人の機微に触れ、ユーモラスな作風… 内館牧子氏の「高齢者小説」累計100万部!KODANSHA
令和4年9月(2022/09)に内館牧子氏は「老害の人」の"あとがき"を書いている。
(2022/10/14 発行) 書き下ろし
いずれ、一気呵成!鮮やかです。
「高齢者小説」
"終わった人"
"すぐ死ぬんだから"
"今度生まれたら"
2018年に出版された「終わった人」から三冊。ついつい引き込まれて読んで、さらに老害まで四年間。
「団塊の世代」の最年長層である1947年生まれが60歳になる2007年から最年少層である1949年生まれが67歳になる2016年頃まで、およそ10年間に巨大なボリュームの人口の中から相当の数の退職者が出た。
タイムリーな本です。
内館牧子氏は1948年生まれで正に団塊の中のなか、美術大学(デザイン)を卒業して企業に入社。
脚本家デビューをして、国立大学の大学院修了(宗教学)。
経歴も鮮やかです。
「団塊世代」は高度成長期と共に右肩上がりに輝かしい青春を送り、やがて残照の人となっています。
現在世間を賑わす老害は"腹切れ"世代でもある。
「老害」は比較的に新しい言葉です。松本清張の長編小説「迷走地図」(1982年〜83年)には、「老害よ、即刻に去れ」という一文が含まれています。
ネットスラングとしては1990年代前半頃から一部の人達が掲示板などで「老害」と書き込む事がありましたが、まだまだ少数でした。
2000年代に入ると一気に広がりる。
格差社会や高齢化の広がり、非正規や不況、そしてネット普及が影響して固有名詞となる。
最早、松本清張も知らない世代が使っている現状。
「老害…」の装画は丹下京子氏
前出の三冊も惹かれて、手に取りたくなるイラストです。
高齢者がイラストで生き生きと描か
れています。しかしながら、背にあるリュックやコスチュームは流行りのファションではない。
いつも思い出すのは一時的に日本人女性が、熱狂的になった"ターシャ・チューダー"
彼女の90歳の写真集は美しかった。白髪も皺も絵になり自然でした。私もそのようにして年齢を重ねたいと思った。
「彼女(母親)がいなくなった喪失感は大きい」と息子が話しているのを聞いて、息子に慕われる親に憧れた。
内館氏はあとがきに「自身はこれからは社会に還元し、命がある以上伝えたい」つまり「自分磨き」ではなく「利他」を考えると力が湧くと結んでいる。
(そこなう)害悪、害獣、害心、害虫、害毒、公害、残害、傷害、侵害、損害、食害、蝕害、弊害、無害、不害、有害、利害
(ころす)危害、殺害、自害、毒害
(わざわい)禍害、災害、水害、雪害、被害、風害
そこで「老害」は大変知的な推理作家が作った単語をやすやす使わない。
それは上記のように「そこなう、これす、わざわう」意味がある。害を利に変換しましょう。
内館氏の"利他"の心(周囲や相手に善かれかしと思う心)を持つ。
自分のことだけを考えるのではなく「自分が豊かになりたいと思うならば、周囲 も豊かにする」ように考える。
誰でも劣化します。必ずその時は来ます。
いろいろな方を見ていると人は生涯、継続してhappyではない。
一度くらいは、穴を掘る時もある…ようです。
欲こかず(他人がものを言うことを卑しんで、あるいは乱暴にいう語。ほざく。ぬかす)
20年くらいまあまあが続くと後は淡々と…
持論にしてる。
戸山福太郎の顔のイラストを見ていると、人生いろいろとあって然り… 彼も母がいてピカピカの赤ちゃんだった。
娘(明代)が孫を得て、福太郎がひ孫を見て気持ちが治るには言葉など要らなかった…のです。
否定出来ない脈々と流れる人情は常にどこかに同居する。
内館牧子さんは子を持たなかったようです。
あとがき
今日用(教養) kyoyou
今日、用がある
今日行く(教育)kyouiku
今日、行くところがある
"用も行くところもない"のが老人…だそうです。教養と教育に変換しましょう。
「老害の人」のキーワードです。
文中登場する、知的なサキさん"の老害の老害による名言です。
・年齢を経ると歩き方にも教養が出る。武道・茶(花)道は身に付いた教養だと歳を経てわかった。
・子育て(教育)は自分の鏡。付け焼き刃では出来ない。
変わるかもしれませんが、現在の心境です。
「人生の半分はトラブルで、後の半分はそれを乗り越えるためにある。」アメリカ映画八月の鯨の名台詞です。
実は、人生100年の内容は深い。
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