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業界用語の基礎知識【出版編】

フォレスト出版編集部の寺崎です。

どの業界にも「業界用語」と呼ばれるものがあるかと思いますが、出版業界もご多分に漏れません。

今日はそんな業界用語の【出版業界編】を開陳してまいりたいと思います。

※一般的にはまったくタメにならない情報なので、モノ好きな方以外はブラウザの閉じるボタンを押していただいたほうがよいかもしれません。

「ゲラ」という言葉の語源が想像以上に深かった

まずは「ゲラ」です。

ゲラというのは、デザインの固まった紙面レイアウトに文字を流し込んで、図版やイラストの挿入位置を固めたものを出力したものです。この時点で1ページにつき○○文字×○○行というのが決まっています。

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この状態で著者さんと校正者さんに赤字入れをしてもらいます。

おっと、ここで出てきた「赤字」とは、修正を赤ペンで入れてもらうことです。さすがにこれはわかるか。

で、ゲラです。

インターネットで検索してみると、以下のような語源が紹介されていました。

もとは英語のgalleyで、これが日本語化し、さらに音転しゲラとなったもの。galleyとは古代ギリシャや中世地中海を航行した帆船(ガレー船)をさす語だったが、長方形で浅い船底の形状から、印刷で組み上がった活字の版を入れておく木製の箱をさすようになった。
日本には印刷用語として取り入れられ、活字の版で校正用に刷ったものを「ゲラ刷り」と呼ぶようになり、さらに省略されて「ゲラ」となった。(「由来・語源辞典」より)

文字の1文字1文字を拾って紙面を組んでいた活版印刷の時代の木製の箱が「ガレー船」に似ていたことから「galley」と呼ばれ、それが転じて「ゲラ」になったという。

いやー、そんな歴史的な変遷、知りませんでした。

活版ではなくコンピュータを使ったDTP(デスクトップパブリッシング)の現代はコンピュータのデータをプリンタで出力するわけですが、その状態の代物を「古代ギリシャや中世の地中海を航行したガレー船のような木箱で組む紙面」から転じて「ゲラ」と呼んでいるなんて。

なんともポエジーです。

「本文」は「ほんもん」なのか「ほんぶん」なのか?

業界的に正しい「本文」の読みは「ほんもん」です。

ただ、これは業界の枠を超えた日本語の問題でもあり、現在では「ほんもん」でも「ほんぶん」でもいいらしいです。現にパソコンで「ほんもん」と入れても「ほんぶん」と入れても「本文」と出ます。

「中面」とはなんぞや?

中面。これは「ちゅうめん」ではなく「なかめん」と読むのが正しい。

中面(なかめん)とはつまり書籍の中身のことを指します。カバー、帯、表紙といったいわゆる「付き物(つきもの)」を覗いた要素です。

「そろそろ中面はある程度固まった?」
「(デザイナーさんに)今回は中面デザインもお願いします」

こんな言い方をします。

編集者は「奥付」を最初に見る

書店で立ち読みしていて、書籍のいちばん最後のページを穴が開くようにみている怪しい人がいたら、それはたぶん編集者か出版社の営業マンでしょう。

奥付にはその本の重要な情報が記載されています。われわれがチェックするのは次の要素です。

◎刷数
◎その他のクレジット(目次の後に記載されるパターンも多い)

編集者がもっともよくチェックするのは「刷数」です。書店で気になった他社の本はまず奥付をチェックして【2021年3月初版 2021年5月8刷】といった記載になっていると「くそー、売れてるやん!」と悔しい思いをします。

「奥付」の語源は、古くは巻紙の時代に用紙の右端(書き始め)を「端」といい、左側(最後)を「奥」といったのが始まりだそうです。

「奥」には誰がいつこの文書を書いたのかが記されていたらしいので、まさにいまの時代の「奥付」と同じ役割を果たしていたわけです。

「本扉」「章扉」といったトビラ群

本扉(ほんとびら)は本を開いたら最初に出てくるやつです。タイトルと著者名が記載されています。そいつが本扉です。章扉は章ごとに章タイトルを記載したページ。

本文用紙と同じ紙に印刷されたものは「共紙(ともがみ)」「共紙扉(きょうしとびら)」と呼ばれます。一方、本文用紙とは違う高級な紙で印刷された扉は「別丁扉(べっちょうとびら)」と呼ばれます。

これが本扉↓

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で、これが章扉↓

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慣習(文化?)として残った「見返し」

「見返し(みかえし)」ってご存じでしょうか。表紙と本扉のあいだに挟まっている色紙のようなものがあるかと思いますが、それが「見返し」です。

作家さんがサインを書く場合、だいたいここにサインします。

もともとこれは製本の強度を上げるために存在したものですが、印刷所の方に聞いたところによると、いまでは製本の技術が発達したので「見返しは不要」なのだそうです。

なので、過去にはコストカットを狙って、見返しをつけない本を作ったこともあります。でも、いまだに慣習(文化?)として業界に残存しているのが「見返し」です。

そんな見返しですが、やけに高級な紙で厳かな雰囲気を演出してみたり、複数枚の見返しをつけてみたり(これがいまだに意味わからんです)、いろいろです。

機能が様式美になってしまった典型といえるでしょう。

「柱(はしら)」と「ツメ」の存在理由

とは章のタイトルが紙面の見開きのなかに記載されていて、「いま自分はどの章を読んでいるのか」を示してくれます。

この左上のが柱。

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「ツメ」は最近のビジネス書ではあまり見かけませんが、わかりやすいのが辞書です。国語辞書の左端に「あいうえお」と印刷されていてインデックスになっているのがあるかと思いますが、ああいったものがツメと呼ばれます。

柱もツメも読者が迷わないためのサービスといえます。

取り残された見出しが咽び泣く「泣き別れ」

「泣き別れ」というとなにやら抒情的ですが、これは「一緒にしておくべきものが別れ別れになること」から転じて、一つの見出し・単語・表などが、複数の段やページにまたがってしまう現象をさします。

わかりやすい例が・・・

見出し
(改ページ)
解説本文

・・・というように見出しと本文がページをまたがってしまう場合。これは見開きであればOKですが、そうでない場合はNGとされています。

なぜかフランス語で表現される「ノンブル」

ノンブルとは「ページ番号」のことです。書籍の右下、左下にページ数が書いてあると思いますが、これをなぜかフランス語で「ノンブル」と呼びます。

これ、なんでフランス語なのか、謎なんです。

国立国会図書館のデータベースをみてみたのですが、こぞって「理由は不明」とあります。誰かご存じであれば、教えてください!

業界用語としてはそのほかには・・・

◎トンボ
◎天・地/ノド側・小口側
◎イチニッパ・イッパッパ・ニゴロ
◎1折(16ページ単位)
◎埋め草・捨てカット
◎アタリ
◎下駄
◎校了

・・・といったようなものがありますが、詳しくはVoicy公式フォレスト出版チャンネルで2日間にわたってお話ししましたので、こちらお聴きいただければ幸いです。

また、繰り返しとなりますが、まったくタメにならない情報です。

すみません。


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