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当選する政治家に共通する資質とは?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

昨日、投開票が行われた総選挙が終わりました。当選した候補者、落選した候補者。悲喜こもごもな様子を選挙特番で見ながら「政治家になるのも大変だし、いざ政治家になった後もそれはまた大変なんだろうなぁ」と感じました。

これはあくまでも超個人的な感想ですが、ここ数年、人気が出る有名人、支持を集める政治家には共通するものがあるように感じます。

それは「本音で話している人」です。
嘘をついていない。

仮にその人の言葉が「本音」じゃないとしても、「本音で話しているように見える」ことが重要な気がします。

ポーズ、振り、パフォーマンスが嫌われる時代。フェイクな時代には、正直さ、本音をさらけ出す勇気が武器となる。

そんな雑駁とした感想を持ったのが、今回の総選挙でした。

それとやはり、政治家はなんといっても「影響力」が大事です。

「あの人に言われると、なぜか納得しちゃうんだよね」
「なぜか、いつもあの人の意見は通る」

そんな存在はあなたの周りにもちらほら思い当たるのではないでしょうか。周囲に影響を与える「影響力」はなにも政治家だけに必要なパワーではありません。ごくごく普通の生活を送る学生やビジネスパーソンにも「あれば鬼に金棒」な要素です。

そんな「影響力」を武器として身に付けるためのテクニックを集めたのが『あなたの「影響力」が武器となる101の心理テクニック』(神岡真司・著)という禁断の書です。

今日は本書から「影響力をわがものにするテクニック」をご紹介します。

自分の意見に注目させて説得効果を高める
「これが真理というもの!」

 ビジネスの現場で、自分の発言に、より一層の注目を集めたいと思った時には、「逆説的言辞」を唱えることをおすすめします。逆説的言辞とは、次のようなセリフになります。

「成果を挙げたかったら、仕事なんか真面目に一生懸命やってちゃダメだよ」
「借金を早く返さなきゃ──なんて思っているうちは、きみもまだヒヨッコだな」
「コンプライアンス(法令遵守)なんてクソ喰らえと思ったほうが成功するよ」


 一聴すると常識やモラルに反することを主張しています。
 そのため、聞かされたほうは、頭の中に「ハテナマーク(?)」が広がります。
「え? 何でだろう?」と思ってしまうことで注目度が上がるのです。
 認知に不協和を起こした状態であり、これを「認知的不協和」と呼んでいます。
 このあと、認知が協和するように話を続ければよいのです。

「仕事は要領だよ。ゲーム感覚で、ササッとひらめきで仕上げたほうが出来がいいんだ」
「借金も財産のうちだろ。信用残高が高い証拠だよ。返すより効率運用すべきなんだよ」
「パチンコも人材派遣業も、元は違法営業ではじまり、あとから法で認知されたんだぜ」


 デートに誘って彼女を口説く時にも使えます。

男「実はオレ、きみを恋人にしたいなんて、これっぽっちも思ったことはないんだ」
女「え? どゆこと……?」
男「きみと初めて会った時から、オレの生涯のパートナー・同志になる人だって思ったよ」


 こんなやり取りをすると記憶にもよく残り、相手の胸の内での反芻(はんすう)効果も高くなります。
 近年では、書籍のタイトルにもよく使われます。『医者に殺されない47の心得』『営業マンは「お願い」するな!』『千円札は拾うな。』など、いずれも印象度が高いでしょう。

自分の意見に注目を集めるための「逆説的言辞」。これは会議や企画書などでも応用できるテクニックでしょう。

ただ、男女関係に応用されている「きみと初めて会った時から、オレの生涯のパートナー・同志になる人だって思ったよ…」の認知不協和⇒認知解消テクニックは、うかつに使うと「このオッサン、キモい」と思われるリスクが十二分ありますので、ご注意ください。

自分を強く印象づける
「どのへんが気に入ってますか?」

 人は質問されると、すぐに答えなければ──と無意識に反応します。

店員「というわけで、この製品の特長はいろいろあります。お客様は、どのへんを気に入っていただいてますか?」
お客「うーん、そうだね。やはり、コンパクトでデザインが洗練されてるところかな……」
店員「さすがお客様はお目が高いです。グッドデザイン賞を受けた製品なんですよ」


「気に入っているところ」を質問されると考えます。どのへんを自分が「よい」と思っているのか思考を巡らします。「いいところ」を自分で探し、自分で選んだ回答に自分自身が納得します。この現象を「自己説得」と呼ぶのです。
 自分で出した結論ゆえに自分が説得され、確信を持つようになるのです。

男性「きみは、ぼくのいいところって、どんなところだと思ってるの?」
女性「え? うーん……、そうねえ、決断力のあるところかな……」


 この男性のよいところは、「決断力のあるところ」と女性は潜在意識に刷り込みます。

女性「ねえ、アタシのどういうところが好き?」
男性「えっ? そ、そうだな……、いつも笑顔でオレを励ましてくれるところかな……」


 大して好きでもなかった相手でも、あらためて考えると、好きなところも浮かびます。すると、そのことが刷り込まれます。時々、思いついたように同じことを聞いてみましょう。
 自分に振り向かせたい時、自分をもっと意識させたい時に、この手を使うと効果があります。「どう思う?」と漠然と聞くのではなく、「どこがいい?」「どこが好き?」と具体的に聞くのが肝になります。

「わたしのこと、好き?」

「・・・別に」

こんな会話を避けるためには「私のどこが好きなのか?」を答えさせるというテクニック。これは会話テクニックの基本としてよく言われる「オープン・クエスチョン」と「クローズ・クエスチョン」に近いですね。

