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売れた本のリメイクは難しい


フォレスト出版編集部の寺崎です。

現在、8月新刊の『新版 呼吸の本』(加藤俊朗・谷川俊太郎著)の編集作業の佳境です。元になる初版はサンガさんから2010年に出されました。かなりロングセラーで売れました。といっても、累計何万部なのかは出版社が倒産してしまったので、詳しい情報はわかりません。

リメイクの場合、大きく2パターンあって、初版が鳴かず飛ばずだったので、「タイトルを変える」「カバーを変える」「内容に手を入れる」といったことで、リベンジするパターンAがひとつ。

もうひとつが「過去よく売れたけど、さすがに時間が経って売れ行きが落ち着いてきた」というロングセラーに新たに息を吹き込むパターンB。

今回は後者なわけですが、正直言ってパターンAのほうがやりやすいです。なんといっても、敗因が明らかなので、その敗因を潰して、新たに建て直せばいいのですから。

一方、パターンBはなかなか難しい。どこまで連続性を保つべきか、どこまで変化をつけるべきか。カバーデザインひとつとっても、「前の本が売れたんだから、そんなに大きく変える必要はない」という意見と、「いやいや、せっかく新版にするんだから新しさ打ち出さないと」という意見が交錯します。

過去に自分が携わったケースはほとんどがパターンAのリメイクでした。

▼もともとは『女はバカ、男はもっとバカ』だった

この『女はバカ、男はもっとバカ』(三五館)を新書にリメイクしたのが、こちら↓の『残念な「オス」という生き物』でした。

タイトルも判型もデザインもすべてガラリと変えているので、本文の原稿以外はすべてイチから作り直しています。一部、藤田先生に相談して最終章を思い切って割愛しました。新書にリメイクするにあたりイラストも追加しました。

▼同じパターンBがこちら

この『50歳からは肉を食べ始めなさい』をこれまた新書にリメイクしたのが、こちら↓の『人生100年時代の老いない食事』です。

▼パターンAもやりました

苫米地博士の15万部突破のベストセラー『残り97%の脳の使い方』。2008年初版の本でしたが、さすがのこの佇まいは時代にそぐわないということで、少し判型を小さくした「ポケット版」として2017年にリメイクしたのが、こちらです。

モノトーンのデザインは踏襲しつつ、2010年代のビジネス書のテイストに作り替えた感じです。

これと同じパターンでリメイクしたのが、もうひとつあります。浅見帆帆子さんのベストセラー『宇宙につながると夢はかなう』(2009)です。

かなり独特な表紙と紙面なのですが、これは当時の担当編集と浅見さんのこだわりで作り出されたもの。異様なパワーを放って20万部を超えるベストセラーとなります。ただ、売れ行きは落ち着いてしまっていたので、ポケット版へのリメイクを提案して再び2016年に市場に押し出したのが、こちらです。

基調となる「ブルー」「黒」をベースに宇宙感は残しながら、元本の世界観を壊さないように心掛けた次第です。ちなみに、この本、普通ではあまり考えられない紙面の位置にイラストが入っていたりするのですが、それがかえって手作り感があってよい、ということで浅見さんとも合意して、紙面レイアウトはほぼそのままの状態で、デザインだけ変えています。

というわけで、入稿に向けて鋭意編集中の『新版 呼吸の本』は8月21日発売予定です。


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