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ペレス、荒れたシンガポールで完勝! タイトル争いは鈴鹿に

レース開始前に降った豪雨により開始が1時間5分遅れたシンガポールGPで、2番グリッドスタートのペレスが完勝した(レース後審議があったが5秒加算ペナルティにとどまり、優勝が確定した)。8位スタートのフェルスタッペンはノリスを抜きあぐねたうえに今季では珍しい大きなミスを犯し、一時はポイント圏外に。なんとか7位に戻すも、タイトル決定は鈴鹿以降に持ち越された。

ポイント差が縮まるも、フェルスタッペンは鈴鹿での自力タイトルの可能性を残す

今回2位に入ったルクレールはランキング首位のフェルスタッペンとのポイント差を12点縮めて104点差。優勝したペレスはフェルスタッペンと106点差となった。フェルスタッペンが鈴鹿でタイトルを決めるためには後続と112点差以上に開くことが必要で、ルクレールに8点差、ペレスに6点差を上乗せする必要がある。

日本GPで優勝+ファステストラップ(FL)なら無条件でタイトル決定。フェルスタッペンはシンガポールで下位に沈んだものの、鈴鹿での自力タイトルの芽を残したこととなる(その意味ではレース最終盤にベッテルを抜いた意義は大きい)。ファステストラップなしの優勝でもルクレールが3位以下ならタイトルが決定する。

フェルスタッペン2位(FLなし)の場合はルクレール6位以下、ペレス5位以下がタイトル決定条件。3位(同)の場合はルクレール7位以下、ペレス6位以下が条件となる(※他の決定条件については割愛する)

鈴鹿もシンガポール同様に雨の予報となっている。誰が雨の強さを発揮するだろうか?

ちょい濡れ+ストリートで圧倒的存在感を見せたペレス

スタート時、偶数グリッドがあるイン側の水量がわずかに少ないように見えた。2番手スタートのペレス以下、サインツ、ノリスの偶数側グリッドのドライバーが奇数側のドライバーを抜いて1つずつ順位を上げ、3コーナーを駆け抜けた。

ストリートサーキット、ちょい濡れの路面でペレスは抜群の速さを誇る。今年はこの2つの条件が重なったモナコでも勝利した。レーシングポイント時代の20年のイスタンブールで、乾きつつある路面を摩耗し切ったインターミディエイトタイヤで最後まで走り切って2位表彰台を得たことも記憶に新しい。

ペレスはスタートでトップに立つと、バーチャルセーフティーカー(VSC)中の21周目にドライタイヤ(ミディアム)に交換するギャンブルに出たラッセルのタイムを参考とし、35周目の抜群のタイミングでミディアムタイヤに交換した。

各車のタイヤ交換タイミング

角田裕毅のクラッシュによるSC明けにルクレールに激しく攻め立てられたものの、最後にルクレールを7秒突き放してゴールを迎えた。フェラーリはタイヤ交換初期のタイムは早いものの、サマーブレイク明け以降はタイムの落ち幅の大きさが目につく。各コーナーでスライドするルクレールに対してペレスの走りはスムーズそのもの。経験の違いを見せつけた圧勝だった。

エースのフェルスタッペンが苦戦するなか、ペレスはリリーフの役割を完璧にこなした。本人はレース後「自分を褒めたい」と感無量の表情で語った。

ペレスはSC時のレギュレーション違反でレース後審議となっている。リプレーを見ると、セーフティーカーとの車間を広げすぎた嫌疑をかけられたと思われる。ペレス側はアンダーソンブリッジ明けの13コーナーがブラインドとなっており、車間が把握できなかったと釈明するかもしれないが、どのような裁定となるか不明だ。フェラーリ側では二重ペナルティにより10秒加算が課せられるとみているようだ。

(※10/3追記:審議の結果、ペレスの5秒加算のペナルティで決着し、2位ルクレールへの2.595秒差の優勝で確定した。セーフティーカーから二度、10車身以上離れたが、初回についてはセミウェットのコンディションとブレーキの温まりの問題による不可抗力と見なされ、おとがめなしに。二度目についてはチーム側からも注意を受けたうえでの違反であることから5秒加算となった)

13コーナー開けのストレートで、セーフティーカーとペレスの間隔が開いていた

今シーズンで珍しいミスを連発したフェルスタッペン

フェルスタッペンは予選Q3で、燃料の残量を読み違えたチームの判断ミスで最終アタックを中断する不運により、8位にとどまった。決勝も序盤はアロンソ、中盤はノリスに延々抑え込まれるフラストレーションが溜まる展開に。1周目にマグヌッセンら周囲のドライバーとの争いで無用のリスクを避け12番手に落としたが、抜きづらいシンガポールではその後のレースの展開を苦しくしたようにも思える。

30周目のVSC明け直前には、ノリスを抜きにかかるもイエローシグナルに気付いて慌てて急ブレーキを踏む際どいシーンがあった。角田裕樹のクラッシュによるSC明け直後の40周目にノリスのインを刺すも、激しくタイヤをロックアップ。余計なタイヤ交換を強いられた。

レース終盤は7位ベッテル、8位ハミルトン、9位フェルスタッペンの王者3人による激しいバトルが見どころだった。ハミルトンもレース中盤の33周目に濡れた路面に足を取られて真正面からバリヤに激突、フロントウィング交換で大きく順位を落としていた。19年のシンガポールが最後の優勝となりそうなベッテルに対する王者2人からのはなむけのように感じられた。

このバトルは57周目、ハミルトンがベッテルを攻める際に濡れたラインに乗って後退。フェルスタッペンが最終周となる59周目に7コーナーでベッテルをアウト側から豪快にパスし、追加の2ポイントをもぎ取った。8位に落ちたが、ベッテルは久しぶりに活きのいいレースを見せた。

いよいよ3年ぶりの鈴鹿へ

いよいよF1が3年ぶりの鈴鹿にやってくる。フェルスタッペンの鈴鹿でのタイトル確定条件はやや厳しくなったが、それでも優勝+FLの完勝劇で自力タイトルの可能性がある。本人もホンダの地元GPへの凱旋に強い意識があるようだ。圧勝でレースを締めるならファンへの最高の贈り物となるだろう。

角田は来季アルファタウリ残留が決まったが、今回のシンガポールのクラッシュに加え、ベルギーではタイヤ交換時のタイムロス、オランダではチームとの噛み合わないコミュニケーションなど、空回りのレースが目立つ。今回の予選Q3ではタイヤの違いはあれど一時トップに立つ速さはある。なんとか地元レースをきっかけに立ち直りを見せてもらえると良いのだが。。。

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