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相手のホンネは一瞬の表情から漏れ出る

フォレスト出版編集部の寺崎です。

ドジャース・大谷選手の通訳さんが違法賭博がらみでニュースとなり、それについて声明を発表しました。

このときの大谷選手の表情や非言語コミュニケーションから深層心理を分析しているのが微表情研究の第一人者・清水建二さんです。

今日は清水さんの代表的著作の一つである『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』から「微表情クイズ」を出します。

そもそも「微表情」とは?

ここで論じられる「微表情」とはそもそもなにか。
おさらいしておきましょう。

 みなさんは微表情という言葉を聞いたことがありますか?
 日本ではFOXチャンネルで『ライ・トゥ・ミー 嘘は真実を語る』というタイトルで2010年頃から放送をしていたので、そこで微表情という言葉を知った方もいるかもしれません。
『ライ・トゥー・ミー』とは、微表情を読みとるエキスパートである主人公のカル・ライトマン博士が、犯罪容疑者の微表情を次々と読みとり、事件を解決に導いていくヒューマンドラマです。
 実はこのドラマの内容は、実在するアメリカの心理学者ポール・エクマン博士の研究に基づき制作されています。
 ところで、この微表情とはどんな現象で、どんな経緯で生み出された学問なのでしょうか?
 微表情とは、抑制された感情が無意識の内にフラッシュのごとく現れては消え去る微細な顔の動きのことを言います。
 1960年代にハガードとアイザックという研究者によって発見され、前述のポール・エクマン博士によって実用化された概念です。

『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』より

万国共通の7つの表情

この「微表情」ですが、なんと驚くべきことに、地域や国家や民族問わず、いつでも、どこでも、誰にでも表れる万国共通な表情が7つあるそうです。

それは・・・
①幸福
②軽蔑
③嫌悪
④怒り
⑤悲しみ
⑥恐怖
⑦驚き

・・・の7つです。

それでは、表情クイズです。

『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』より








【答え】
①驚き→額全体に水平のしわが広がっているのがわかると思います。これは眉が引き上げられることによって形成されるしわです。しわが額の両端まで広がっている点に注意してみてください。

②恐怖→額中央部に波型のしわが刻まれているのがわかると思います。これは眉が引き上げられ同時に中央に引き寄せられるという動きによって形成されるしわです。驚きのしわとは異なり、しわが中央部にしかないのが特徴です。また通常、弓型の眉がカギ型をしています。これも恐怖表情の特徴です。

③悲しみ→額中央部に山型のしわがあるのがわかると思います。これは眉の内側だけが引き上げられることによって形成されるしわです。通常、悲しみの場合、眉の形はハノ字になるのですが、このモデルのように眉がハノ字を形成しない場合があります。様々な特徴を手掛かりに表情を特定しましょう。

④怒り→眉間にしわがあるのがわかると思います。これは眉が中央に寄りながら引き下げられるために形成されるしわです。眉は逆ハノ字の形をとります。

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ちょっと難しかったですかね!
眉の動きだけで読み取るのは。

次いってみましょう!

『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』より 








【答え】
①恐怖→眉が引き上げられ、目が見開いているのがわかると思います。一見するとこれらの特徴だけからは、驚き表情のように見えます。しかし、下まぶたが緊張している様子を観てください。下まぶたに力が入ることで下まぶたが虹彩に重なっているのがわかります。目の見開きと下まぶたの緊張は、恐怖表情の特徴です。

②悲しみ→眉の内側部分だけが引き上げられ、下唇が引き上げられ、あごにしわができているのがわかると思います。これらの特徴は悲しみです。

③驚き→眉が引き上げられ、目が見開いているのがわかると思います。①の表情とは異なり、下まぶたに緊張が観られません。これは驚きです。

④怒り→眉が中央に寄りながら引き下げられ、まぶたに力が込められています。また口の周りをよく観ると、唇が上下からわずかにプレスされているのがわかると思います。これらの特徴からわかる感情は、怒りです。

***

次はちょっと面白いですよ。

米国の特殊部隊が、ウサーマ・ビン・ラーディン氏の隠れ家を攻撃している様を見ている米国政府要人らの表情を読み解いてみます。

『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』より








【答え】
①の人物は、バラク・オバマ大統領です。

 上まぶたが引き上げられ、同時に下まぶたに力が入っていることから、恐怖もしくは不安を抱いていることがわかります。
 次に下唇の下にできた水平の線に注目です。これは「口角が水平に引かれる」「下唇が引き上げられる」「奥歯に力が入れられる」という動きが合わさると形成されます。これら口の動き、つまり口の周りに力を入れる動きから、強い集中状態にあることがわかります。
 また「下唇が引き上げられる」動きは、悲しみに関連する顔の動きです。
 動作の方に注目すると、両肩をすぼめて、自分の周りの面積を小さくとる姿勢をしています。
 ネガティブな感情の表れです。
 この画像のオバマ大統領の状態をまとめると、作戦遂行中の米国特殊部隊を不安と悲しみを抱きつつも、強い精神集中を持って見守っている。そんな様子がわかります。この画像のときに何に悲しみ、失望していたのでしょうか。この画像のみからはわかりません。

 ②の人物は、デニス・マクドナー国家安全保障担当大統領次席補佐官です。③の人物は、ヒラリー・クリントン国務長官です。

 マクドナー氏の表情に注目します。口が軽く開いているところから、驚きが読みとれます。
 次に下唇を観ると、力が込められているのがわかります。これは口角が水
平に引かれることによって生じます。「口が縦に大きく開かれ唇に力が入れ
られる」もしくは「唇が閉じられたまま上下からプレスされている」、こう
した場合の唇は、怒りを意味しますが、今回のように口角が水平に引かれ下唇に力が入るパターンは、恐怖を意味します。動作に注目すると、腕が組まれ、面積を小さくとる姿勢がとられています。何らかのネガティブな感情の表れです。
 次にクリントン氏です。上まぶたが引き上げられ、目を見開いています。ここから恐怖心があることがわかります。
 片手で口を押さえています。これはマニュピュレーターです。感情のブレが生じており、それを癒いやすためになされた動きだと考えられます。また口を押さえる動きは、何らかの言葉が口に出ないようにする動きです。
 おそらく何らかの驚くような事態を前にしつつも、それを口にするのが憚
はばかれるような状況であったのではないかと考えられます。

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ほんの一瞬の表情、顔の動き、身体反応でダダ洩れてしまう心の中。もし、ご興味を持っていただけたら『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』をぜひご覧ください。

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