見出し画像

【著作権の話#4】有名人の写真を撮って、SNSに投稿するのは、法的にアリ? ナシ?

私がはじめて間近で見た有名人は「だっちゅーの!」でおなじみのパイレーツの2人、あるいは警備員のアルバイトをしていたときに見たモーニング娘。(初期メンバー)だったかもしれません。
では、私が間近で見た有名人の中で一番のビッグネームは誰か?
甲乙つけがたいですが、広末涼子さんか中田英寿さんになります。
(俳優ののんさんに握手していただいたことがありますが、私の中で殿堂入りしているのでここでは触れません)

広末さんは大学が同期でした。私はオーラソーマとかのスピには懐疑的ですが、広末さんの周りにピンク色のオーラが見えたことは強烈に覚えています。
ちなみに当時、在籍していた大学の、学生たちの履修科目を整理するバイトをしていたのですが、当然広末さんのものもあり、業務遂行上目にする機会がありました。その後、写真週刊誌「フライデー」にて「広末涼子の履修科目はこれだ!」みたいな記事が出たのですが、全然違っていて笑ったものです。思いっきり飛ばし記事ですね。

中田英寿さんに関しては、かつて麻布十番にあった知り合いのおばさんの飲食店にいたときに、ヒデがふらりと入ってきて、トイレを借りて出ていきました。そのお店は通行人にトイレを貸すことを禁止していたのですが、さすがにヒデはVIP扱い、店主のおばさんは圧倒されて「どうぞどうぞ、何の変哲もないトイレでよろしければ」ってなもんです。

まあ、有名人というのはこういうふうに、私みたいな一般人に好き勝手書かれてしまう宿命があるわけです(上記のエピソードは紛れもない真実です)。

では、文章ならまだしも、かれらの写真を撮ってこうしたブログやSNSなどに投稿することは法的にも道義的にも問題ないのでしょうか?

強引すぎる前フリになってしまいましたが、宮本督『これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識』の中から、そのヒント、回答になりそうな箇所を一部抜粋、本記事用に改編してお届けしましょう。


公人・有名人は肖像権が認められにくい

たまたま街を歩いていたら有名な芸能人の姿を見かけたので、スマホで撮影し、それを自慢したくて画像を自分のブログに掲載しました。これは何か問題があるでしょうか。
結論からいえば、著作権上の問題はありません。その写真の著作権者は撮影したあなたです(もし、ほかの人がその画像をコピーして勝手に使ったら、それはあなたがもつ著作権を侵害することになります)。
では、撮影された芸能人には何の権利もないのでしょうか。
本人は「肖像権」という権利をもっています。肖像権とは、人がみだりに自分の容貌を撮影されたり、公表されたりしない権利のことです。肖像権の侵害は民法上の不法行為にあたり、損害賠償責任を負うこともあります。この肖像権は有名人に限らず、あらゆる人に存在します。
したがって、街で見かけた芸能人の写真をブログに掲載する行為は、著作権法上は問題がないとしても、肖像権の侵害として違法になります。
実際には、人気商売の芸能人が、一般人に対して、肖像権の侵害を主張して掲載の差止めや損害賠償の請求をすることはないでしょうが、このような行為は、マナー違反というだけでなく、違法行為だということを認識しておく必要があります。
大通りなどの街なかで普段の様子を撮影した写真を自分のブログやSNS で公表しても、肖像権侵害で訴えられることにはならないでしょうが、マナーとしてどうなのか、SNS でファンから抗議されないか、といった問題は残ります。

プライバシー権やパブリシティ権に関わる

一方、たとえば人目につかない場所で、恋人と密かに会っているところを撮影したということになると、「プライバシー権」に関わってきます。芸能人であっても他人に知られたくないプライバシーはありますし、それを暴けば、プライバシー権の侵害となります。
では、週刊誌などのゴシップ記事はどうなの? という疑問がわいてきます。
この場合、「報道する自由=表現の受け手の自由(知る権利)」と、プライバシー権がぶつかります。一般的には、その報道が公共の利害にかかわる事実であるかがメルクマールになります。
したがって、週刊誌等の芸能人のゴシップ報道は、もし芸能人が裁判を起こせば、芸能人側が勝訴するようなものがほとんどといわれています。ただ実際には、芸能人側も、プライバシーの侵害というためには、そのゴシップ記事が真実であることを認めざるを得ないため(嘘だと言うなら、名誉棄損の問題になります)、なかなか裁判になりにくいだけです。
また、芸能人には、自分の肖像などの商業的な価値を勝手に利用されない「パブリシティ権」があります。
たまたま撮影した芸能人の写真を自分の商売に利用すると、パブリシティ権の侵害になることがあります。いうまでもありませんが、他人の撮影した写真を勝手に商売に使えば、さらに著作権侵害となります。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部 いしぐろ)

*参考


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?