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#337【ゲスト/問題解決】2万5000ものケースから抽出した課題解決

このnoteは2022年2月24日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

土屋:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める土屋芳輝です。本日は、編集部の寺崎さんともにお伝えしていきたいと思います。寺崎さん、よろしくお願いします。

寺崎:よろしくお願いします。

土屋:今日は、素晴らしいゲストに来てもらっているということなんですけれども。

寺崎:はい。今月発売されたばかりの新刊の『世界一シンプルな問題解決』っていう本があるんですけど、この本の著者の中尾隆一郎さんです。中尾さんには、去年の1月に「リクルートのすごい略語」というテーマで1度Voicyにもご出演いただいておりまして、今日が2度目の出演になりますå。

土屋:1度目の「リクルートのすごい略語」について気になる方は、リンクを貼っておきますので、ぜひそちらも聞いてみてください。それでは本日のゲストは、株式会社中尾マネジメント研究所、代表の中尾隆一郎さんです。中尾さん、本日はどうぞよろしくお願いします。

中尾:よろしくお願いします。

土屋:では、中尾さんから簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。

中尾:はい。先程ご紹介いただきましたが、株式会社中尾マネジメント研究所、代表取締役社長の中尾隆一郎と申します。加えて、旅工房さんであるとか、LIFULLさんの社外取締役をしたり、博報堂DYホールディングスさんのフェローをしたり、今年からは東京電力フロンティアパートナーズ合同会社の投資委員ですね。ここに投資をするのかどうかを決めるみたいなことをやったり、LiNKXという会社の非常勤監査役なんかをやっております。簡単に略歴をご紹介させていただくと、リクルートという会社に29年間勤めておりまして。ですので、1回目のVoicyで「リクルートのすごい略語」みたいなお話をさせていただきました。で、3年前に中尾マネジメント研究所を作りまして、今は5つの事業をしております。業績向上のコンサルティング、中尾塾という経営者向けの塾、そして経営者のメンター、あとは講演であるとか、ワークショップ、あとは本を書いたり、色々な記事を書くみたいなことをやっております。よろしくお願いいたします。

寺崎・土屋:よろしくお願いします。

ベストセラー『KPIマネジメント』が生まれた経緯

寺崎:中野さんと私は、最初は『最高の結果を出すKPIマネジメント』っていう本があって、この書籍からお付き合いさせていただいているんですけれども、おかげさまでこの『最高の結果を出すKPIマネジメント』がロングセラーになりまして、今では「KPI解説書の定番」と言われたりするんですけど、それ以降も『最高の結果を出すKPI実践ノート』とか、『最高の成果を生み出す ビジネススキル・プリンシプル』『自分で考えて動く社員が育つOJTマネジメント』といった本を出させていただきまして、今回の新刊を合わせて計5冊、中尾さんの本を担当させていただいております。

土屋:なるほど。計5冊ということなんですけども、元々最初は、どういったきっかけで中尾さんは執筆依頼を受けることになったんでしょうか?

中尾:はい。元「AERA」の編集長だった、浜田敬子さんという方が、ちょうどBusiness Insider Japanを立ち上げられて、統括編集長をされていたんですね。で、「一緒に記事を書きませんか?」っていうお話をいただいて、元「AERA」の編集長が構成してくれるんだったらうれしいなあと思って、記事を書きだしたんですね。で、その中の1本が「KPIマネジメント」の記事だったんです。で、それを寺崎さんが見つけてくれて、「この話すごく面白いので、本にしませんか?」とご連絡をいただいたっていうのがきっかけでしたね。

寺崎:そうなんです。僕はラッキーでした。それで土屋さん、中尾さんって、とにかく実績がすごいんですよ。スーモって有名な不動産サイトがあるじゃないですか。あれの立ち上げ・・・は違うんでしたっけ?

中尾:その中の新規事業ですね。スーモカウンターという、全国で200店舗ぐらいあるんですかね。それの事業が5店舗ぐらいの時に担当したって感じですね。

寺崎:最初は5店舗だったんですか?

中尾:はい。

寺崎:それがなんと6年間で、売り上げが30倍、店舗数12倍、従業員数5倍いう成長を成し遂げた立役者なんですよ。

土屋:素晴らしい!

