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【お金教育】こんなときどうする? 「子供間でのお金の貸し借り」「テストでいい点取ったら、お小遣いちょうだい」

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

小中学生のお子さんがいらっしゃる方に質問です。

あなたは、わが子に対して「お金の教育」をしていますか?

それぞれのご家庭や方針、やり方があるとは思いますが、なにげない親子間でのコミュニケーション、言動が子どもの将来に大きな影響を与えることは、他ジャンルの教育と同じく、お金の教育も同じと言われます。

親子間でのお金やお小遣いにまつわる会話の典型的なやりとりに、次のようなものがあります。

「お友達にお金を貸してって言われたんだけど、どうすればいい?」
「もし、今度のテストで良い点を取ったら、お小遣いちょうだい」

このようなことをわが子に言われたら、あなたなら、どのように受け答え、対応をとりますか?

子供の「お金の教育」にも精通しており、研究・調査はもとより、講演・セミナーなどを積極的に行なっている村田幸紀さんは、この受け答え、対応次第で、子どものお金のリテラシーは大きく変わる、と言います。

今回は、村田さんの新刊『わが子が将来お金に困らない人になる「お小遣い」のルール』の中から、上記2つの問いに対するおすすめの対処法について公開します。

【1】子供間でのお金の貸し借り


「断る力」を身につけさせるチャンス

 子供にお小遣いをあげるようになると、親が一度は頭を悩ます問題があります。
「友達間でのお金の貸し借り」です。
 このことについてどう考え、どう対処すべきか?
 私の体験なども交えてお話しします。
 私は、自分の子供たちには、
「友達に頼まれても、お金を貸してはいけないよ」
 と教えてきました。
 それは娘たちに「断る力」を身につけてほしかったからです。
 断るべきときに断れないで、大人になってしまうとどうなるか?
 良かれと思って気軽に誰かの保証人となり、ハンコをついてしまった結果、その人の莫大な借金を肩代わりする――。そんな危険性もあるのです。
 私は、「保証人」について、娘たちに

「君らの友達に、山根くんと川本くんの2人がいたとするやろ?
 ある日、川本くんが山根くんに『1000円貸して』って言ったとする。山根くんは川本くんに1000円を貸したけど、
『なあ、村田(※私の苗字です)、どう思う? アイツほんまに返すかな?』
 って相談してきたとする。
 そのとき君らが、
『川本くんは良い人だから絶対返すよ。もしも約束どおり返さなかったら、そのときは私が川本くんの代わりに山根くんに1000円を返すよ』
 と答えるってことなんよ。
 で、川本くんがある日転校してしまったら……、その1000円は君らが肩代わりすることになるんよ。それが保証人ってこと」

 たしかそんなふうに説明した記憶があります。
 友達間のお金の貸し借りも、お小遣いのあげ方同様、良い大人になるためのトレーニングという視点で考えるべきです。

友達からの「貸して」をうまく断らせる、2つの方法

 ただ、子供にとって友達は、自分の生きている世界そのもの。これまでの友情が壊れるのを怖れて、「貸さない」と伝えられないお子さんもいるかもしれません。その気持ちはとてもよくわかります。
 そこで私は、次の2つの方法を子供たちに伝えました。お金を貸し借りについてお子さんと話す際の参考にしてください(大人同士のコミュニケーションでも使えるテクニックだと思います)。

①親が「絶対ダメ」と言っているから……という理由で断らせる
 1つめは、「親のせい」にする方法です。
 友達からお金を貸してと言われたら、「『パパに絶対ダメって言われてるの。ごめんね』と言いなさい」と、私のことを持ち出して断るよう教えてきました。
 場合によっては、「本当に頑固でさぁ……」などと、自分も親の頑固さに困っている感じの〝演技〞をするのもアリです。そうすると、友達も納得しやすくなります。

②「あなたの大切なものと交換するならOKだよ」と提案させる
 ①の方法でうまく断ろうとしても友達がまだ「お金を貸してほしい」とお願いしてくるのであれば、「わが家では『物と交換するならOK』と言われている」と伝えさせるのも良いと思います。
 例えば、お子さんの友達が「100円貸して」と言ってきたら、お子さんは友達に「あなたの大事なオモチャを持ってきて。そのおもちゃと100円を交換しようよ」と提案するわけです。

 ちなみにこの方法は、高額納税者として知られる実業家・斎藤一人さんのお話からヒントを得ています。
 日本一のお金持ちとして知られる一人さんの元には、「お金を貸してほしい」とお願いしに来る人がたくさんいるそうです。そんなとき一人さんは、
「わかったよ。その代わり、車でも何でもいいから借りたいお金に値するものを持ってきて。その分だけお金を貸してあげるよ」
 と伝えるそうです。
 それはなぜか?
 一人さんは、
「君と対等に付き合いたいからだよ」
 と相手に伝えるそうです。そして、
「あなたが持ってきたものは、絶対に転売したりしないで大切に預かっておくよ。あなたがお金を返してくれたら、すぐに返すからね。そのほうが、ただお金を貸すよりもすっきりした人間関係だよね」
 と、理由やルールを説明するそうです。
 ただし、一人さんにこう言われて、実際に物を持参して「お金を貸してください」と再度お願いする人はほとんどいないそうです。

