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孤独を感じたり、人間関係に亀裂が入ったりしていませんか?

リモートワークが増えたことで、人間関係が大きく変わったという人もいるでしょう。それが、良い変化なのか、悪い変化なのか、人それぞれかと思います。
立食パーティのようなところが苦手な私としては、そうしたコミュニケーションの場が減ったことはよかったものの、家族と家に籠もることに、息苦しさを感じるのも正直なところです。

まあ、それくらいの変化ならまだしも、この1年で、以前よりも孤独感や不安を強く感じたり、人間関係に亀裂が入って体も心も疲弊しているなど、深刻な状態の人も増えているそうです。

さて、そんな時期だからこそ手にとっていただきたい新刊があります。人間関係の距離感について解説した『なぜ、あなたは他人の目が気になるのか?』です。

以下、他人との距離を上手にはかり、自分が心地よく振る舞えるようになるための方法を心理学にもとづいて紹介している本書の「まえがき」を転載いたします。

まえがき 人間関係の悩みを解消して自分らしく生きよう!

「人との距離感がわからない」
「いつも相手の顔色をうかがってしまって言いたいことが言えなくなる」
「人との関係がぎくしゃくすると、自分が何かしたんじゃないかと思って不安になる」
「相手の反応に振り回されて、人間関係に疲れてしまう」
「良かれと思ってやっていることが、相手には重たく感じられてしまうみたい」
「いつも人間関係が原因で仕事がうまくいかなくなる」
「好きな人がいるけれど、どうやって近づいていいのかわからない」
「つい他人に干渉し過ぎて嫌われてしまうことが多い」
 そんなご相談を、20年以上のカウンセリングの中でたくさんお聞きしてきました。
 職場の人間関係はもちろん、夫婦や家族との問題、友人関係や習い事の仲間との関係、さらにはご近所付き合い……、突き詰めてみると、私たちの悩みの多くが人間関係に関することです。
 逆に言えば、良好な人間関係を築くことさえできれば、私たちの悩みのほとんどが消えてなくなり、安心して自分らしい生活が送れるのです。
 皆さんは、相手の気持ちを考えて自分の気持ちを抑え込んだり、「私さえ我慢すれば」とその場の空気に自分を合わせたり、良かれと思って相手が望むことを優先してあげたりすること、ありませんか?
 特にそうした問題を抱えやすい人には、感受性の強い人、心がとても優しい平和主義な人が多いものです。相手の気持ちがわかりすぎるがゆえに、つい自分よりも相手のことを優先しがちです。
 本書ではそうした生き方を「他人軸で生きている」と表現しています。自分を軸にするのではなく、他人を軸に行動してしまうからです。
 最近、HSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる心理学の概念が広がりました。とても敏感・繊細な気質のことで、およそ5人に1人が生まれ持っているといわれています。「敏感すぎる人」「繊細さん」などとも呼ばれ、その生きづらさから自由になるための方法を記した本がベストセラーになりました。
 そしてまさにHSPのような気質を持った人が、つい自分よりも相手を優先する「他人軸」で行動し、人間関係に悩みを持ちやすくなっています。
 もちろん、相手のために行動しているわけですから、そこに喜びを感じることもある一方で、自分のことを犠牲にして後回しにしてしまいます。
 たとえば、あなたは「今日は家でゆっくりしたいな」と思っていても、友達が「買い物に付き合ってよ!」と誘ってきたら、渋々ながらも笑顔をつくって「いいよー!」と言ってしまうこと、ありませんか? そのとき、「ゆっくりしたい私」は犠牲になって心の中に押し込められてしまいます。友達と一緒にいて楽しい時間もある一方で、「ゆっくりしたい」と思っていた私の気持ちは満たされないままです。
 しかも、敏感すぎる人は気持ちの優しい人が多いので、友達と遊びに行ったのに疲れている自分のことが許せません。「せっかく友達が誘ってくれたのに、疲れた気分になってる私なんて最低!」と自分を責めてしまうのです。
 このように他人軸で生きていると、どんどん心が疲れていきます。

