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うらやましい……。最も地に足の付いたFIRE指南書『夫婦でFIRE』

こんなことを書くのは、会社の公式noteとしてふさわしくないかもしれません。しかし、あえて記しましょう。私は働きたくない、と。
東南アジアあたりの温暖な地域で、金の心配をせず、生きているのか死んでいるかわからないような、無為で呆けた生活を……(以下略)。
しかし、FIRE(経済的自立・早期引退)関連本はたくさん出ていますが、正直なところ自分には縁がないと思っていました。
もともと年収が多かったり、株で儲けたりした人たちしかできないものだと。あるいは、支出を極限まで抑えた質素な生活を覚悟した人か。
ところが、今月の新刊『夫婦でFIRE』の著者であるグミ&パン夫妻がFIREをめざした当初の年収は平均以下。それでも無理せずにFIREを達成したのです(しかもお子さんが2人います)。

その方法もハイリスク・ハイリターンを狙うものではなく、地に足がついた誰もができるもの。おそらく、他のFIRE関連本と比較しても、FIREをより身近に感じられる内容ではないでしょうか。
以下、『夫婦でFIRE』の「まえがき」を掲載します。働きたくない人は必読です!


まえがき FIREは誰にでもできる! 2人だったらもっと簡単に!

 アメリカで始まった「FIREムーブメント」が日本でも流行しています。
 FIREとは、「Financial Independent, Retire Early」の略で、「経済的自立・早期引退」という意味です。仕事を早期に引退して、資産を運用しながら悠々自適に死ぬまで過ごす、というのが一般的なイメージでしょうか。
 そして、「FIREできるのは恵まれた人で、高収入の人だったり、もともと不動産をもっていたり、株で大当たりしなければ無理だろう」と考える人が多いはずです。
 しかし、ふつうの人でもFIREは達成できます。
 とくに、独身の人やDINKS(ダブルインカム・ノーキッズ=子どものいない共働き夫婦)の家庭ではそれほど難しくありません。
 子育て世帯は少し難易度が上がりますが、共働きで平均的な収入のある家庭なら難しい話ではありません。
 片働き世帯では働き手の収入がある程度必要になりますが、不可能ではありません。
 私は妻と協力し、途中からは2人の子どもを育てながらFIREを達成しました。

ストレスのない生き方をするための方法の1つ

 いまFIREが注目されるのは、「便利で快適な生活を送っているけれども、幸せを感じられない」という人が増えているからでしょう。
 幸せを感じない理由は「ストレス」です。
 厚生労働省の「悩みやストレスの状況」(平成22年国民生活基礎調査)では、30〜50代にかけて「仕事」や「収入・家計」がストレスの要因になっている割合が高いという結果が出ています。
 データは10年以上前のものですが、現在においても同様の結果になることは想像に難くありません。いや、むしろ悪化しているかもしれません。
 つまり、「ストレスを受ける仕事時間を減らしたい」「お金の心配をなくして、幸福感が得られることに時間を使いたい」と考える人が大勢いるわけですが、それを実現する方法の1つがFIREです。
 人生の幸福度を上げるには、好きなことをする時間を増やして、嫌なことをする時間を減らせばいい。単純極まりない話ですが、こうすれば間違いなくストレスが激減します。
 ちなみに、私の嫌なことは次のようなものでした。

・満員電車で通勤すること。
・スーツを着ること。
・決まった時間に出社すること。
・厳しい納期に追われること。
・嫌いな人と一緒に仕事やコミュニケーションを行うこと。
・意味のない会議に出席すること。

 FIREしたいまは、これらのほとんどをすることがなくなったので、ストレスフリーな日常を楽しんでいます。

夫婦でFIREをめざすことのメリット・デメリット

 私たち夫婦が結婚した当初の年間の手取りは、夫が400万円、妻が230万円とけっして高くはありませんでした。
 しかし現在、私たち夫婦は30代後半になり、2021年に1億2000万円の資産をつくりました。そして私は会社を辞め、妻と未就学児の子ども2人の4人家族で暮らしています。
 こうした生活を手に入れるのは1人では絶対に無理でした。二人三脚の夫婦だったからこそ実現できたのです。夫婦でFIREをめざす場合のメリットのいくつかを簡単にあげてみましょう。

・1人の収入に頼らずに、ダブルインカムの世帯収入で資産形成ができる。
   →高収入でなくてもFIREをめざせる。
   →どちらかが無職になったときのリスクヘッジができる。
   →平均的な収入でも、地方在住でもFIREしやすい。
・互いの得手不得手を考慮して、役割分担しながらFIREをめざせる。
・確認し合うことで無駄な出費を減らせる。
・互いに励まし合える。

 単純に考えても、FIREに限らず、1人で挑戦するよりも2人で挑戦したほうが目標を達成しやすいというのは腑に落ちるのではないでしょうか。
 もちろん、お互いの価値観を共有しなければ達成しづらいという、夫婦であるがゆえの苦労があるのも事実です。
 しかし2人なら、そうしたデメリットを補って余りある成果を出せるのです。

FIREで私たちが得たもの

 私は、FIREは基本的に「時間を買うためのもの」と考えています。
 30代の後半にFIREした私たち夫婦は、FIREによって労働のために失われるはずだった時間を20〜30年分買い戻したことになります。
 いま、その時間を使って、自分たちの描いたライフプランを実現しています(図1、図2)。

 現在は「FIRE」という言葉自体が一人歩きしていて、どこからがFIREで、どこまではFIREでないのか、その境界線がどこにあるのか、私自身も正しく把握できていません。
 多様な働き方ができるなかでFIRE自体も変化して、その境界線も変わってきているため、厳密に定義することにあまり意味はなく、概念のようなものだと考えればいいのでしょう。
 大切なことは「FIRE」という言葉に振り回されるのではなく、「自分が何をどうしたいか?」に基づいて目的をもち、それにそった計画を立てて進むことです。あくまでそこが本質です。
 その目的を達成するためには「FIRE」の考え方を使うのが、いまいちばん取り組みやすいということだと思います。
 そして夫婦であれば、よりFIRE達成の実現性が高くなると主張し、その方法を記すのが本書なのです。

 まずプロローグで、FIREの基本についてQ&A方式に近い形で学んでいただきます。ここで、夫婦でめざすべきFIREの理想像を明確にしていただければと思います。
 第1章では、私たち夫婦の道のりをダイジェストで紹介します。ここで、なんとなくFIREを達成するまでの道のりをイメージできるはずです。
 第2章では、夫婦ならではの問題である価値観の共有を掘り下げます。これが夫婦でFIREを達成できるかどうかのカギになります。
 第3章では、FIREのプランニングについて解説します。もちろん、未来をすべて予測するのは不可能です。子どもの有無や予期しなかった病気、事故などもあるわけです。それらを考慮したうえで、どうやって計画を立て、実行していくかをお伝えします。
 第4章~第6章では、資産形成の基本行動である「支出の最適化」「収入を増やす」「投資を行う」の3つをそれぞれ1章分を割いて、私たち夫婦の実例を入れながら解説していきます。

 本書によって多くの方がFIREを達成してストレスフリーな生活を手に入れ、その過程で夫婦の絆が深まるのであれば、これほどうれしいことはありません。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


(編集部 いしぐろ)

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