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相手に「いいレッテル」をどんどん貼ろう

フォレスト出版編集部の寺崎です。

個人的に最近「ボーンデジタル」の可能性を追求しています。とくにBtoB的関わりでの派生的展開、単なる情報コンテンツの枠を超えた活用方法について、いろいろ夢想しています。

さきほど、そんな「ボンデジ活用企画」を提案した企業さんの広報担当者と打合せをしたのですが、こちらの狙いと先方のニーズがぴったりマッチングして、手伝ってもらっている外部フリー編集者と心の中でガッツポーズをしました。

ZOOMでもリアルでも、最初の打ち合わせは戦々恐々とするものです。「こっちはこういう風に企画を通したい」というのが明確であればあるほど、交渉相手にいかにしてメリットを提示するか、話の展開を間違わないか、いい印象を受けて帰ってもらうにはどうしたらいいか。

「現場のコミュニケーション力」が問われる場面です。

お酒飲みながらのノミニケーションだったら、なんとなく共有のムードを醸成して、ノリで話をまとめることも多い。ただ、いまは酒類提供禁止なんですよね・・・。

というわけで、コミュニケーションといえば、会話・雑談といえばこの本。『面白いほど雑談が弾む101の会話テクニック』(神岡真司・著)を再びひもといてみましょう。

その時の「行動」や「気持ち」を物語の主人公に見立ててあげる

A「バイトで貯めた預金10万円を引き出したんだけど、道で落としちゃったよ」
B「えーっ? バッカだなあ、お前。それで、警察に『届け』は出したのかよ?」
A「そりゃ、当然だろ。出てこなかったけどな……………………(不機嫌な沈黙)」

 会話がしぼんだのは、Bが早く結論を聞きたくて無理やり「自分の興味・関心のある方向」に話題を引っぱったからです。Aへの共感もなくAは面白くないでしょう。

B「 えーっ! じゅ、10万円も落としたのかよ、大変だ。それでお前どうしたの?」
A「 まずさ、銀行から歩いてきたルートを必死に駆け戻って、そこらじゅうを探したんだよ」
B「 うんうん、そうするよな。その時、いったいどんな気分だったんだい?」
A「 気分最悪で青ざめてたさ、だってね、居酒屋のキツイ深夜労働でやっと稼いだ10万という大事な金なんだぜ」
B「 だよな。わかるよ。わかる。悔しくて俺だったら気が狂ってるかもだよ。で、それからどうした?」

 相手の相手のその時の「行動」や「気持ち」を、物語の「主人公」のように見立てて質問してあげると、相手はその時のことを鮮明に思い出し、気持ちも解放されて口も緩むのです。

■p o i n t
相手をドラマの主人公に見立てると話が弾む!
「主人公」見立ての効用。

■トーク例
「それからどうしたんです?」「その時はどんな気分でした?」「頭にきましたか?」「それでどうするつもりだったんです?」「どんな光景が広がってましたか?」

この本では、相手の「気持ち」に焦点を当てろという教えが随所随所に出てきます。ちなみに著者の神岡さんとは、歌舞伎町でお酒をご一緒する機会も多いのですが、店員さんや店の常連さんとの会話も巧みなテクニックを駆使して、コミュニケーション上手でした。著書から学べるけでなく、著者本人から実践・実地で学べるのは編集者冥利につきますね。

ちょっとした「逆説」を会話に取り入れると「雑談」は盛り上がる

A「 仕事のできないバカな上司だったんですが、二代目社長に代わったとたん、急に昇進して、いまは子会社の社長に抜擢されるほどの出世を遂げたんですよ」
B「 いますね、そういう人。仕事ができる人は、かえって出世できないんですよ
A「 え? そうなんですか? 仕事ができる人だと、かえって出世しない?」
B「 ええ、仕事ができる人は自信家でね。上司にとって可愛くない存在ですからね」
A「 あ、なるほどー。そういうことってあるかもですねえ。や、面白い理屈ですね」

