在宅勤務時のチームづくり
オフィスに出勤せずに、遠隔からの勤務者が20%に上ると言われている米国では、在宅勤務者が感じる"疎外感"や、組織への"エンゲージメントの低さ"、"同僚への信頼感の低下"がここ数年報告されている。*
チームが在宅勤務をしながらパフォーマンスを維持するためには、リーダーは、どのような事ができるだろうか?
まず、チームが遠隔で仕事をした場合、3種類の距離が生まれると、Erica Dhawan氏、とTomas Chamorro-Premuzic氏は言う。
物理的な距離: 場所と時間
業務的な距離: チームのサイズ、スキルレベル
親密性の距離: 価値観、信頼感、相互のサポート関係
一番気を付けないといけないのは、親密性の距離 (affinity distance)である。
有効な対策としては、Eメールや、音声会議を、定期的なビデオ会議に変更すること。そうすることで、ラポート形成や、共感(エンパシー)が生まれやすくなる。
さらに、Dhawan氏は、バーチャルなチームビルディング活動を定期的に実施することを推奨している。
Clevertech社のKuty Shalev氏は、バーチャルなチームビルディング活動のうち、次の"シェアコンテンツによる構成された会話"が彼の組織では効果的だったと、ハーバードビジネスレビューで紹介している。
シェアコンテンツによる構成された会話
普段、デジタルでしかコミュニケーションしていないメンバー同士が、よりも深い会話を醸成するため、カジュアルな読書会的なミーティングを設定。
やり方は:
1.ミーティング設定者は、コンテンツを選択
2. 参加者は、TEDや、記事や、オンラインコースなど、指定された同じコンテンツをあらかじめ見てくる
3. バーチャルミーティングで、感想を述べ合う
ミーティングのポイントは、次のルールである。
・1人ずつ同じ分量を話す
・1人ずつ話す
・話し終わったら、次の人を任命する
このルールだと、全員が100%参加でき、参加者の1人1人が他のメンバーに平等に聞いてもらえるという場を作り出せ、同僚への理解が深まるとともに、信頼感にもつながる。
コンテンツ選びのコツ
コンテンツは、いろんな感想がでそうなコンテンツをお勧めしたい。コンテンツの解釈に正解があるようなものだと、正解探しをするミーティングになってしまい、個々の内面を尊重することができなくなるからだ。
また、長さも、1時間かけて読むような記事ではなく、最長でも15分で終わるコンテンツがよいだろう。
さらに、可能であれば、読むだけではなく、見る、聴くの複数の方法が提供されているコンテンツだと、得意な五感が異なるメンバーにも負担にならずにすむだろう。
TEDコンテンツ
ここに、いくつかのインスピレーショナルなTEDコンテンツを紹介する。(字幕が日本語対応しているもの)
大人になっても脳はあらたな神経細胞がつくる話や、クラシックなSimon SinekのWhy we do what we do? 、マインドフルネスで悪い習慣から抜け出せる話など、どれも様々な感想が期待できる。
最後に
在宅勤務が常態化した場合は、どのように通常業務を行うかだけでなく、バーチャルだからこそケア(気を付ける)しなければいけないことは何か、を考えることが必要なのだと、米国の先例から分かる。
通勤時間の短縮や、会議の数が少なくなるなど効率化できる点もあるが、お互いを知る活動を取り入れてみてはどうだろうか。
* 米国の20%が在宅勤務者で、50%が部分的に在宅勤務を利用しているとGallupと労働統計局が推計を発表している
Photo by Matt Le on Unsplash
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