寺崎:しかも、「リクルートグループの社内講師として11年間KPIを教えている」っていうのを聞いて、これはすごいなと思って。リクルートって色んな業種の集合体じゃないですか。だから、それこそあらゆる現場のKPIマネジメントに精通しているわけですよ。自分の場合はテーマから企画することが多いんですけども、「KPIマネジメントを書いてもらうには、もうこの方しかいない」ということで、中尾さんにお願いした次第です。結果、大成功でした。これまでのKPIマネジメントの解説書って、どれも経営コンサルの人が書いているから、すごく内容が難しくて、実践するには結構なハードルがあったんですけど、中尾さんの解説はめちゃめちゃ現場レベルで、現場の経験と知恵に根差しているから、すごく実践的なものに仕上がりました。

中尾:今回の本も寺崎さんとの仕事は楽しかったんですけど、1番最初は何年ぶりかな?10年ぶりぐらいに僕は本を書いたんですね。だから、ちょっと手探りだったんですけれども、すごくいいガイダンスをしてくださって、本を書いた後もちょうどリクルートをやめるタイミングで書いたことに結果的になったんですけど、色んな会社さんから「KPIマネジメントの話をしてほしい」っていう、問い合わせをたくさんいただいたり、変わり種だと、市役所ですね。市役所さんから「KPIについてしゃべってくれ」って言われたり、大きな会社、
一部上場企業も何社もやらせていただきましたし、今から伸ばすみたいなところもいっぱいさせてもらいましたね。ポイントは、一般のKPIマネジメントは「数値を管理しましょう」っていう話になっているんですね。で、僕のKPIマネジメントは、その事業の中で最も大事なポイント、「その大事なポイントに絞って、全従業員がそれをフォーカスしながら、みんなでそれを強くしましょうよ」っていうのが趣旨なんですね。だから、「目から鱗だ」って言っていただいたこともありますし、あるいは「本を読んだだけで実践できたよ」っていう話をメールでいただくことがすごくありましたね。結果、いい本になったんじゃないかなっていうふうに自画自賛できる本でした。

朝活の中尾塾から出版企画が生まれる

土屋:ありがとうございます。素晴らしいですね。ということで今、お話をお聞きしてきたんですけども、リクルートに29年間勤務されていて、2019年に中尾マネジメント研究所を立ち上げられたわけですけれども、現在はどのような活動をされているんでしょうか?

中尾:はい。先ほどお話をしたように、5つ事業をやっているんですが、これは1つの事業に過度に集中しないとか、取引先も分散をさせて、どこの会社からも売り上げの10%以上をもらわないと決めて運営しているんですね。で、今回の本の絡みで言いますと、5つやっている事業のうちの1つで、中尾塾という経営者の塾をやっているんですね。その経営者の塾っていうのは今、52名の経営者の方が私の塾に入ってくれているんですが、「毎月1人の経営者から学びましょう」ということで、経営者を呼んだり。僕は年間100冊本を読むって決めて、今22年目になっているんですが、「毎月2冊のいい本を選んで、その本から学ぼう」っていうことやっているんですね。52名というのは4人ワンチームで13チームになるんですけれども、この13チームと毎週1時間ずつ、グループコーチングっていうのをやっているんです。毎朝7時と8時。経営者なものですから、9時からは自分の会社で仕事したいということで、朝7時と8時にやっているので、僕は毎朝5時ぐらいに起きて準備をして体調を整えて、7時からのグループコーチングで4人の経営者と話をして、8時からも4人の経営者と話をしてっていうのを、週に13回やっているという、そんな感じなんですね。なかなか健康的な生活をしています。

土屋:すごいですね。ご自身のお仕事もあるから、朝にやられているってことなんですね?

中尾:そうなんです。だから、僕の予定は朝が最初に全部埋まるっていう。朝って言っても、早朝ですね。朝7、8時が埋まっているっていう、そんな感じです。

寺崎:なるほど。土屋さん、実は今回のこの新刊『世界一シンプルな問題解決』も、中尾さんが約2年半以上ですかね。そのぐらい続けてこられたこの中尾塾の活動から生まれたものなんですよ。

土屋:そうなんですね。中尾塾から生まれたということなんですけれど、それってどういうことなんでしょうか?

中尾:先ほどお話をしたように、毎日朝に2時間ずつ。週で言うと、52名の方の今、困っていることを聞いているんですね。で、だいたい一人平均4つか、5つぐらいの困っていることを聞いてアドバイスをするんですけれども、1週間あたり50人×4つとして、200個くらいの話ですね。年間で言うと、それが50週あるものですから、1万個になるわけですね。で、2年半やっていますから、累計で言うと25,000ケースの困っていることの話を聞いているわけです。それも一部上場企業から、今後上場するような企業から、今立ち上げましたよっていうような企業から、業種もITが多いのは多いんですけれども、いわゆる流通もあれば、健康関係もあって、いわゆるフィットネスクラブとかですね。あるいは、士業、税理士さんとか、あるいは学校とか。そういうところの幹部の方も入ってくれているので、もう本当に多種多様な業種の経営者の方々の問題、課題のシャワーを浴び続けてアドバイスをして、1週間後、1か月後、3か月後、1年後にどうなったかっていうのをずっと聞いているわけなんですね。それを今回本にしましたという話なんです。

「問題」と「課題」の違い

土屋:課題を色々と聞いているということなんですけども、具体的にどういうふうに解決していくようなメソッドがあるんでしょうか?

