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秋の水窪・山歩き その2

 さて、山王峡の次に行った場所は水窪ダムの上流、白倉川沿いの林道である。ここもまた車で行き、林道脇に駐車してすぐに歩きだすことができる。そして、川沿いで湿り気のある”森の切れ目”だ。

 車を停めたところに咲いていたのはレモンエゴマだった。その名からして外来種か園芸種が野に逃げたものかと思っていたが、どうもそうではなく、れっきとした日本の野生種のようである。たしかにレモンとエゴマが混ざったような匂いがし、本場の韓国焼き肉を食べたから者からすると、この葉で肉を巻いて食べてみたくなる。

シソ科の植物で、花が咲くと秋を感じる。

道沿いに群生していた。

 お次はサワシロギク。まさに秋の花。

 そして、ヤブマメ。

マメの仲間にしては花が可憐で好きな種類。

ここで見られるのはこれくらいかな、と引き返したところで見つけたホトトギス。

 そして最後は門桁山(かどけたやま 標高1375メートル)の森へ向かった。この時季、森の”なか”ではなかなか花が咲いていることはないのだが、やはりここまで来て森を見ずには帰れない。日当たりのいいところになにか一つぐらいは咲いていないかと少しの期待を持って車を走らせた。

すると、忘れていた。この花が咲くことを。正確には森の”なか”ではないのだが、やはり山腹の水がしみ出す”森の切れ目”にチシマギキョウ。葉の緑に青紫、そしてサワシロギクの白や黄色も加わって、桃源郷のような眺めだった。

黄色のヤクシソウも一緒だった。

 これでまた心は満たされた。チシマギキョウの花はもう何度も見たけれど、何度見てもいい、大好きな秋の花だ。この花を見ると、いよいよ秋も深まって、やがて山や森の一年は終わるのだな、と思う。2時間近く車を走らせ、やはり来てよかった。そんなに珍しいものとは出会えなかったが、ここまで来ないと見れないものや景色を見て、やはり来てよかったと強く感じた。普通のことが普通にある、行われる、そんなことに気づくことが自然(神)から贈られるギフトを受け取るコツのようなものなのかもしれない。

 そして門桁山の山頂を目指した。ここも車を置いて30分ほど歩けば山頂に着く。森のなかにはやはり、秋の花は咲いていなかったけど、

花に目を奪われない分、森を成す一本一本の木々が目に入ってきた。

丁度、夕方前の時間帯だったからか、森のなかではコガラの姿を見かけたのと、キツツキの仲間の声を聴いたぐらいだった。わたしもだったが、森自体もなんだかぼんやりしている、そんな時のなかを歩き、そして車へと戻った。しかし、これから森はいよいよ本格的な秋を迎え、草木は実をつけ、それを求めてたくさんの鳥やシカやカモシカ、ひょっとするとクマなんかも現れるだろう。次はそんな頃に来てみようか(来れるかな)。

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