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快適なケアとは

病気が判明し、ある総合病院に約2か月間、入院していた。
生まれた時は母と産婦人科にいたのだろうが、それ以来全く入院など経験もなかった私が、思いがけずケアを受ける立場となり、そのケアがとても快適だったので、どこがどのように快適だったか、忘れないうちに具体的に記しておこうと思う。
「ウチの病院の食事は美味しいよー」と言っても「病院の薄味の食事が美味しいなんて、めっちゃ具合悪そうですね」と言われてしまうので、健康な方にも分かるような言葉で記すように心掛けたいと思う。以下、良かった点です。

平等性・公平性

身体の具合がままならず、看護師に悪態ついたり、夜中に騒いだりする方もいるが、いい患者さんだけでなく迷惑な患者さんにも、むしろそういう方に手厚く、チームで対応されていて、ある意味私なんかより支援を必要とする方を取りこぼさない姿勢は、すごいなあと思った。どんな方にも平等・公平に接する姿を拝見し、私がもし具合が悪くなって迷惑なことをたくさんしてしまったとしても、この方々ならきっと守ってくれると確信した。

話を聞いてくれる

血圧・血糖値など自分史上初の高い数値を記録したり、一時的に意味不明の熱が出て体調を崩したりもして健康に不安があったが、細かな症状も聞いてくれて、回診や看護師の巡回で経過を確認し、必要に応じ速やかに検査や処方もしてくれた。
また、数少ないが男性の看護師もいて、同性のほうが話しやすい内容もあるので有難いと思った。
医師や看護師だけでなく、大学医学部の学生さんが研修に見えていて、病状を細かく聞いてくれるので、自分の病状の客観的把握に役立った。
夜おなかがすくと言ったら、毎夕食にところてんを追加してくれて、私は入院前は毎日ところてんを食べる人だったので、好物が出てかなりテンション・アップした。
また、日頃田舎でお日さまやそよ風にあたりながら生活しているので、4人部屋でも窓際のベッドがいいと言ったら可能な限り配慮して下さって、こんな希望まで聞いてくれるんだ、おかげで快適に過ごせて感謝している。

説明責任

病状や今後の治療方針について、きちんと説明して頂けた。検査の結果の共有、服薬の量や期間、治療がうまくいった場合に目標とする生活の状況も説明を受けた。
また、検査で判明したことだけでなく、「原因は現代の医学では分からない」など、検査によりわかったこと、もう少し調べなければならないことの両方について説明があった。
治療が上手く行けば「ちゃんと1日8時間働けるようになる」「食事の制限も解除される」と見通しを伺い、治療の励みとなった。「軽作業もできるようになるが、長期入院明けすぐは体力が落ちているかもしれない」など具体的に示して頂くことで、より信頼をすることができた。

療養専念

感染症予防のため面会禁止だったので、むしろ療養に専念できた。
4人部屋だったが、患者同士もお互いのプライバシーに配慮して、いびきや夜のトイレはあるとしても、昼間も横になる時間がほしい方も多く、可能な限り静かに過ごせた。
感染症予防のため入院中の外泊・外出も原則禁止で、入院患者が外部からウイルス等を持込むリスクがなく安心できた。

外部との繋がり

院内Free Wi-Fiは、スマホひとつで外の世界と繋れるのでとても良かった。
2年前なら、病院のパソコンを使ってZoom面会とか、ネットに繋がるPC端末を配置とか、やっていたが、今はFree Wi-Fiが便利。LINE、メール、ネットニュース、SNS、ショッピング(自宅配送)、Tverやradiko、Zoomなど、なんでもできた。
音声通話もロビーや個室では可能。(グループ通話やTwitterスペースなど多人数の会話は、館内放送が入るので不向き)
面会禁止で主にLINEでの繋がりという距離感が、私の療養には快適だった。

最高の食事

美味しかったし、上げ膳据え膳で、献立を何も考える必要もなく、1日1800kcalの食事を食べられるのは、私にはとても幸せだった。カロリーに応じた食事量や、塩分控えめの味付けのしかたも、味わいながら学ぶことができた。

最良の医療

何より最高のスタッフと、最高の医療機器で、最良の医療を受けられたことが、私にとっては幸せだった。今まで総合病院の診察券を全く持っていなかったが、この機会にこの病院の診察券ができて良かった。

結びに~伝えること~

自分が健康でないと、ケアを受ける立場の思いを詳細に伝えることができない。私は入院し、退院したからこの記事を書けた。ずっと入院されてケアを受けている方もいる。現状維持を目標に生活している方もいる。人それぞれ、受けたい快適なケアのあり方は異なるはずだ。
どうすれば、伝えられるだろうか。どうすれば、病院内でケアを受ける人々と、病院の外で健康に日常を生きる人々との間を媒介できるのだろうかと考える。


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