より複雑さを増してきた人間関係

 あなたも日々感じていらっしゃると思いますが、人間関係が自分の思いどおりにいくことは少ないものです。
 たとえば、好きな異性に近づきたいと思っているのに相手に距離を取られてしまうこともあります。一方で、苦手だと思っている取引先から妙に気に入られて距離を縮められることもあるでしょう。また、夫婦関係をもっとよくしたいと思っているのにパートナーにはその気が全然なく現状で満足している、なんて話も職業柄とてもよく耳にします。付き合いのうえで仕方なく一緒にいるのだけど、一刻も早く1人になりたいと思う場面は職場でもママ友付き合いでもよくあるシーンかもしれません。
 さらにいえば、良かれと思って行動したのに相手は感謝どころか、悪意に取って文句を言ってくることだってあるでしょう。また、世界的に社会生活に大きな変化をもたらした新型コロナウイルスの影響も見逃せません。
 他人との距離感がさらに遠くなったことを実感されている方も少なくないでしょう。それは自分軸をしっかり持つことには有効な面もありますが、一方で、孤独感を強く感じ、またオンライン中心の生活の中で新たな人との距離感に戸惑いを覚えている方も少なくないと思います。
 そんなときにどうしたらもっと楽に、自分らしく、まわりの人と付き合うことができるのでしょうか?

人との距離を自在に操れるようになるために

 人との距離感は水物で、昨日よかった距離が今日も有効である保証はありません。それは天気と同じように私たちの感情も常に変化しているからで、そうした変化に対応し、その時々で一番心地よい関係性を築けることが望ましいですし、私たち全員にその能力は備わっています。
 そのように人との距離を上手にはかり、自分が心地よく振る舞えるようになるための方法をご紹介したのが本書なのです。本書を通読することで、人間関係をもっと自分らしく、スムーズに構築していく方法や考え方を学んでいただけます。
 たとえば、仕事において自分が嫌いな人、苦手な人とも付き合わなければいけない場面が出てきます。あるいは、大好きだったパートナーのことがだんだん嫌になってくる時期も当然あります。
 そんな人のために、「嫌いな人とはどう距離をつくったらいいのか?」についても詳しく解説させていただきました。

かつての自分に読ませたい1冊

 まず第1章では、人との距離感がうまくつかめない人によくあるパターンを紹介していきます。
 そこで、人との間に境界線がうまく引けなかったり、スキルやテクニックに頼りすぎている自分を振り返りながら、コミュニケーションの心理的な側面について学んでいきます。
 第2章では他人軸で生きている人の心理について詳しく紹介しています。
 人に合わせてしまうといってもいくつかのパターンに分かれます。たとえば、一見相手のために良いことをしているはずなのに、自分にも人間関係にも悪影響を与えている事象について解説しています。皆さんにとっては今の自分を振り返る機会になると思います。
 第3章ではどうしたら他人軸を手放して、「自分軸」で生きられるのかについて考えます。
 そこでは意外かもしれませんが、他人軸で生きていたころに培った「相手の気持ちを察する力」や「相手に合わせる能力」が生かされる点が大きなポイントです。
 第4章では、私たちの人間関係に大きな影響を与えている「お母さん」との関係について深く掘り下げます。
 私たちはさまざまなことを、お腹の中にいたころから一番近い存在であるお母さんから学びました。言葉はもちろん、価値観や感じ方なども母親との関係の中で学んできたのです。改めて母親との関係を見つめ直すことで、より円滑な人間関係を構築するヒントを得ていただきます。
 第5章では、いよいよ自分が心地よいと感じる他人との距離のはかり方について詳しく解説します。
 ここでは相手との距離感を「感じること」であったり、「与えること」の重要性から、相手を「信頼する」ことについて学びます。時には難しく感じられる考えもご紹介していますので、繰り返し読んで役立ててください。
 第6章ではさらに1歩踏み込んで「嫌いな人」「苦手な人」との距離をどうつくったらいいのかについてご紹介します。
 仕事ではもちろん、さまざまな場面で私たちは嫌いな人と接する必要がありますし、かつてはうまくいっていた関係がぎくしゃくすることもよくあるものです。そんなときにどうしたらいい関係を築いていけるのかを順を追って説明しています。
 そして、第7章では人間関係の「あるある!」な困った事例と対処法について解説しています。どれも私のクライアントさんの実体験なのですが、皆さんにとっても参考になる方法が彼らの体験を通じて得られるでしょう。

 実は私も、特に20代のころなどは人間関係について悩むことが非常に多く、職場でもプライベートでもつまずきの連続でした。そのころの私は今から思えば完全なる他人軸に生きていました。自分にまったく自信が持てず、いつもまわりの人たちにどう思われているかばかりを気にしてビクビクしていました。
 そんな自分をなんとかしたいと心理学を学び、自分と向き合い、そしてカウンセラーとして多くの方と接する機会をいただく中で、本書で紹介したノウハウを積み重ねてきました。
 今でも稀に他人軸になって振り回されることもありますが、むしろそういう機会が新鮮に感じられるほどいい家族、友人、仲間たちに囲まれて生きています。

 かつての私にぜひ贈りたい1冊であると同時に、同じ思いを感じている皆さんに役立てていただければと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部 石黒)

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