見出し画像

Apple、Microsoft、ボスコンのサステナビリティレポートを読んでみた

皆さんこんにちは!
フォレストック協会事務局の川西です。

企業が脱炭素(カーボン・ニュートラル)について、どんなことを目標としていたり、宣言しているのか、クレジットの活用状況などを知りたいと思い、サステナビリティレポートを読んでみました。

*サステナビリティレポートとは*
企業が持続可能な社会の実現に向けてどのような取り組みを実施しているのかを報告するもの。レポートの内容や構成は企業によって様々で、多くの企業が毎年、自社の取り組みについて発表しています。
今回の記事では、その内容についてざっくりとご紹介したいと思います!


Apple


Apple Environmental Progress Report表紙

AppleのEnvironmental Progress Report2023が、アースデイ(4/22)を前に2023年4月19日に発表されました。

アップルは「2030年までにサプライチェーン全体のカーボンニュートラル」を宣言しています。

再生エネルギーの利用やエネルギー効率の向上などにより削減し、どうしても出てしまう排出量については、カーボン・クレジットによりオフセットすることで、事業所における排出(Corporate emissions)については、2020年にカーボンニュートラルを達成済みで、以来毎年達成しています。

カーボン・クレジットによるオフセット量がこちら▼
2021年 167,000t-CO2
2022年 324,100t-CO2

調達したカーボン・クレジットの詳細も書かれていました。

アップルが2021年、2022年に購入したクレジットはすべて、VerraのVCSクレジット(*)でした。
ケニアやペルーの森林を保護するプロジェクトのクレジットを購入しています。

(*)Verra(ベラ)…世界で最も市場に流通しているボランタリークレジットであるVCS(Verified Carbon Standard)を運営・認証しているアメリカの機関


出典:2023 Environmental Progress Report

事業所における排出のカーボンニュートラルを達成していますが、それはアップル社の全体排出量のうちわずか2%程度で、残りの98%はスコープ3からの排出です。

2022年度のCO2総排出量(スコープ1・2・3)は20,300,000t-CO2でした。

Appleのサプライチェーン全体における最大の排出源は、製造サプライヤーの使用する電気です。そのため、サプライヤーへ再エネへの移行するよう要請を出しており、主要取引先の約85%にあたる250社が、100%再エネ利用にコミットしているとのことです。

再エネにシフトしていかないと、Appleへの納品はできない、というようなことが近い将来起こりそうです。(すでに起こっているのかも…)

Microsoft


Microsoft On the road to 2030: Our 2022 Environmental Sustainability Report表紙

2023年5月10日にマイクロソフトのOn the road to 2030: Our 2022 Environmental Sustainability Reportが公開さてれいます。

レポートタイトルにもあるように、マイクロソフトはターゲットとなる年を2030年に設定しています。

マイクロソフトが2020年に発表した公約は以下の通りです。

2030年までに、
■カーボンネガティブ
■ウォーターポジティブ
■廃棄物ゼロを実現
■エコシステムを保護する企業になる

この公約を達成することに重点が置かれています。

カーボンニュートラルではなく、カーボンネガティブです。

カーボンネガティブとは、自社の排出量を吸収量が上回る状態にすることなので、カーボンニュートラルよりも高い目標です。

そんなマイクロソフトの2022年度のCO2総排出量は12,998,442t-CO2で、2021年度の13,064,109t-CO2から0.5%削減となりました。
排出量全体の96%がスコープ3です。

2022年度は514,156t-CO2をカーボン・クレジットでオフセットしています。

利用しているクレジットの種類は、ACR(American Carbon Registry)、CAR(Climate Action Reserve)、VCS(Verified Carbon Standard)、GS(Gold Standard)などのボランタリークレジットです。


左表:2030年に排出量が吸収量を上回るような絵を描いている
右表:排出量の内訳。スコープ3が大半を占めている

また2050年までに、マイクロソフトが創業した1975年まで遡って歴史的な排出量(スコープ1・2)もオフセットすると公表しています。

BCG


BCG 2022 Annual Sustainability Report表紙

2023年4月24日にBCG(ボストンコンサルティンググループ)の2022 Annual Sustainability Reportが公開されています。

BCGは2020年9月に、2030年までに自社のカーボンニュートラルを実現することを宣言しました。

2022年度の排出量は2018年度比で約30%削減を達成し、排出量は406,000t-CO2でした。
406,000t全量分のクレジットを購入・無効化しており、カーボンニュートラルを達成しています。

出典:2022 Annual Sustainability Report
2020・21年はコロナの影響で出張等制限されたため、GHG排出量が減っている

BCGは2020年からカーボン・ニュートラルを達成しています。

カーボン・クレジットによるオフセット量▼
2020年 177,000t-CO2
2021年 151,000t-CO2
2022年 406,000t-CO2

全体の排出量の8割以上は出張が占めるそうです。

購入したクレジットの平均価格もレポートに記載されていました。

カーボン・クレジットの平均価格▼
2020年 US$7/t-CO2
2021年 US$11/t-CO2
2022年 US$16/t-CO2

毎年価格が上がっており、2022年の購入額は8億円以上です。

2025年までに1トン当たり$35、2030年までには1トン当たり$80を目指し投資を強化していくとのことです。
BCGがカーボンニュートラルに力を入れいることがうかがえます。

BCGのグローバル会長であるリッチ・レッサー氏は、カーボン・クレジットの活用について、温室効果ガスの排出削減に由来する「回避系 avoidance credit」から、大気中のCO2などを吸収する「除去系 removal credit」に需要がシフトするのではないかとの見通しを示しています。

2022年にBCGが購入したクレジットの内訳は48%が除去系、52%が回避系でした。2030年には使うクレジットを除去系100%にすることを目指しているそうです。

カーボン・クレジットの質


世界でカーボン・クレジットの活用が増える中で、クレジットの「質」についての議論が高まっています。

クレジットの信頼性確保に向けたルール作りなどを手掛ける民間団体ICVCM(The Integrity Council for the Voluntary Carbon Market)は、年内に信頼性の高いクレジットに「承認ラベル」を発行する仕組みを始める計画です。

見せかけの環境対策「グリーンウォッシュ」にならないよう、活用する企業はクレジットの質についても注視する必要があります。

最後までお読みいただきありがとうございました!

民間では国内唯一の森林吸収系カーボン・クレジットであるフォレストックのクレジットにご興味のある方は、お気軽にこちらまでお問合せ下さいませ。


ツイッター、インスタ、YouTubeぜひフォロー、チャンネル登録お願いします!
Twitter Instagram YouTube

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?