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【対談】日本一寝ない人・堀大輔さん×日本一食べない人・秋山佳胤さん(後編)

実は私、ある研究所の研究員という肩書を持っています。所長は論理学の権威と呼ばれる大学教授、研究員はさまざまな大学の将来有望な若手研究者や、それぞれの分野で活躍している第一人者です。もちろん私は例外で、ひょんなことから参加することになりました。
今度そこで、あることを提案してみたいと思います。

「私がお会いした人で、ほとんど寝ない人や、まったく食べないで生きている人がいます。彼らを研究してみてはいかがでしょうか?」

というのも、私が編集した堀大輔『できる人は超短眠!』『睡眠の常識はウソだらけ』では、紙上で1日平均45分以下睡眠のショートスリーパーである著者の密着取材をお願いしたり、自ら被検体となるからぜひ睡眠学者に研究してほしいと申し出ています。


結果、著者はテレビ局からは何度も密着取材を受けたのですが(健康診断も)、研究者からのアプローチはまったくありません。
なぜでしょうか?
著者を研究することで、睡眠に関して人類に益するような大発見があるかもしれないのに、です。
鼻からインチキ本と思われて、研究対象としては歯牙にもかけないということでしょうか。だとしたら、残念です。
あるいは、睡眠に限らずあらゆる事象に対して、多くの研究者は「こうあるべき」「こういうものだ」という既定路線に沿って研究しているからではないか、という疑念を私はもっています(研究のことは何も知らないので、気分を害された研究者の読者がいたらごめんなさい)。
たとえば、「睡眠は健康によい」ということが自明になりすぎて、それを前提として研究している中、「睡眠は健康を害する」と主張する著者の意見は到底受け入れることができないでしょう。また、「1日に最低○カロリーを摂取しないと人間は生きていけない」という前提で研究している人にとっては、「不食」というそれらの前提をひっくり返すような理論は、ただただ邪魔なのではないか?

前置きが長くなりました。
今週は先週に引き続き、『食べない人ほど仕事ができる!』に収録された堀大輔さんと秋山佳胤さんの対談の後編を本記事用に一部抜粋、改変してお届けします。


前述のように、「科学」に対する疑問を呈した内容になっています。
みなさんは、どのように考えますか?

▼前編はコチラ!

不食や短眠を科学で語れるのか?

堀:先生のほかにも不食を実践されている方はたくさんいらっしゃいますよね。

秋山:いらっしゃいます。大輔さんはその中でも、ちゃんと地に足が着いている印象があります。なるべく科学的な視点から丁寧に説得を積み上げていらっしゃる。不食に関しても、睡眠に関しても。そこが尊敬するところです。バランス感覚がとてもおありですね。

堀:言葉を借りているだけだともいえますけどね。

秋山:体験してしまうと自分にとっては疑いようのないことですから、これは。短眠にしても少食にしても、不食にしてもそうです。自分でリアルに体験したことだけが自分にとっては真実で、ほかのことは単なる情報です。自分が体験してはじめて知恵に変わるわけです。大輔さんは自分が体験した知恵を、必要とされている人にはぜひ共有していただきたいと、親切心と慈愛の心から考えておられます。この知恵を活用するとすばらしい恩恵が得られるよと。そういう方々に受け入れていただくための方便として、論理的な説明を使われてるわけです。

堀:そうですね。自分が実践しているときに科学の論理だのっていうのはないですから。私も20日間くらいは不食、飲まず食わずっていうのは経験してるんですけれども、科学的に説明しようとしてもそこは矛盾だらけになってしまいます。

秋山:科学っていうのはそうなんですよ。

堀:定義すらわかってないことがありますよね。

秋山:科学の定義っていうのは事象について私たちが認識し、観察するんです。その観察したところから仮説を立てる。その仮説がほかの事象にも当てはまるかどうかという検証をする。ほかの事象にも仮説が当てはまった、検証できた。その検証できたものを一つの科学の理論として打ち立てる。これが実は科学の思考方法なんです。
でも残念ながら、そういう思考方法で語られていても、新しいものは叩かれる傾向が、いろんな分野でありました。睡眠に対しても、本当にバッシングは大変なものだったでしょう。よくぞ主張してくださいました。その果敢な勇気を、私は尊敬申し上げます。

堀:科学というのは常に進化してきて、今まで非常識だといわれたことも今は常識になっている分野って、いくらでもあるわけです。今までの理論で説明できないからといって否定するのではなく、謙虚になってその現象から何を気づき、何を学ぶのか。これこそが科学的態度ですよね。超短眠の主張をしている私は、睡眠学会の権威の方にディスカッションに入れてもらえなかったこともあります。「学者って一体何なんですか!?」と私、言いましたからね、若いのもあって。

秋山:正論ほど相手は怒るんですよね。私なんかはある意味、いい加減で適当にやっていますから。講演会でも「私の話を真に受けないでくださいね」と。「全部冗談ですから」なんて言ってます。だからそういう意味では、別に叩かれたりしないんです(笑)。

堀:科学に精通している人ほど無知の知を知っていてスピリチュアルを頭から否定したりしませんよね。わかっていないことを否定せず、わかっていないときちんと認識してます。そのうえで、わかっていないことに挑戦するからこそ得られるものがたくさんあると考えているからです。ただ周囲の人が、それを二元論で良いだの悪いだのと表現したり、一部を引用して否定したりということがあって、そういうのはどうなんだろう、それをして幸福なのかなと思ったりします。

秋山:大輔さんのご本が立派なのは、いろいろなデータが丁寧に調べられて反映されている点です。こういうのって地道な努力がないと、しづらいんですよね。使える時間があるといっても、その使える時間をそういうことに向ける。人類愛じゃないですけど、そこが凄い立派だなと思うんですよ。私はもう面倒くさいからデータとか一切、なるべく引用文献がないオリジナルなところで話してしまいます。「信じないでください」と言っとけば、ある意味免罪符になるでしょ(笑)。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部 石黒)


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