やむを得ず、お金の貸し借りをする場合の注意点

 もちろん、すべてのお金の貸し借りが悪いこととは思いません。
 例えば、友達同士で電車に乗って出かけるはずだったのに、1人が財布を忘れてしまった……。そんなときにはもちろん貸してあげて、後日きっちり返済してもらえば良いと思います。逆もしかりです。
 ただ、貸した側・借りた側の双方が、その日のうちに「こういう理由で/いくらを/誰に/貸した・借りた」と親に報告するよう教えましょう。また、後日「返済した・返済してもらった」という報告も親にさせましょう。

 ちなみに、心構えとして、子供たちには、
「友達に貸したお金は基本的に返ってこないものと思いなさい」
 とも伝えてあります。
 お金が元で人間関係がこじれるのは、世の習い。今のうちからしっかり教えておきましょう。


【2】「もし今度のテストで良い点取ったら、お小遣いちょうだい」と言われたら……


「社会に出て仕事をする」の疑似体験

 子供にお小遣いをあげるようになると、子供から「テストで良い点を取ったら特別にお小遣いちょうだい」とか、「通知表の成績が良かったらオモチャを買って」といった提案をされる可能性があります。
 こんなとき、親はどうすれば良いのでしょうか?
 各家庭で考え方があると思いますが、「その提案を受け入れたほうが良い」というのが私の意見です。
 なぜなら、「頑張り続けて成果を挙げたら報酬が得られた」というのは、私たちの仕事とまったく同じだからです。そのような成功体験を子供のうちに得られるのはすばらしいことです。
 また、「目標を自ら具体的に設定する」という主体性のある行動も褒めてあげるべきポイントです。
(中略)
 例えば「がんばった返し」というような名目で「目標をクリアしたら○○円の特別お小遣い」「目標をクリアしたら××を買ってもらえる」といったものがあっても良いのではないでしょうか

「がんばった返し」を行なう際の4つの注意点

 ただし、いくつかの注意点があります。

 1つめは、「親から」ではなく「子供から」の提案がベターということです。
 勉強を頑張らせたいという思いから、親は「漢字テスト10回連続100点取ったらオモチャを買ってあげる」などと、わが子の目の前に〝ニンジン〞をぶら下げたくなってしまうものです。
 ただ、子供の主体性を育てるには、子供からの提案を待つほうが良いのです。たまに親のほうから提案するのは良いと思いますが、常に親のほうからというのは慎むべきです。

 2つめは、年に何度もやるのはおすすめしないということです。
 わかりやすくするためにあえて極端な例を用いますが、「毎日の小テストで100点を取るたびに100円もらえる」といったルールなどはやらないほうが良いでしょう。
 勉強する本来の目的は、自己成長するためです。その本来の目的から逸脱し、「お金を得ること」が目的となってしまう危険性があるからです。
 頑張り続けるための楽しいごほうびイベントという位置付けで、年に3〜4回程度に留めたほうが良いでしょう。

 3つめは、単発目標よりも継続目標のほうが良いということです。
「今度のテストで100点取ったら……」
 という一発勝負の目標よりも、
「漢字テストで5回連続100点を取ったら」
「期末テストで総合科目800点以上取ったら」
「通知表で5科目中4科目以上でAを取ったら」
 など、時間をかけたり、さまざまな種類の努力を求められる目標のほうが、セルフコントロールや計画性を求められるため、目標の難易度も高くなります。トレーニングの観点で考えると、こちらのほうがおすすめです。
 ただし、大事なのは、失敗させることではなく、成功させてあげること。「頑張れば達成できそう」という最適な難易度の目標を設定してあげてください。

 4つめは、報酬はお金よりも物のほうがわかりやすいということです。
 これは、長年ビジネスをしてきた私の経験から言えることですが、頑張ったごほうびを設定する際、たとえ同じ金額であっても、「○○円を目指して頑張ろう」よりも、「達成したらおいしいケーキを食べよう」のほうが盛り上がります。お金よりもケーキのほうが目に見えてわかりやすいので、モチベーションが湧きやすいのです。
 ですから、「報酬(ごほうび)はお金でも物でもOK」という場合、個人的には物をおすすめします。
 また、「機会」(行きたいところに連れて行ってあげる、食べたいものを食べさせてあげる など)も大きな報酬(ごほうび)になりますよ。

今回ご紹介した、村田さんの新刊『わが子が将来お金に困らない人になる「お小遣い」のルール』(村田幸紀・著)は、

◎「お金の教育」とは、何を教えることなのか?
◎クリスマスプレゼントの先渡しOK?
◎お小遣いは、いつから渡し始めるのがいい?
◎お小遣いのあげ方4パターンと、メリット&デメリット
◎効果バツグンの「お小遣いのあげ方」――「倍返し」+「ありがとう返し」
◎親がお金を出してあげる範囲
◎親が絶対にやってはいけないNG行動

などなど、子供のお金リテラシーを上げるお小遣いのルールはもとより、親の不安や疑問も具体的に答えた「子供のお金教育」に役立つ1冊になっています。興味のある方はチェックしてみてください。

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