中尾:そうですね。1つは、これは問題解決っていう本なんですけれども、問題という言葉と課題という言葉を使い分けているんですね。どう使い分けているかというと、問題っていうのは、もやもやしていることだとか、変な匂いがするだとか、なんか嫌だなっていうことに問題という言葉を使っていまして、課題っていうのは、それぞれの会社が向かうゴールみたいなものがあると思うんですけれども、このまま放置してしまうと、ゴールとのギャップが起きるよねってことを課題と言っているんですね。だから、もやもやしているんだけれども、ゴールに関係ないことは放置していいよって言っているわけですね。だから、もやもやしていることをすぐに解決する人が多いんですけども、解決すべきことは100個あっても、100個全部を解決しなくていいよと。それは問題だよと。その中の課題をまず特定しましょうっていうのが、1個目のメッセージです。
じゃあ、この課題を特定する時にどうしたらいいのかっていうのが、先ほど土屋さんがご質問されたようなステップがありまして、1つ目は「現状把握」しましょう。これは言葉で言うと簡単なんですけれども、現状把握をする中に事実だけじゃなくて、類推の情報を入れたりしちゃうことがあるわけですね。あるいは、数字だけじゃなくて、定性の情報も入れて現状把握しましょうと。で、2つ目が「解釈」。現状把握をした後に、これはどういうことが起こっているのか、何を解決しないといけないのかという課題を抽出して、どうやって解決すればいいのかの解決策を考えるところまでが解釈って言っています。そして3つ目。それを現場にやってもらうことが多いと思うんですけれども、現場にやってもらうことを「介入」っていう言葉を使っています。介入っていうのは、基本的におせっかいとか、邪魔をしに来るっていう話だと思うんですが、現場は日常的に何か仕事をしているわけですよね。そこで、課題解決を見つけた人が、「これをやったらいいですよ」って明るくやりに来ても、日々やっていることが変わるわけですから、面倒くさいわけですね。面倒くさいと思うかもしれない相手に対して、どういうふうにしてこの解決策をやってもらうかという気持ちを持ちながらやることを介入という言い方をしています。で、その時に常に人間って感情の生き物ですから、面倒くさいなとか、嫌だなとか、嫌いだなとか、好きだなって話があると思うんですけど、これはなかなかコントロールするのが難しいと思うんですよ。なので、感情を一旦置いておきませんかと。土屋さんが好きだから、土屋さんの言うことを聞くっていう話だったり、逆っていうことじゃなくて、ここにある事実であるとか、ここにある状況を正確に判断しようと。そのために感情が邪魔になることがあるので、感情を置いておきましょうっていうこと言っています。現状把握、解釈、介入っていうステップの全てのタイミングで「感情を保留するといいよ」っていうようなことを書いた本になります。

土屋:なるほど。感情の保留ですね。問題と課題を分けて、問題は解決しなくてもいいっていうのは、初めて聞いた話だったのですごく新鮮でした。

寺崎:そうですよね。問題と課題って、割とごっちゃに使っていますよね。

解決すべき100の課題のうち大事なものは2〜3個

中尾:僕は問題をそういう定義にして、課題をそういう定義にしているんですが、別に逆に使ってもいいんですよ。なんでもいいんですが、2つあるっていうことをちゃんと把握した方がいいと思うんですね。もう何十万部も売れている本ですけれども、『イシューからはじめよ』という本がありますね。ヤフーのCSOの安宅和人さんが書いた本で、最近は『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』なんていう本も書いていますけれども。彼なんかも、「あなたが課題だと思っていることの100個のうち、解決すべきは2、3個だ」って言っているんですよね。だから、本当に大事な仕事、大きな仕事って、そんなもんよっていう話なんですね。

土屋:そうですよね。本来、解決しなくてはならないのは2、3個であるっていうのは、確かにそうだなと思いました。

寺崎:この問題を課題化して解決していく方法なんですけど、これはタイトルの通り、とにかくシンプルなんですよ。で、実はこのタイトルは企画段階から変わっていないんです。

土屋:そうなんですか。

寺崎:そうなんです。結構珍しいことなんですけど、そういう意味では企画の最初から最後まで一本筋が通っている本とも言えます。ぶれていない。

土屋:なるほど。そんなぶれていない本なんですけれども、内容が気になるところではあるんですけれども、今日はお時間が来てしまいました。明日も中尾さんにご出演いただけるということなので、明日詳しくお聞きしたいと思います。ぜひ、これをお聞きのみなさんは明日もお聞きいただければと思います。ということで、中尾さん、寺崎さん、本日ありがとうございました。

中尾・寺崎:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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