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【全国のパパママに朗報】子どもにはこういう「言い方」をすればいいのか!

フォレスト出版編集部の寺崎です。

わが家には8歳の娘がいますが、なかなか親の言うことを聞かないことがあり、日々やきもきします。

「使ったものは元にあった場所に戻す」
「家に帰ってきたら手を洗う」
「寝る前には歯を磨く」

大人にとっては、いちいち他人に言われなくてもできることでも、子どもにとっては当たり前のことではありません。

「毎日毎日、何度同じこと言わせたら気が済むんだ!」と、思わず怒りたくなる気持ちをグッとこらえます。

同じように全国のお子さんをお持ちのみなさんは、こんな悩みをお持ちではないですか?

◎子どもが言うことを聞かない
◎(子どもの気持ちに寄り添いたいけど)うまい言い方がわからない
◎ホントは怒りたくないけど、ついつい怒ってしまう
◎「ダメ」と言われることを何度も繰り返す子にイライラする
◎子どもに「学校に行きたくない」と言われた(どうしたらいいの?)
◎もう、いちいち「宿題やりなさい」を言いたくない!

子どもの世界は、大人にとっては謎です。どう接すればいいのか、とまどうことも多々あります。

わが子にまつわる、こうした悩み。

じつは――

「親の言い方ひとつ」ですべて解決する

―—と聞いたら、驚かれるでしょうか?

たとえば、こんな事例。

お母さんもお父さんも、大忙し。家の中にもやることが山のようにあります。ふっとわき目でみたら、親の大変さに気づいているのかいないのか、子どもが気ままに過ごしています。

そんなとき、ムカッとしてついつい言いたくなります。

「遊んでるくらいなら、お手伝いして!」

さて、こんな言い方をして、子どもは「はーい」と素直に従ってくれるでしょうか。答えは「NO」です。

そんなとき、こんな「言い方」を試してみてください。

「お母さん(お父さん)、洗い物してて忙しいんだー。ゴミ捨てか、テーブル拭き、どちらかしてくれたら、助かるな!」

すると、どうでしょう。

選択肢を与えられた子どもは、自発的に「じゃあ、ゴミ捨てする!」と手伝ってくれるはずです。

ここには「自己決定感」という発達心理学の重要キーワードが潜んでいます。人のやる気は「自己決定感」から生まれます。自己決定感とは「自分で決めたことはやる」という感情のことです。

大人だって、やらされ仕事はイヤです。
それは、子どもだって同じ。
だったら、選ばせてあげればよいのです。

このように「発達心理学」の考え方をベースにした「親のうまい言い方」をまとめた解説書がこのたび発売となりました。

装丁:小口翔平+阿部早紀子+畑中茜(tobufune)
カバーイラスト:後藤グミ

『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』


著者は発達心理学者の渡辺弥生先生(法政大学文学部心理学科教授)です。

今日は発売を記念して本書の「はじめに」を全文公開します。
それでは、どうぞ!

『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』
「はじめに」全文公開

 親は日々、たくさんの言葉を子どもに授けています。
 その言葉の数々が、子どもの思考のベースになっていきます。
 親も人間ですから、子どもの心に残るような言葉を毎回言えるわけではないでしょう。それでも、子どもの心を支えていけるような言葉を伝えていきたい、と考えていることと思います。
 子どもたちが大人になるころ、今ある仕事の半数はAI(人工知能)にとって代わられるといわれています。
 これからはいわゆる「VUCAの時代」です。VUCAとは「Volatile」「Uncertain」「Complex」「Ambiguous」の頭文字をとった言葉ですが、つまり「予測困難」「不確実」「複雑」「曖昧」な世の中が予測されるということを意味します。
 その時代を生きるとき、大切なのは「海路」や「地図」ではなく、自分の「コンパス」です。決められた道はもはやありません。どう進むのかは、その子の自由です。
 北に行くのか、南に進むのか、一人一人の子どもが自らのコンパスを手に、行きたいところへ行き、やりたい仕事をつくり出していく。そうした人物がこれからは必要であると、国際経済を協議する機関であるOECD(経済協力開発機構)は伝えています。
 そのコンパスのもとになっていくのが「教育」であり、「親の言葉かけ」です。大人になって大海原に漕ぎ出していき、道に迷いそうになったとき、子どもはすかさずコンパスを取り出すでしょう。そのコンパスのおおもとになるものが、親子の毎日の会話の中にあるのです。
 そう考えると、親子のコミュニケーションはとても重要であるけれども、このうえなくおもしろく、ワクワクしてくるものだと思えてきませんか。
 今、毎日をともにしているわが子が、これからの新しい世界をつくり出していく一員になっていくのですから。
 その新たな世界を生きるコンパスは、どのような言葉がけでつくっていくとよいのか。
 その一つの道しるべとして「発達心理学」があると私は考えています。

