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【著作権の話#3】文章の剽窃(パクリ)とオリジナルの境界線は?

今さら言うまでもありませんが、私は文才がありません。
この週1担当のnote記事の執筆だって、恥ずかしいのでやめたいくらいです。
だからこそ昔からやっているのが、ネットや書籍、雑誌に載っていた「面白い表現」「上手な表現」「パンチライン」をコピペしてストックし、困ったときに参考にするというテクニックです。
読み返してそのエッセンスを抽出したり、構造やロジックだけを借りて全然別のテーマの、別の言葉を入れ、自分の文章になるように加工したりします。
読み返すと、「何でこんな文章をストックしたの!?」というものもあるのですが、たとえば以下のような原稿をストックしています。

ここに、私のメモ帳に集められた、おもしろ原稿のいくつかをリンク付きで入れる予定でした。

出典なし

……と原稿にリンクをつけたものを、下書き段階で何本も用意したのですが、厳密にはこの行為そのものは「引用」ではなく「転載」であり、著作権者側に許諾をもらわないといけません(さすがに面倒すぎ)。それがないと著作権法に触れてしまうので、断念します。

載せたところで、著作権者側にデメリットはなく、むしろ記事を読んでもらえるというメリットがあるので、私個人のブログなら(ないけど)「エイヤっ」で載せるのですが、会社のnoteに書いており、しかも著作権に関する記事なのでやめておきます。

……ということで、例文を入れることができないので、理解しづらいかもしれませんが(聡明な読者の方なら大丈夫かも)、「概念が抽象的でなかなか言語化できない」「ロジックが複雑すぎて論理的に説明できない」「たまにはピリッと皮肉めいたことを書きたい」「気の利いた見出しをつけたい」……といったときに、ストックしているおもしろ原稿を参考にするわけです。
しかし、気をつけなければいけないのが、参考にするつもりが、うっかり「パクってしまった」場合です。

そこで、参考までに宮本督『これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識』の中から、「剽窃とオリジナルの境界線」について解説した箇所を一部抜粋して紹介します。


一定以上の一致・共通点があるか

文章を書くときに、何かを参考にすることは珍しいことではありません。
たとえば、自分のブログ記事を書くときに、いくつものサイトを見て、同じテーマで書かれた文章をつまみ食いして、コピペします。その文章をもとに、語尾を変え、接続詞を変え、いくつかの言葉を同じ意味の別の言葉に変えます。すると、なんとなく違う文章に仕上がります。書籍や雑誌などからも同じように文章をもってくることがあるかもしれません。
しかし、このようにしてできあがった文章は、剽窃(盗用)の域を出ません。著作権侵害の可能性が大いにあります。
しかし、同じテーマで書けば、ほかの文章を参考にしなくても、似たような文章になることがあります。では、剽窃とオリジナルの境界線はどこにあるのでしょうか。
まず、客観的な事実関係について、ありふれた表現で書かれたものについては、似通った文章になっても、ただちに剽窃とはいえないでしょう。しかし、個性的・独創的な考察・評価・感想などについての部分で共通点があれば、剽窃を疑われます。そして、総合的に判断して、一定以上の一致・共通点があり、また、その元となる著作物を知りうる立場にあれば、剽窃(著作権侵害)と判断されるかもしれません。
それを避けるための方法は次のようなものが考えられます。

①他人の文章は「引用」の要件をきちんと満たして、そのままの形で載せる(引用の要件については82 ページ参照)。
②引用の分量が多ければ、著作権者の許諾を得て、「転載」の形で載せる。
③参考にする文章はコピペして加工せずに、一度頭の中に入れてから、そのエッセンスだけを書くようにする。他人の意見や考察を自分の考えたもののようにして書かない。

他人の書いた文章を参考にするにしても、頼りすぎると、剽窃の汚名を免れ得なくなります。

リライトには著作権者の許諾が必要

近年はインターネット記事を中心に、「リライト」という執筆スタイルがよくみられます。
リライトとは本来、出版・広告の制作過程で、元原稿を最終原稿用に書き直すことをいいます。多くの場合、元原稿のクオリティの向上、文章量の調整、目的や読者層の変更に対応した表現の変更がその目的です。
当然、元原稿の筆者である著作権者の許諾、了承を得て行われます。ですから、リライトと称して、無断で他サイトの記事の一部を改変して、自分のブログにさも自分が最初から書いたようにして掲載することは、明白な剽窃行為になります。
では、「要約」というスタイルはどうでしょうか。たとえば、新聞記事の主な点を短くまとめるのはどうでしょうか。
これは、元記事から事実部分だけを取り出して、その事実を短く再構成したような要約ならセーフ、元記事の言葉を言い換えて多少短くした程度ならアウト。新聞記事も著作物ですが、そのなかの事実部分については著作物ではないとされているからです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部 いしぐろ)

※参考



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