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内々定承諾書の意味とは。就職活動はそこで打ち止めではないよ。

本稿は「就職活動から入社までの不安を法律面から一挙解説!のVol.2」です。
Vol.1→インターンでもらう「内々定」は「内々定」ではない?!

前回はインターンなどでもらう「内定の口約束」について書きましたが、今回からは入社へ向けて会社とどういった書面をやり取りしていくか、どんな書類がくるかを確認していきます。

②6月1日から解禁される「内々定」について

採用が決定しますと、会社から今後の予定といつまでに返信してくださいといったような旨が書かれた紙と一緒に内々定承諾書、内定通知書といったものが届きます。
労働条件通知書も届いていることもあると思います。

これらの書類について今回は解説させていただきます。

(1)内々定承諾書とは

ではまず内々定承諾書(採用内定承諾書)とはどういうものかということから見ていきましょう。

内々定承諾書

こちらは私や友人の実例と、法律事務所などが無料公開しているテンプレートなどを参考に作成したものですが、この内々定承諾書の特徴は何でしょうか。

内々定承諾書は、一方的なものです。

就活生が会社に対して、この用紙を提出し、用紙に書いてある内容を守ることを約束するものであり、誓約書の一種です。

誓約書
片方の意思で一方的に相手に何かしらを約束する文書。
誓約する相手方の責任は書かれず、相手の同意は不要。

また、誓約書に書かれている内容が特段受け入れられないものであることはそうそうないと思います。
というのも、採用の局面において多くの場合会社と就活生のパワーバランスが会社の側に傾いていることは想像ができることであり、不合理な内容な場合は無効となります

ここで皆さんが気になるのは次の点でしょう。
内々定承諾書を提出したらもう就職活動を続けてはいけないのかと、または第1条の「正当な理由なく、入社を拒否いたしません」というのは不合理な内容ではないのか。

次はそれを確認していきましょう。

(2)内々定承諾書を提出した後に入社辞退はできるが、まずは相談してみるのが無難。

まず、悩まれている皆様には最も現実的な案を提案させていただきます。
リクルーターや書類に記載のある方へ、就職活動を継続したい旨など相談しましょう。
会社側はあなたを採用したいと思ってくれているわけで、誠意をもって話せば、その伝えたことだけで内定取り消しになることなどなく、内々定承諾書の提出期限を延ばしてくれるでしょう。

よって以下に続く内容は、第一志望である旨を強調しすぎたが故に上記のような申し出ができない方向けとなります。

では、第1条の会社側の意図から確認しましょう。

「囲い込み」と言って問題ないでしょう。

入社人数を明確にし、配属の調整や、夏以降および中途採用の枠を早い段階で把握することが主な理由付けとなります。
もちろんこういった書類を通して優秀な皆さんに入社へ傾いていただこうというのもあると思います。

(3)「正当な理由」なく内定辞退は可能?!

最後に、内々定承諾書をだした後「正当な理由」で入社を拒否するのは法的に可能か。

結論から言うと、「正当な理由」は特段不要ですし入社拒否は可能です。

この段階での会社と就活生との間には契約関係はなく、あくまで採用の意思を通知している、入社の意思を通知している関係にすぎません
一方で、Vol.3で詳しく説明したしますが、内定とはいついつから雇う、働くということを定めて契約した状態を指します。

その上で、「内定の辞退」は民法第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)第1項にて保証されており、これは判例からも認められていると言えます。

民法第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
注 期間の定めのない雇用:無期限雇用、正社員のこと。

よって、辞退することを決めた段階で申し入れをしないと会社側の損失が大きくなるのでしないといけませんが、契約関係にある「内定」で法的にも問題なく辞退ができるので、契約関係にはない「内々定」で辞退が可能であることは明らかです。

もちろん理由も不要です。
誠意をもって伝えるということであれば、事実を告げると後腐れないのではないでしょうかとは思いますが、承諾書の他の条項(「卒業ができなくなった」など)でも問題はないと思います。

就職活動を継続したい場合は一度担当者に相談すべきだが、
後で内々定を断っても法的には問題ないので、
承諾書はとりあえず出す方向で検討しよう!!!

(4)採用通知書

「採用通知書」は名前の通り、採用予定者に対して採用することを知らせる書類のことです。

採用通知書そのものに法的な定義も、会社側の交付の義務も特段はありません。

企業によって採用通知書を内定通知書といった意味合いで用いている場合もあるため、どのような意味を持つ書類なのかは企業によって異なる面がありますが、

合格通知くらいの認識で良いのではないでしょうか。

内々定承諾書にあることも多い、「今年度の卒業が出来ない場合は採用を取り消すことがあります」みたいな内容が採用通知書に記載されることもあります。

ご参考:労働条件通知書

上でもちらりとだけ書きましたが、「内定」は労働契約の一種です。
そして、新卒の場合は「内定までに労働条件通知書の交付」が必要とされています。

よって、内定の前にきちんとした書類を送るタイミングとしてこのタイミングで送付されてくるということです。

ということで、こちらを受け取れば説明会等で聞いてきた条件と異なっていないかを確認しましょう。
労働契約の期間や始業および終業時刻と勤務時間、賃金、業務内容や休憩時間、休日や休暇に関する項目など記載されております。

厚生労働省が載せているモデル(PDF)

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。
これからまた就職や転職がしづらい環境へもどっていくこともあるやもしれません。
ただ、かといってそれは皆さんがより良い環境、納得のいく環境で働こうと思う努力や自由をないがしろにしても良いものではありませんし、出来ることはやる、後悔のない就職活動を行っていただければ幸いです。

こんなことが不安だ、自分はこんな書類ももらったということございましたらぜひコメントや下記へご連絡ください!

おわり。

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