな無茶なお題が来ることもたまにあります(笑)。

●クマと戦って勝った人を探してほしいです
●徳川慶喜に会ったことのある人を探してほしいです
●チワワを室外飼いしてる人を探してほしいです
●双子同士で結婚した人を探してほしいです
●何かしらの理由で顔出しNGの方(全員モザイク)をスタジオに50人集めたいです
●家の中が何かに埋め尽くされている人を探してほしいです

上記のむちゃぶりはほんの一部ですが、次々にやってくるむちゃぶりを断ることはありません。

「出演者キャスティングリサーチ」はたった1人でやっているわけではないので、経験豊富な社内のスタッフたちに話を聞き、アドバイスを貰うこともよくあります。

少し変わった人探しに強いスタッフ、ペット探しに強いスタッフ、全国の変わった部活動に強いスタッフ、SNSでバズっているインフルエンサーに強いスタッフなど、様々なジャンルにプロフェッショナルがおります

■テレビ番組以外にも、CM、WEB広告、インフォマーシャルでも重宝される「出演者キャスティングリサーチ」

テレビリサーチで培った「出演者キャスティングリサーチ」は、テレビ以外にも、CM、WEB広告、インフォマーシャルなどでも、幅広く活用されています。

一例として…

●CM
→「高校生の青春」を表現したCMの事例。こんな部活動あったんだ!と驚きのある高校の部活動をリサーチし、CMへの出演交渉を行う。
●WEB広告
→笑顔の写真を大量に集めて巨大なモザイクアートを制作するという企画で、全国から笑顔の写真を募集する事務局を運営。
●インフォマーシャル
→ヒザ痛に効果のあるクリームを一定期間使用して感想を言ってもらうインフォマーシャル。ヒザに痛みを抱えた高齢者を東京近郊でリサーチ。

など、「番組等に出演して頂く」といったことに限らず、一般の方にお願いすることであれば、わりとどのような事でも対応可能です。

■②「専門家」を対象にテレビ番組の出演交渉&監修依頼&取材を行う

「テレビ番組のリサーチ領域②ファクトチェック編」でも述べましたが、クイズ番組や情報番組などは、特に放送する情報に間違いがないように注意しないといけません。

そこで…、いわゆる「専門家」と呼ばれる方々。つまり、大学教授、専門機関の研究者、自治体など、様々な有識者の方々に、放送する内容が間違っていないかの監修依頼を行うこともあります。あわせて、番組への出演依頼も行うことがあります。

「専門家」の方々に監修依頼を行う際、知識が全く無い状態では質問することもできないので、最低限の知識を蓄えたり、監修依頼を行う専門家の著書を事前に読むこともあります。

とはいいつつも、短期間で全てを理解することは不可能なので、「分からないことは分からない」ことを誠実に専門家の方へ伝えれば、丁寧に対応して頂ける方がほとんどです。大事なことは「知ったかぶり」をしないこと。

専門家の方、一般の方関係なく、誠実に向き合うよう心がけています。

■まとめ

「出演者キャスティングリサーチ」は、有名タレント以外の一般の方々に取材や出演交渉を行うリサーチです。

また、「番組へ出演して下さい」といった依頼以外にも、「スマホに入っている面白い映像を見せて下さい」、「家の中にあるお宝を見せて下さい」、「この歌を歌った映像をスマホで撮影して送って下さい」といった”モノを取り寄せる依頼”から、「自宅をフルリフォームしませんか?」「サプライズプロポーズしませんか?」といった”企画に合わせたお願い”するパターンもあります。

また、専門家といった有識者の方々へ取材や出演交渉を行うこともあります。こちらも、テレビ番組以外にも、ドラマの脚本監修、WEB広告で配信する雑学の監修など、多岐に渡ります。

つまり、フォーミュレーションでは一般の方にご相談したい内容に関しては、ほぼどんなジャンルでも対応可能、または検討可能になっております。いつでもご相談下さい!

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