見出し画像

買い物に行くたびに「お菓子買って」とねだる子どもに、一枚上手な親はどう対処するか?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

先日発売した新刊『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』は法政大学文学部心理学科の発達心理学者・渡辺弥生先生に書いていただいたのですが、実はこの企画は完全に「自分企画」でした。

「自分企画」とは、自分の興味関心や疑問を満たすために企画したものという意味です。

自分の子どもと日々接する際に、いつも迷うのが、子どもがちょっと困った行動を取ったときに「どんな言い方で言えばいいのか?」でした。

そしてこれはきっと発達心理学の研究にその答えがあるはず!

そんなきっかけで生まれたのがこの本でした。

未就学児~小学校中学年ぐらいまでのお子さんをお持ちの方であれば、これはもうスーパーマーケット(コンビニでも)のあるあるだと思います。

子どもが必ず言う言葉。

「なんか(お菓子)買って!」です。

これ、ついつい「お金ないから」なんて答えがちですが、これはちょっと発達心理学的にNGなんです。

【NGな会話例】
子「お菓子買って!」
「ウチにはお金がないから買えないよ」←×

では、ナイスな回答はなんでしょうか?
(あくまでもこれは一例ですが)

ナイス回答は
「1 週間がまんできたら、
日曜日にまとめてお小遣いをあげよう」

これいったいどういうことでしょうか。

さっそく解説を読んでみましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーー
 子どもは欲しがりです。目の中に入ったものは、なんでも欲しくなるのが子どもです。
 スーパーなどに行けば、子どもにとってキラキラ光って見えるものがたくさんあって、「オモチャ買って」「アイス買って」「お菓子買って」とねだり始めます。
 ただ、目に入るものが欲しくなる気持ち、大人もよくわかるのではないでしょうか。
 大人は理性で購買欲を抑えることができますし、「どうしても欲しい」と思えば自分で買うこともできます。でも、子どもは親に買ってもらうしかありません。購買欲を抑える理性も未熟です。
 だから、「これが欲しい」「あれを買って」と親にねだってしまうのです。
 さあ、そのときに、親はなんと答えるとよいでしょうか。

|「お金がないから」と
|断るのがダメな理由

 まず「がまんすること」を親は教えようと考えると思います。だからといって、
×「ウチにはお金がないから買えないよ」
 そんな言葉でがまんさせていたら、漠然とした不安を子どもの心に植えつけることになります。「お金がない」という言葉が、ネガティブに響いてしまいます。
 子どもは親の気配を敏感に感じとっています。本当に経済的にひっ迫していて買えないのであれば、おねだりすることはしないと思います。「してはいけない」と感じるからです。
 反対に、スーパーなどで親がものをカゴにどんどん入れていく姿を見れば、自分の欲しいものも買ってもらえると感じるでしょう。そのときに、「お金がない」と断られれば、「お母さんは自分の欲しいものは買うのに、私の欲しいものは買ってくれない」と悲しい気持ちになります。お母さんが、家族の食べる食材を買っていたとしても、幼児期の子どもは他者の気持ちを推測することが難しいのです。
 ただただ「買ってもらえない」という事実に「私は大事じゃないのかな」という悲しい気持ちが重なります。その悲しさが限界にきたとき、「ねだる」という行為をしなくなるでしょう。もう心を痛めるのが嫌だからです。
 それは本当に親が望むことでしょうか。
 親は、子どもをどのように育てたいか、どのような知識を授けたいかと、ふだんから考えておくと、その場しのぎの声かけで子どもに悲しい気持ちを植えつけるのを防げます。

|子どもは成功体験を通じて
|「がまんすること」を学ぶ

 子どもにがまんすることを教えたいならば、方法はいくつかあります。
 幼児期は、スーパーに行く前に「今日は何を買うか、決めてからお店に行こう!」とか、「お菓子は1 つだけね」など約束事を具体的に決めておくとよいと思います。そして、約束を守ってがまんできたときには「すごいね、えらいね」とほめること。すると、成功体験を積み重ねながら、がまんすることを少しずつ学んでいけます。
 時間とお金の感覚が生まれてきたら、もう一歩進んだ援助のしかたを選べます。
 心理学の用語に、「満足の遅延」「誘惑の抵抗」という言葉があります。
 たとえば、1 日に50 円までなら自由に使ってよい約束を子どもとしたとします。そのときに、「1 週間毎日がまんできたら、日曜日に500 円のお小遣いをあげるよ」とつけ加えます。計算力が未熟なころは、毎日50 円ずつ使うことを選ぶかもしれません。
 ところが、知恵がついてくると、7 日間がまんしたほうが得だとわかります。誘惑に抵抗して満足を遅らせることで、衝動買いを自分の意志でがまんしていく力を培っていくことができます。こうしたお金の感覚を教えていくことも、社会性を育むしつけの一つとなります。
 子どもの自己主張する力がまんする力は、裏表のようで実は独立した力です。ともに育っていきます。どちらかというと、自己主張が先に現れてぐんぐん育っていくのに対して、がまんする力は遅れて徐々に発達していきます。
 がまんする力が育ってくれば、親の言うことに素直に従うこともできるようになります。
 少し様子を観察してみると、子どもなりにがまんしている姿を見ることができます。親の要求水準まではいかなくても、しだいにがまんする力は育まれています。
 この2 つの力を上手に育てるには、子どもの自己主張する気持ちを親が共感して受け入れる。その次に楽しい経験を通してがまんする力を獲得させていくのが理想です。
ーーーーーーーーーーーーーーーー

◎1 日に50 円までなら自由に使ってよいとする
◎1 週間毎日がまんできたら、日曜日に500 円のお小遣いをあげる

【1日50円使った場合】
1日50円×6日分(月曜~土曜)=300円

【1週間がまんした場合】
500円

なるほど、これは1週間がまんしたほうが「200円」も多くゲットできる。1週間がまんして500円もらうか、1日50円のお菓子を買って食べてしまうか。ここに「自分の意思で我慢する力」がついてくるというわけです。

ぜひ、実践してみてください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?