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私とこの1冊

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フォレスト出版の編集者が自らの読書体験を公開。
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#毎日投稿

『東京商店夫婦』という本が面白かった話。

10年くらい、都内でも商店街で有名な場所に住んでいました。住んでいる間、タワマン群が建つということで飲み屋街が立ち退きになったりも。年々チェーン店が増え、タワマンができて、おしゃれな店がテナントに入ったりもしましたが、ビル風がすごくて行きつけのお店の人たちと、風がヤバいとよく話していました。また、チェーン店もいいけど、同じようなものがあるなら個人商店で買ったり、古くからお店をやってる地元の人たちと、二言三言言葉を交わすのを楽しみに買い物をしていました。タワマンができると周辺の

コロナはどこ吹く風!? 今年最大の稼ぎ時を迎える“あの企業”

編集部の稲川です。 正直、東京五輪が開催されるのか、いまだわからないコロナ禍で、スポーツ界(?)で唯一ウハウハの業界があります。 それが、日本中央競馬界、いわゆるJRA。 競馬界もコロナの影響で、最近までは無観客開催でしたが、年間を通じて開催を続け、なかでもネット投票での売上げが好調。 そのためか、お客さんにも大盤振舞いのサービスが展開されました。 有料競馬チャンネル(GREEN CHANEL)の無料視聴、払戻金の上乗せ、さまざまなキャンペーン(プレゼント)など、カネ

60年前から変わらない「アイデアの公式」とは?

フォレスト出版の寺崎です。 先日、雑談をしていたときに「企画アイデアとかタイトル案って、なんだか知らないけど、朝の起きがけとか、トイレとか、お風呂入ってるときとか、そーいうときにフッと降りてくるよね」という話になった。 なんででしょうね。 なんでかな。 というわけで、「アイデア」に関する古典といっていいジェームズ・W・ヤングが書いた『アイデアのつくり方』をひさびさに読み返してみた。 アイデアのつくり方に「公式」はあるのか? いや、そもそも「アイデアのつくり方」というも

ノンフィクションのジャンルを切り開いた大先輩のベストセラー作法十か条

今月、東京から神奈川へ引っ越す予定です。 所帯を持ってから4度目の引越し。42平米くらいの狭いマンションでの夫婦2人暮らしから始めて、子どもが生まれてからは少しずつ広い部屋にステップアップしてきました。 最終的には3LDKのそこそこ広いマンションの生活に落ち着いたわけですが、部屋が広くなるにつれてモノも増える。 引越し業者に見積もりをお願いしたら、「かなりモノが多そうなので、段ボール100個は必要ですね」と言われました。なので、不用品の整理、断捨離を思い切って始めている

詩人・言葉の達人としての山本耀司

フォレスト出版編集部の寺崎です。編集の仕事をしていると「この人の本を作りたい」というのが、どうしてもある。 でも、属する出版社のジャンル傾向に合致していないと、正直厳しい。 自分のなかでそんなモヤモヤな対象が「山本耀司」だ。 山本耀司は文筆家としてスゴい山本耀司=ヨージ・ヤマモトは日本を代表するファッションデザイナーとして広く知られているが、じつは「文章」もすごい。 たとえば著作の『MY DEAR BOMB』(岩波書店)の冒頭の一節がこれ。 ダンディズムに溢れた文体

『鬼滅の刃』のヒットと「死」の相関関係あるいは禁煙ファシズム

フォレスト出版編集部の寺崎です。 『鬼滅の刃』が『ONE PIECE』を超える爆発的なヒットとなっています。私も知人に「絶対面白いから、アニメだからって馬鹿にしないで絶対に絶対に観たほうがいい!」と激しくプッシュされ、Netflixで観てみました。 で、ここだけの話ですが、正直、描写の血生臭さが全般的にエグくて、途中のエピソードまでしか観れませんでした。 そこで「『鬼滅の刃』がなぜここまでヒットしているのか?」を考えてみます。アニメ作品としてのクオリティ説、マーケティン