 仕事ができる人は、かえって出世しない──この逆説的言辞が注目を引き、その後の会話を弾ませていったことがわかります。
 このように会話の中に常識と反対の説を組み入れると注目を引き、それへの質問を喚起してひときわ会話は盛り上がります。
 これは、Aの頭の中に、「認知的不協和」の状態が生まれてしまったからこその現象です。
「なんで?」「どうして?」と注目を引いたのちに、その真意をあとから紐解いてあげると納得が得られやすいのです。
 認知の不協和が解消されると頭の中に青空が広がるからです。 

「会社で雑談ばかりの人のほうが出世しますよ」
B「えっ? 何でですか?」
A「そういう人はコミュニケーション能力が高いからですよ」

■p o i n t
わざと常識と反対のことを告げて意表を衝く!
認知的不協和作用を狙う。

■トーク例
「仕事をコツコツ真面目にやる奴は駄目だよ」→「え、何で?」「仕事は優先順位の高いものだけ効率よくやってれば、上からの評価も高くなるからさ」

逆説の言葉で説得力を増すフレーズとしては「学校は勉強するところなんかじゃないぞ!」なんてのもありますね。

「書籍編集者は本をつくる仕事なんかじゃないぞ!」

え、どゆことですか?

・・・と、認知的不協和を引き起こしておいて、すかさず「編集者とは人間事業である」とか、「編集者とは著者と二人三脚で世の中を変えていく仕事である」とか、(ちょっとカッコつけすぎですが汗)印象づけることができたりします。

それぞれ、みなさんの職業で「逆説印象トーク」やってみてください。

「よいレッテル」は自分から剥がしたいとは思わない

 上司が部下に、「お、橋本くん、おはよう。きみはいつも元気がいいね!」などと声をかけていると、部下の橋本くんはこの上司の前で元気に振る舞うようになります。
 新婚の夫が妻に、「きみの料理はいつもうまいねえ」と讃えていると、不味い料理がだんだん上手になっていきます。
 これは、心理学では「ピグマリオン効果」と呼ばれています。
 人は、期待をかけられると、意識上でも無意識下でも期待に応えようとするわけです。
 これを会話の中に取り入れることをおすすめします。その場での即効もあるからです。

A「 会社では、私のところに面倒くさい仕事ばっかり回されます」
B「 きみって、愛されキャラなんですよ。顔に描いてあります
A「 え? 私が愛されキャラですか? そんなことないですよ」
B「 愛されキャラだからこそ、きみのところに仕事が来るんです
A「 ふーん、そんなものですか。私、職場で愛されてるんですかねえ」
B「 間違いないです。いいことですよ。若い頃は愛されキャラじゃないと出世しませんよ

「よいイメージ」のレッテルを貼られると、自分から剥がしたいとは思わなくなります。
 だんだん「愛されキャラ」になっていくのです。

■p o i n t
わざと相手に「よいイメージ」をプレゼントする!
「ラべリング効果」の意図的活用を心がける。

■トーク例
「きみって愛されキャラだね」「きみは仕事がいつも早いね」「きみは、頭いいね」「きみは行動派だね」「きみはむずかしい得意先の開拓がうまいね」

これは意識的に広範囲に使えるテクニックですね。

「さすが、Aさん(取引先)!太っ腹ですねぇ!」

このように「Aさんは太っ腹」と本人にラベリングすることで、「俺は太っ腹だ」というレッテルをAさんが自分自身で貼りだして、仕入れ価格を下げてくれるかもしれません。

そういえば、これに近い話がありました。

「自分は運がいい」と思い込むように、娘さんに「○○は、ホント運がいいなあ!」と日々、意識的に声をかけているという同僚の話を聞いたのです。

なるほど、それは使える!と、さっそく私も娘に似たような声掛けを意識的にするようにしました。ついつい、親としては子どものダメなところが目についてしまいがちですが、ピグマリオン効果、ラベリング効果を狙って、「いいレッテル」をどんどん貼ってあげましょう。

これは職場の人間関係でもすぐ使えそうですね。

というわけで、「雑談で出世する!」の帯が目印の『面白いほど雑談が弾む101の会話テクニック』(神岡真司・著)から使えるテク3本をご紹介しました。


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