|子どもの発達段階ごとに
|「親の言い方」は変わる

 発達心理学は、生涯の心の発達と身体の成長に着目した心理学です。
 生まれてから死ぬまで、人間の心身の変化のすべてを発達ととらえ、科学的に探究して解明していく学問です。外から見える変化だけでなく、内面や心の機能の変化について探究するサイエンスです。
 発達心理学では、発達の過程をいくつかの段階にわけ、各段階の特徴をわかりやすく区分しています。
 これを「発達段階」といいます。
 発達段階には、それぞれに心と身体の変化があります。
 子ども時代というと、「乳児期」「幼児期」「児童期」「青年期」という発達段階に着目することになりますが、子どもが成長していくなかで、それぞれの段階で必要とされるサポートのしかたは異なってきます。
 そのサポートが、身体的な成長や成熟だけでなく、意志や粘り強さ、知識、感情などの内面の変化に大きな影響をもたらしていくことになります。
 ところが、親は、こうした知識を得て「親になる」ためのレッスンを受けて親になるわけではありません。
 それぞれの発達段階でふさわしい必要なサポート方法や言葉のかけ方があるのに、誰かが教えてくれるわけではありません。
 自分も子ども時代に通ってきた道。ところが、すでに時代は変わり、そして子どもたちが巣立っていく世界は親が生きてきた時代とは異なります。
 自ら勉強していかなければ、日々成長していく子どもに必要な言葉かけもできないまま時間が過ぎてしまいます。そして、気づいたときには、親子の心が通い合わなくなっていた……という残念な話は、意外に多くの家庭で聞かれることかもしれません。

|子どもの発達段階を予測すれば
|親子の溝が埋まる

 本来、子育てとは楽しいものです。親が子どもと一緒にいて「楽しい」と感じられることが、子どもの心の発達に最も重要な基盤となっていきます。
 もちろん、毎日の生活の中には大変なことも多いです。
 それまではかわいいばかりだった子どもに、ある日、ドアを「バーン!」と閉められるようなときもくるでしょう。反抗されて喜べる人はいないでしょう。
 でも、そのときに「来たぞ! これもあの子の心の発達の一つの表れだね」くらいに受け止めることができれば、反抗期に広がりがちな親子の溝を生み出さずにすむはずです。

|親が「クールな方略」を持てば
|すべてうまくいく

 子どもは親とまったく別の人格。
「親の価値観を押しつけられた」と思えば、子どもは言動で反抗してきます。それは、子ども自身が自分の人生を生きていきたい、親の所有物になりたくないと感じている自己表現なのです。
 そうした子どもの心の発達をきちんと受け止めつつ、大海原に漕ぎ出していくための心強いコンパスを子どもに持たせるためには、親も一枚上手に子どもと向き合っていく必要があります。
 なぜなら、親自身が子どもを育てるコンパスも知略も持たず、ただひたすらにがんばろうと思っても、先行きの見えない不安から心の余裕を失い、イライラするばかりだからです。「がんばってわが子を立派に育てていこう」と思えば思うほど、子育てとは空回りしやすいものです。
 しかし、発達心理学にもとづいたクールな方略を持てば、子どもがこれからどのように成長していくかが示されますし、「こう言えば、どう反応するか」ということもある程度わかってきます。
 子どもを不用意な言葉で傷つけることも、心に深い悲しみを抱かせることもなくなり、親子の信頼をより強いものへと育んでくれるでしょう。

|「親の本音」を伝える
|コツを伝授

 そこで本書では、子育てにがんばりすぎている親がつい言ってしまう、子どもの心の発達をさまたげる言葉を例に出し、どのような言葉に言い換えるとよいのか、発達心理学のエッセンスを盛り込みつつ、解説していきます。
 主な対象は、幼児期から小学校高学年までの子ども。
 もちろん、「この言葉を使っていれば、すべての子が健全に育ちます」とか「頭がよくなります」などと言うつもりはありません。また、「ほめて伸ばす子育て」を推奨する専門家もいますが、それとも違います。
 本書で大切にしているのは、親の本音の伝え方です。子育てで大事なのは、「子を想ってこその親」が伝えたい本音だからです。
 ほめることも叱ることも大切ことではあるけれども、うわべだけでなく、親が人生において子どもに伝えておきたい大切なメッセージを、わが子が受け止められるような伝え方をする。
「本音」といっても明け透けに心のままにいうのではありません。確かな知略をもって、子どもにわかる言葉で語りかけていく。
 そうして結果的に、「ほめられて、うれしい」とか「親に認めてもらえている」「今、自分はよくないことをしちゃったんだな」などと子どもに伝わっていく。
 そうすることが、最終的には子どもの心に残る言葉がけになっていくのだろうと考えています。
 何より親自身にとって、子育てを楽しむには、子どもの問題というよりはむしろ自身の本音との向き合い方やつきあいが必要です。
 子どもとうわべだけで繕うような、腫れ物に触るようなつきあいでなく、心の深いところでつきあえてこそ、子育ては最高に楽しく、何ものにも代えがたい、さまざまな経験や感動を授けてくれるでしょう。
 つまり、本書で伝えたいのは、子どもの心を育てる親のメッセージの伝え方。子どもの発達の足場かけになるような関わり方です。

 本書では、がんばりすぎる親がつい口にしてしまう一言を、大人の知恵でどう賢く伝えるか、「一枚上手かあさん」の言葉で言い換えていきます。ただし、「かあさん」というのは例で、父親、祖父母など、養育にかかわるすべての方に考えていってほしいと思っています。

 本書で出した例を一つの引き出しにしながら、わが子の個性と成長を見つめつつ、さらにたくさんの言葉の引き出しをつくり出していってほしいと願います。
 それがきっと、いずれ来る子どもの旅立ちのときに、胸を張って送り出していくための手助けになってくれるはずです。

***

この本を読めば、親の本音が伝わり、子どもも納得でき、結果的に親子のイライラが消えてなくなります。

子育てに悩む全国のパパママに、心からおすすめします。


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