あるいはこんな「ダブルバインド」と呼ばれる鉄板の心理テクニックにも似ています。

×「今度の土曜日、一緒に食事に行かない?」
◎「今度の土曜日、一緒に食事に行きたいんだけど、寿司とイタリアンどっちにする?」

自分のイメージをコントロールする
「○○なんですよ」

 巧妙に「自分語り」をして、自分のイメージを創り上げることを「自己呈示」といいます。たいていの人は、真実の自分を語る「自己開示」と間違え印象操作されてしまいます。

「子供の頃から数学が好きで、それで大学も理学部・物理学科にすすんだんです」
「子供の頃は虚弱体質でしたが、実戦空手の極真会館道場で体を鍛え、今は3段です」


 本当は真っ赤なウソでも、真顔でこんな話をされると、前者の人はノホホンとした雰囲気を漂わせていても、「頭脳明晰な人」に思えてくるでしょう。
 後者の人は、脆弱そうに見えても、「ケンカしたらヤバイ人」と思わせてくれます。
 イジメにあいやすいタイプの人などは、このように何か武道で鍛えているというイメージを事前に周囲の人に刷り込んでおくと、「魔よけ」代わりになるかもしれないわけです。
「自己呈示」のプロは、詐欺師がその典型です。
 金持ちを気取ったり、職業を医師と名乗ったりして周囲を信用させていきます。「権威」を身にまとうことで、「悪いことはしない人」というイメージを創り、立派な言動で人格者を装い、爽やかな笑顔で気さくな人柄を演出して信頼を獲得し、巧妙に金品を騙し取ってはトンズラを繰り返します。
 被害にあった人は、一様に「まさかあの人が……」となるわけです。
 人間は思い込みの動物です。
 自分のイメージをよくしておいて損はないのです。

編集の世界でもたま~に聞くのが・・・

「いやぁ~、僕が担当するとみんなヒットしちゃうんですよ」

・・・とうそぶく編集者がいるとかいないとか。

もっとひどい事例になると、自分が担当した本ではないベストセラーを指して「これ、オレが担当しました」と明々白々な嘘をこく編集者。

これって、ここでいう「自己呈示」なわけですが、著者にとっては「そうなのか!」とポジティブに捉えることで、編集者を信頼して、結果ベストセラーが生まれるかもしれません。いや、生まれないか。

「自己呈示」のプロは、詐欺師がその典型ってことですが、個人的には自分に対する相手の思い込みも「いい方向」に作用すれば、それはそれでアリなのかもしれないのかなと思います。

もちろん、人を傷つける嘘はダメですが。

黒色で自分の存在感・重厚感をアップする
「黒系で統一しています」

 自分のイメージを服装で演出する際、気をつけたいのはカラーコーディネートです。
 色が与える心理作用は、いろいろな意味で大きいからです。
 たとえば、私たちが何気なく利用しているファストフードの店内をよく見ると、室内の天井や壁に暖色系の色が使われていることが多いでしょう。
 赤系をはじめとする暖色系の茶色やクリーム系の色は、落ち着きを感じさせるとともに食欲を誘うものとされています。そのうえ暖色系の色合いは、長く滞在した──と実感させる効果も高いとされます。つまり、ファストフード店は回転率が勝負なので、お客が食事を済ませたら、すでに十分長く滞在した気分になってくれないと困る──わけです。
 いっぽうで、青をはじめとした寒色系は、クールで清潔なイメージを与えます。
 鎮静作用もあるので、病院の待合室などには、もってこいの色というわけです。
 ところで、色には重量感、重厚感を与える作用の強い「黒系統」もあります。
 黒系の衣服をまとっていると、存在感、重厚感が増すのです。
 心理学の実験でも、白で梱包した場合、薄い緑で梱包した場合、黒色で梱包した場合といった同じ重量の荷物を手で運ぶ際、黒が最も重く感じられて白の1・5倍の体感重量となり、反対に薄い緑は実際の重量よりもさらに軽く感じさせ、黒と比較すると薄い緑は、1・8倍も軽く感じさせる──という結果が報告されています。
 黒系の色を身に着けると自分の存在感を増し、重厚感を高める効果が見込めるわけです。

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そういえば以前、売れる色の法則を解説した本を担当したことがあり、その時に著者の先生にこのように質問したことがありました。

「年相応にしっかりした印象を与えて、周囲にも影響力を持ち、自分の意見が通る。そんな効果を生む服装があれば知りたい。どうすればいいか?」

30歳前後の当時、私は顔立ちや容姿が幼かったうえに、自信のないヘタレだったため、二十歳そこそこのガキ扱いをされがちで、中年が支配するオジサン社会で軽んじられる傾向に悩んでいたのです。だから、服装でハッタリをかませないかと考えた次第なのです。

私の質問に対する著者の回答はこうでした。

「黒いネクタイをするといいですよ」

打ち合わせ当日はピンクっぽいネクタイをしていたのですが、「落ち着いた人格」「説得力ある人」を演出するには、黒いネクタイが効くというのです。

確かにそのアドバイス以降、企画の予算を取ってくる経営会議で黒いネクタイに臨むと効果があったため、それ以来、ここぞというシーンでは黒いニットタイが定番になりました。

人は見た目が9割。大事ですね。

政治家の影響力という話から始まったものの、最後はとてもショボい話で終わってしまい恐縮ですが、『あなたの「影響力」が武器となる101の心理テクニック』(神岡真司・著)はこんなテクニックが満載のすこぶる使えるスグレモノな実践書となっています。

そういえば、政治家の勝負どころのネクタイは「赤」だとどこかで読んだ気がします。アメリカの大統領でみてみると、歴代の大統領の「赤いネクタイ率」がとても高い気がします。

赤いネクタイを締めた経営会議。
今度、試してみます。
といって、ネクタイ締める服装はもう数年してませんが。


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