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米国の株価バブルが崩壊するのはいつか?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

前回は「世界マネーの覇権を握る国はどこか?」というテーマで新刊『2024年 世界マネーの大転換』をご紹介させていただきました。

結論としては「基軸通貨ドルを背景にした米国」がこれまで同様に世界マネーの覇権を握るであろうという推論でした。

ただし、米国とて万能ではありません。

今、米国からマネーが流出していることを指摘するのが国際ストラテジストのエミン・ユルマズさんです。

本書『2024年 世界マネーの大転換』では、著者の今井 澂との対談を展開していますので、そこから一部抜粋してポイントをお伝えします。

日本の時代到来に気付いているバフェット

今井:
 SVB(シリコンバレーバンク)をはじめとする米国の銀行の破たんの影響がどう日本に降りかかってくるのか。日本にとっては大きな懸念となってきています。
 契機循環論の専門家である嶋中雄二氏は、キッチン・サイクルからコンドラチェフ・サイクルまで4つのすべてのサイクルが当てはまる日本が好景気になる、あるいは株式が上がると予測しています。
 かねてよりエミンさんが言われていたように、他国はともかく日本の景気、株価がこれから上昇していくという予測と符牒が合っています。

エミン:
 日本株の中長期的な展望と、欧米の金融機関のどちらかというと目先の動きは全然違うものなので、私も説明するときにけっこう苦労するのです。例えば、「エミンさんは日本株が上がると言う一方で、エブリシングバブルが崩壊すると主張している」と。でも、エブリシングバブルが起きているのは米国で、日本ではありません。
 日本がエブリシングバブルになったのは1980年代後半で、それが崩壊してから米国株相場が盛り上がっていった。それと似たようなことが日本に起きると、私は言っているわけです。これもある意味においては〝サイクル〞ですよね。
 どちらかが上がって、どちらかが下がるようにできているのです。世の中でお金をいくら刷っても、お金は無限大ではありません。結局はどこかへ流れるようにできています。どこかへたくさん流れると、どこかでは不足する。そういうものです。
 そうした観点からすれば、たしかに日本にサイクルは回ってくる。それにすでに気付いているのがウォーレン・バフェット氏のような人物なのでしょう。彼は日本にやって来て、日本人のお金で日本株に投資しているわけで、そこがすごいですね。
 だって、自分のお金ではないのですから。日本から1%の金利でお金を借りて、3%の配当を出している日本株に投資をして、さらにその銘柄の株価も上がっていのです。よくよく考えたら、それは大変なことではないかと思う次第です。
 一方でバフェット氏に貸したほう(日本勢)は1%しかもらっていないのですから、そちらにしてみればこんなバカバカしい話はありません。自分で投資すればよかったのです。
 ただ、これは大きなきっかけになるのでしょう。これを嚆矢(こうし) にさまざまな外国人投資家が日本に来て、投資をするはずです。それは私がかねてより主張していることです。

『2024年 世界マネーの大転換』より

ざっくりまとめると・・・
◎日本のバブル崩壊と同じ現象がアメリカでこれから起こる
◎それと同時に日本にサイクルが回ってくる
◎そこにいち早く気づいたのがウォーレン・バフェット
◎バフェットの動きをきっかけに外国人投資家が日本に投資を始めるだろう

・・・ということです。

米銀からのマネー流出は当然の流れ

エミン:
 日本はそれでいいとしても、かたや米国は依然としてバブルが膨らんだままです。どうしても株価は一度、ヒストリカルな水準に戻らなければいけません。ヒストリカルな平均水準とは何かというと、具体的にはいわゆるバフェット指数の水準です。
「その国に上場している全企業の時価総額の合計は、同国のGDPの約8割が妥当であろう」とするのがバフェット指数の考え方です。
 つまり、株式市場の時価総額を名目国内総生産(GDP)で割った値のことです。
 GDPよりも株式市場の時価総額のほうが大きければ、値が1を上回り、その数字が大きいほど株価の割高を表す。こう説明する人もいます。
 米国のそれは2023年4月23日の時点で156・3%でした。ヒストリカル水準
の80%の約2倍と割高なので、オーバーバリューであることがわかります。
 さらにいうと、同時期のS&P500の配当利回りは1・7%と歴史的な〝低水準〞にあります。
 よくよく考えたら、いまの米国の1年債、2年債は4%以上の利回りが出るので、米国株にお金を回すのは実はバカバカしいのです。
 米国の銀行が抱えている問題の一つはそれです。いまの米国の預金金利は0・25%なので、預金する必要はありません。全額引き出して米国のMMF(マネーマーケットファンド)に入れておけば、4%以上の利回りが出る。S&P500の配当利回り1・7%の倍以上になります。
 これが米国の現状なので、米国の銀行からお金がどんどん流出するのは、当然の流れといえます。そして株式市場から債券市場にお金が流れるのも当然なのです。
 さらに、これは私が口癖のように申し上げていることですが、弾けないバブルはありません。確実に3年前から続いてきたコロナバブルも弾けます。
 このバブルが弾けることで、米国株式の割高な状況が〝解消〞されて、通常のバリエーションに戻るものと私は予測しています。
 それがいつなのか?
 おそらく2023年中ではないでしょうか。

『2024年 世界マネーの大転換』より

ここで出てくる「バフェット指数」とはなにか。

一度おさらいしておきましょう。

株価の割安・割高を判断する指標。米投資家のバフェットが用いているとされ、「バフェット指数」とも呼ばれます。計算式は「当該国の株式時価総額÷当該国の名目GDP×100」となります。バフェット指標が100を超えると割高とされ、株価が急落する可能性があるとみられています。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社ホームページより

著名な投資家で、バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)のCEOでもあるバフェットは、自身の名を冠した指標を「バリュエーションがどのような瞬間にどのような状態にあるかを示す、おそらく最良で唯一の指標」と称賛した。バフェットは、ドットコム・バブル期にこの指標が急上昇したとき、それは暴落が近づいていることを示す「非常に強い警告信号」だったはずだと指摘した。

https://www.businessinsider.jp/post-273419
より

ここでいう「バリュエーション」とは、企業の利益や資産などの企業価値評価のことで、本来の企業価値と現在の株価を比較することで、株価が相対的に割安なのか割高なのかを判断することができます。

ざっくり言うと、このバリュエーションを測るためのバフェット指数が米国株式に関しては爆上がりしており、バブル崩壊の予兆であり、危ないぞというわけです。

さて、どうなることやら・・・これまで米国株式で儲けた方にとっては戦々恐々でしょうか。

もし仮にこの「米国株バブル」が崩壊したら、どうなるか。

その世界マネーが日本にやってくるであろうというのが、本書『2024年 世界マネーの大転換』に登場する識者の方々の見解なのです。

次回記事(9月2日予定)は歴素敵な景気循環サイクルからアプローチした、驚くべき日本の未来を占う見解をご紹介します。


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