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Z世代の不思議な生態に共感できるか?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の美馬です。

1月4日にα世代のお年玉事情について投稿しましたが、

本日は『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(原田曜平/光文社)から、Z世代の生態を深堀してみたいと思います。

著者は、「脱ゆとり世代」や「さとり世代」などの言葉を生み出した若者研究の第一人者の原田曜平氏。

本書は、2010年刊行の『近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」』で解説されている「ゆとり世代」と、現在の「脱ゆとり世代」であるZ世代の比較の観点からつくられているようです。

昨今ではZ世代が対象のマーケティング本なども多く見かけるようになりましたが、本書はZ世代を理解するための基本書のような位置づけであり、多くのZ世代本の先がけになった書籍のように思います。


さて、「ゆとり世代」と「Z世代」の大きな違いは何か。
掲示板やミクシーなどでコミュニケーションをとるのが主流だったゆとり世代は、それまでの世代よりも明らかに強い人とのつながりを意識していた反面、SNS上叩かれるのが怖い気持ちも強く、キーワードとして「同調圧力」と「防御意識」が強かった思春期時代を過ごしています。

これに対し、Z世代では鍵垢や裏垢、匿名制を駆使して自分でつながる人を制御できるようになっていると同時に、まわりに後れを取らない程度に自己アピールしたいという「同調思考」と「発信意識」が強い、とされています。

さらにもう一つ、Z世代をとらえるキーワードとして「チル」という言葉も欠かせません。思い返せば、2年くらい前に「チルする?」なんて言葉がバズっていたかもしれません。(最近はあまり聞かなくなりましたが……)

日本語で「まったりする」という意味の「チルアウト」の価値観を持つZ世代は、仕事よりもプライベートの時間を重視する傾向にあり、”プライベートを超えるほどの魅力ある仕事はそもそも存在しない”という考え方が前提にあるとのこと。プライベートもあまり充実していない私にとっては、なんとも言えない寂しさを感じますが……。たしかに、こうした考え方から仕事とプライベートの時間をきちんと区別してメリハリのある生活をしているZ世代の友人が多いのも事実です。

また、Z世代へのアンケートで得られた結果に超共感したものがありましたた。Z世代は「リーダーになりたい」や「夢をかなえたい」など、ある程度上を目指している人が多い(ゆとり世代と比較して)一方、これと同等に「日常生活にストレスを感じている」や「孤独感を感じている」などのネガティブ要素も強く持っているとのこと。「これだから最近の若者はダメなんだ」と言われる原因もここにあるのかもしれません。

この結果について著者は、Z世代は「プチ万能感」と精神的な「脆さ」を併せ持った特徴があると話しています。そのため、こういった特徴を持つ若手社員への指導方針としては「9割褒めて1割は改善提案」がベストではないかという主張もあります。叱る指導はもう時代遅れだということで、これができない上司は「若手放棄」というレッテルを貼られかねないというわけです。Z世代当事者の私が言えることではないですが、不思議な時代になったなーと思いますね。

以上のようなZ世代の特徴を踏まえ、本書ではZ世代のトレンドやメディアとの接し方の傾向などが、具体的な事例やデータを挙げながら紹介されています。最後に一つ、インスタガチ勢女子たちの鉄板ネタをご紹介して締めくくりたいと思います。

「映えピク」
 2019年の上半期に、Z世代の間で流行ったモノの第2位は「映えピク」です。これは「インスタ映えするピクニック」の略です。
 そもそもここ4、5年、Z世代の間で「#おしゃピク」という投稿がSNS上で流行りました。これは「オシャレなピクニック」の略で、ピクニックに行くこと自体が主たる目的ではなく、インスタ映えする写真や動画を撮ることを主目的とした、新しいピクニックのことを意味しています。
「おしゃピク」とは、例えば、代々木公園などに友達と集まり、オシャレなお揃いのTシャツなどを着て、カラフルでオシャレな雑貨や食べ物や飲み物を買い、オシャレなレジャーシートの上にそれらを並べ、みんなでそれらを被写体に写真撮影や動画撮影を行い、インスタグラムに載せ、たくさんの友達から「いいね」をもらったのを確認した後に、ようやく本来のピクニック——飲んだり食べたりを始めるというものです。せっかく買い揃えた食べ物はきっと冷めてしまっているでしょうが……。
「おしゃピク」はZ世代の女子の間ではテッパンネタなので、間違いなく「いいね」がたくさんもらえ、彼らの自己承認欲求を満たすことができます。

『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(原田曜平/光文社)

ちなみに、インスタグラムで「#おしゃピク」と検索すると29万件ヒットします。オシャレなピクニックを演出するのにもお金はかかりますし、いろいろと試行錯誤を繰り返す必要もあるでしょう。いくらトレンドが移り変わるとはいっても、10代のころから夢中になれる何かがあるのは素敵なことかもしれませんね。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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